Macに匹敵するおしゃれノート デルXPS 13戸田覚の買うか買わぬか思案中

デル「XPS 13」。直販価格は14万4980円から。(2016年5月上旬調査時のキャンペーンなどの割り引きを含まない通常価格。税別)。写真:スタジオキャスパー、以下同
デル「XPS 13」。直販価格は14万4980円から。(2016年5月上旬調査時のキャンペーンなどの割り引きを含まない通常価格。税別)。写真:スタジオキャスパー、以下同
日経PC21

液晶の額縁は幅わずか5.2ミリ

今回は、デルの魅力的な携帯ノートを取り上げる。「XPS13」は、“フレームレス”と銘打たれている斬新なデザインのモデルだ。ここでいうフレームとは液晶周囲の額縁のこと。“フレームレス”といっても実際には額縁がないわけではなく極めて細いということだ。

写真を見てもわかる通り、額縁の幅は約5ミリと極細だ。最近の携帯ノートの多くはデザインにこだわっているのだが、中でも抜群に目立っている。性能や使い勝手を含めて、今回も辛口でチェックしていこう。

携帯ノートとしてはやや重い


液晶の額縁が細ければ、当然本体サイズも小さくなる。「11型の本体に13型のディスプレーを搭載」というのが売り文句だが、確かに小さい。まあ、僕の印象では、12型程度のボディーに、ひと回り大きな液晶を搭載したといった感じだ。コンパクトなだけでなく、最厚部でも15ミリとなかなかの薄型で、見た目は非常にスマートだ。

本体は天板と底面がアルミで、美しいアルマイト仕上げが施されている。今回試用したモデルは新色のゴールドで、数年前から「iPhone」などで流行中の色合いだ。ほかにも、以前からあるシルバーのモデルもある。

パームレストには軽くて剛性が高いカーボンを採用。樹脂塗装で目地を残している

パームレスト面はカーボンに樹脂塗装を施している。塗装が半透明なので、カーボンの目地が見えるのが格好良い。アルミやカーボンなど、ボディーの各部に剛性と軽さを両立した部材を採用しているのだが、最近の携帯ノートではこの手の素材は当たり前に使われている。それでもXPS13が「どこかで見たことのあるデザインだ」という印象を受けないのは、やはり狭額縁が効いている。ところで、写真にも示したように底面にフタが付いているのだが、これは一体何だろう?

「どのパソコンでもシリアルナンバーや技適などの情報を本体にプリントする必要があるのですが、直接プリントすると美しくありません。そこでフタを付けて隠しています」(デル クライアント・ソリューション統括本部 クライアント製品&ソリューションマーケティング本部ブランドマネージャーの王鵬程さん)

底面部分もアルマイト仕上げとなっており、天板と同様に美しく、金属の質感が素晴らしい。底面のフタの下には、各種情報がプリントされている。直接の印字だとデザイン上美しくないので隠しているのだ

なんというデザインへのこだわりだろうか。細部の仕上げも非常に美しく物欲をそそること間違いなしだ。

気になる重さは当初1.2~1.29キロとされていたが、これは誤りでフルHDモデルが1.2キロ以上、高解像度のタッチモデルが1.29キロ以上とのこと。今回編集部で撮影したフルHDモデルを荷物集荷用のデジタルスケールで計測したところ1.22キロだった。また、僕が試用した高解像度のタッチモデルをキッチンスケールで計測したら1.37キロほどの重さだった。

パーツの構成によって重さは変わるようだが、購入前に正確な重さを知りたいのは僕だけではあるまい。いずれにせよ、ライバルと比較すると、実はあまり軽くないのが残念だ。かばんへの収まりは上々だが、日常的に持ち歩くにはちょっと重い。

本体はコンパクト。12型クラスの本体に13.3型液晶を搭載したという印象だ
横から見たシルエットはくさび形になっており、最薄部は9ミリで、厚い部分でも15ミリに収まっている

ウェブカメラとアンテナは液晶の下部

狭額縁のためにフロントのウェブカメラは液晶左下に搭載している。顔を映すのが目的のカメラだが、あごあたりから上向きに表示される

デザイン的には優れる狭額縁だが、細いために制約が及んでいる部分もいくつかある。まず気になるのが、ウェブカメラの位置だ。本来なら、液晶上部に搭載するカメラが、正面向かって左下部分に付いている。試しに自分の顔を映してみたが、予想通り左下からあごのあたりが表示される。これでは、ビデオチャットには向かない。頻繁に利用するなら、外付けのウェブカメラを使うなど、何か対策を施したほうがよさそうだ。

