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訪日客「かざす」だけで多言語おもてなし ソニー、非接触IC「フェリカ」でオリパラ対応

2016/6/10 日経産業新聞

デジタルサイネージが、カードに登録された言語を表示する

 東京五輪・パラリンピックに向け、ソニーが非接触IC技術「フェリカ(FeliCa)」を活用した訪日外国客(インバウンド)に優しい街づくりに取り組む。訪日客が自身の使用言語などを登録したフェリカ内蔵の交通ICカードを使うと、競技会場、ホテル、飲食店などのデジタルサイネージ(電子看板)の表示がその言語に対応できる。

 東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年にはスマートフォン(スマホ)の使用者数が8800万人、ウエアラブル端末の年間販売台数は573万台になると予測される。ソニー子会社のフェリカネットワークス(東京・品川)は「カード以外にもフェリカを内蔵させる利用シーンが大きく広がる」とみる。

 大きなビジネスチャンスと期待するのが、年間4千万人になるとされる訪日客の存在だ。フェリカは国内移動で使用する交通ICカードを生かして訪日客のためのサービスを提案する。

 訪日客は、国際空港や主要駅で交通機関のICカード乗車券を発行する際に、発行端末を使ってフェリカに自分の出身国や母国語、性別などの属性を登録する。

 そのICカードをホテルや会場にあるデジタルサイネージの読み取り機にかざすと、デジタルサイネージの災害情報や会場の案内図が、カードに登録した言語で表示される。

 活用できるサービスはデジタルサイネージでの多言語表示にとどまらない。食物アレルギーの情報をカードに登録すると、飲食店が料理を提供する際に参考にすることができる。ホテルの住所を登録すると、タクシーの運転手が簡単に行き先を把握できたりする。買い物後の免税手続きや、ホテルでのチェックインの簡素化なども想定する。

 ソニーのFeliCa事業部営業部ビジネス推進課の竹沢正行氏は「リピーターの訪日客が交通ICカードを購入するケースが増えている」と説明する。フェリカに属性を登録する技術はすでに確立している。「おもてなしインフラ」として外国人観光客向けICカードを推進する総務省やITサービス大手などと組んで、今年度中に実証実験を始める。17年度以降に商品化を進める。

 総務省情報通信政策課によると、交通ICカードに加え、小売店の電子マネーカードやスマホの活用も想定するという。

 今後の課題は、読み取り機が付いているデジタルサイネージの普及だ。総務省は実証実験をしながらどんな端末が最適かを検討する。ソニーは高精細な液晶「ブラビア」を4月から読み取り機に接続できるようにしたほか、すでに55言語が内蔵されているという特徴を売り込んでいく。

 東京五輪・パラリンピックをきっかけにフェリカは、電子決済のためのツールから、日本のおもてなしの最先端インフラに一皮むけようとしている。

 フェリカ 読み取り機にカードをかざすだけで、決済したり認証したりできる非接触ICチップ。高度な暗号技術を使っており、セキュリティー性能が高い。東日本旅客鉄道(JR東日本)の「Suica(スイカ)」など交通機関が発行するICカード乗車券や、イオンの「WAON(ワオン)」、セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco(ナナコ)」といった電子マネーなど、多様なカード媒体に採用されている。

[日経産業新聞2016年6月6日付]

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