もうひとつ気になったのが無線LANのアンテナだ。多くのノートパソコンが液晶の上部の裏側部分に無線LANのアンテナを内蔵している。ところが、この薄さと額縁の細さでは物理的に内蔵できない。結果、アンテナは液晶の下部分、メーカーのロゴあたりに搭載している。液晶上部に比べ、下部では感度が悪くなる可能性がある。実際、手元にあったパナソニックの「レッツノートSZ5」と無線LANのダウンロード速度を比較してみたところ、普通に使って遅いと感じることはないが、数値では劣っていた。

「無線LANの感度については、実用レベルを満たしており、一般的な利用では十分だと考えています。そのうえで、美しいフレームレスデザインを実現しました」(王さん)

確かに、普段、あまり無線LANの速度を気にしたことがないという人なら、ほかのノートパソコンと速度の違いを感じることはほとんどないだろう。このコンパクトさと格好の良さで妥協できる範囲と考えていいが、僕のように携帯ノートを選ぶ際、無線LANの感度を気にする人は少々留意したほうがいいだろう。

僕が実際に試用したのは3200×1800ドットの液晶を搭載する高解像度モデルだった。液晶サイズから考えると、写真を掲載しているフルHDモデルでも十分精細なのだが、3200×1800ドットの超高解像度は非常に緻密で美しい。明るさはどちらのモデルも400カンデラとのことで十分だ。光沢タイプながら低反射コーティングが施されているので、映り込みも抑えられている。高解像度モデルは、すべてタッチ対応となっているが、個人的にはクラムシェルタイプではタッチなしが望ましい。

13.3型と液晶サイズが大きくないのでフルHD(1920×1080ドット)でも十分に精細。タッチは高解像度モデル(3200×1800ドット)のみが対応

仕事で使うなら別売りの拡張アダプターが欲しい

気になる拡張性だが、通常のUSB端子は2つで、最近の携帯ノートとしては少々物足りないところだ。ただし、それ以外に最新のUSBタイプC端子を1つ搭載するのは、将来性を考えるとうれしい配慮だ。

仕事で使ううえで残念なのが、HDMI出力やアナログRGB出力端子を搭載していないこと。外部ディスプレーとは、USBタイプC端子とアダプターを介して接続しなくてはならない。純正のアダプターも用意されており、直販価格1万925円(税別)とちょっと高価だが、アナログRGB出力、HDMI出力、有線LAN、USBの各端子を備えるので、拡張性がグンとアップする。

(1)ウェブカメラ(720p) (2)スピーカー (3)SDカードスロット (4)USB3.0端子 (5)セキュリティケーブルスロット (6)電源端子 (7)サンダーボルト3/USB3.1タイプC兼用端子 (8)USB3.0端子 (9)ヘッドセット用端子 (10)バッテリーインジケーター (11)スピーカー

ACアダプターにアース用の端子が付いていることも少々気になった。現実的に、普通の家庭でアースがつなげるのは洗濯機近くのコンセントくらいだろう。世界共通のパーツを使っているからだと思うが、現実的に使えないものが付いているのはいかがなものだろう。しかも、コンセントに接触してショートしないようにビニールのカバーが付いている。こんな面倒なことをするなら、最初から付けるべきではないと思う。だいいち、見た目もよくないし、持ち歩きの際も邪魔なだけだ。

バッテリー駆動時間は18時間以上とされているが、これはあくまでも独自テストの結果だ。注釈を見ると「使い方によって大きく下回ることがある」と書かれている。僕が使った印象では9~10時間程度と感じたが、もちろん正確に計測できているわけではない。日本で携帯ノートを発売する以上、海外のメーカーでも、国内メーカー同様JEITAによる計測値を公表してほしい。ライバルと比較してどちらを選ぶか考えるときに、より正確な参考値がないのはとても困る。

なお、「電源コンパニオン」と呼ばれる専用の外付けバッテリーが別売で用意されている。こちも独自計測で10時間駆動となっており、USB端子を搭載しているので、XPS13以外でも外付けバッテリーとして利用できる。ただし、直販価格が税別で1万5555円というのは高い気がする。

バッテリー残量をランプで表示するインジケーターは秀逸だ。パソコンを起動しなくても20%刻みで残量の目安がわかるのだ

注目したいのが、本体の側面に付いているバッテリーのインジケーターだ。5つのランプでバッテリーの残量を示していて、ボタンを押すと光る仕組みだ。デルの携帯ノートは昔から採用しているのだが、これがなかなか便利だ。「明日持ち歩く」といったときには、夜にボタンを押して残量を確認してから充電すればよい。ほかのパソコンが電源を入れてOSを起動しないと残量がわからないのと比べると大変に気が利いている。

キーボードは快適、ただし「Enter」キーが極端に細い

キーボードは打ちやすく、キーピッチは19.05×18.05ミリとなっている。ほぼフルピッチと考えてよいだろう。ストロークは1.3ミリとやや浅いが、打った印象はもっと深く感じた。本体の剛性が高く、たわみが少ないためタイプ感はかなりいい。

ただし、キーが右にいくほど細くなり、特に「Enter」キーが極端に細いのは使いづらい。また、スペースキーも小さく、人によっては親指が届きにくいと感じることもあるだろう。もう少し一般的なレイアウトにしてほしいところだ。

タイプ感はなかなか良く、1.3ミリストロークの割には打ちやすい。ほぼフルピッチなのでタッチタイピングも普通にこなせる
特に「Enter」キーが非常に細いのが気に掛かるところ。タッチタイピングで手前部分を打つ人はミスタイプになりやすそうだ

また、タッチパッドがクリックボタン一体型なのも改善してほしいポイントだ。ウィンドウズ8が登場したタイミングで、各社が一斉にボタン一体型のタッチパッドを採用したのだが、クリックボタンは独立していたほうが使いやすい。ウィンドウズ10になり、ボタンが独立したモデルが増えてきているだけに、今後の対応に期待したい。

スペックは、さまざまな構成のモデルを用意しており、望みのものが見つかる可能性は高そうだ。僕なら、CPUがコアi5で8ギガのメモリー、256ギガのSSDを搭載したモデルを選ぶ。そんな構成でも、税別ながら16万円を切るのだから、コストパフォーマンスは相当に高い。超高解像度のタッチ液晶にコアi7を搭載したモデルでも同じく18万円台半ばと、全体的にかなり割安感があるのはデルらしいところだ。

256ギガのSSDは、PCIeの高速タイプなので容量が多いだけでなくレスポンスも良い。価格差はさほどないので、メモリーも8ギガになるプレミアムモデル以上をお薦めする

最後に1つ。ウェブページのわかりにくさを何とかしてもらえないだろうか。明らかに翻訳がうまくない部分や、スペックの整合性がとれていない箇所が見受けられる。ウェブでの注文が主となる会社だけに、もう少しきちんと作ってほしいと願う。購入後に勘違いに気付くと不幸だ。

コスパを考えれば悪くない選択だ

 高性能でスタイリッシュな携帯ノートを探している人には、間違いなく魅力的なモデルだ。アップルの「マックブック」に匹敵するようなスタイリッシュなウィンドウズノートを探しているならぴったりだ。細部の仕上げも良く、デザインの完成度はかなり高いので、関心のある人は店頭でチェックしてみるとよいだろう。

 CPUは、薄型ノートによく選択されるコアmシリーズではないので、パフォーマンスも十分。メモリーが8ギガのモデルを選ぶとより快適に使えるはずだ。個人的には、拡張性が低いのと、やや重いのが欠点に感じる。HDMIやアナログRGBの出力端子がないので、客先でのプレゼンに使うならアダプターは常に持ち歩かなくてはならない。とはいえ、それもデザインの良さと価格の安さが十分に補ってくれる。
戸田覚(とだ・さとる)
 著書が130冊を超えるビジネス書作家。年間300機種以上を評価する、パソコン批評の第一人者でもある。そのキャリアは20年近くに及び、ユーザーの視点で、パソコンの良し悪しをずばり斬る。

[日経PC21 2016年7月号の記事を再構成]

日経PC21 2016年7月号

著者 : 日経PC21編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 690円 (税込み)