インテリ&元レスラーのコンビ 話題も見た目も強烈
メイプル超合金、お笑い以外でもブレーク
全身真っ赤な衣装に金髪のカズレーザー=写真(右)=に体重130キロの安藤なつ=同(左)=というインパクト満載のビジュアル。そんな見た目もさることながら、カズレーザーは同志社大卒のインテリ芸人でバイセクシャル、安藤はプロレスラー経験があるなど話題の豊富さでもピカイチだ。最近はテレビだけでなく企業のPRイベントにも声がかかるようになるなど、下半期ひと波来そうな気配だ。
昨年夏頃から深夜帯のバラエティー『有田チルドレン』(TBS)などで活躍を見せ始め、年末には5年ぶりに復活した漫才日本一決定戦『M-1グランプリ』でファイナリスト入りした。M-1では「一人暮らしで寂しいから犬を飼いたい」という安藤の相談に対して、カズレーザーが次々にボケ倒す漫才で客席を沸かせた。
起承転結をつけたり伏線を回収したりといった構成をとらず、与えられたネタ時間の中でシンプルにボケ・ツッコミの会話を繰り広げる漫才が持ち味だ。
ネタ作りを担当するカズレーザーは「ストーリーを作ったりするのが面倒臭くて(笑)。伏線とか嫌いでしょうがない」と、自身の芸風を説明する。
芸人を目指したきっかけは、2人の間にちょっと温度差がある。
「好きなお笑い番組があったとかいうわけではなく、単純に9時~5時で働きたくなかった。芸術家とかいろいろ考えて消去法で残ったのが芸人だった」というカズレーザーに対し、「中学生ぐらいのときに『ボキャブラ天国』でアンラッキー後藤さんが好きになったのがきっかけ」という安藤。その好きになった人が"相方募集中"という看板を出してネタをやっていたのを鵜呑みにした安藤は、「私が相方になります」とファンレターを送ったという。
結成は2012年。女性コンビのぷち観音を解散し芸人を引退するつもりだった安藤を、ピン芸人だったカズレーザーが半ば強引に誘う形で結成した。
コンビとしての目標について、「お笑い芸人はこうじゃないとダメというお約束が多すぎる。芸歴とかも視聴者はどうでもいいと思っている人も多いはず。そういうストーリー的なものを全部なくして、とりあえずつけたら面白そうと思ってもらえるようなものを見せたい」と、カズレーザー。安藤も「集団芸とか苦手。そういう2人なんで」と同調する。
2人は、お笑い以外の活動でも広がりを期待させる。「文化人になりたい」と語るカズレーザーは2月放送『Qさま!!』(テレビ朝日系)の「ヤング学力王No.1決定戦」で優勝し、その潜在能力を見せ始めた。安藤は14年放送のドラマ『ナンシー関のいた17年』(NHK BSプレミアム)で主演のナンシー関役を演じるなど演技力に定評がある。
強烈な見た目ゆえにビジュアルだけのコンビと捉えられがちだが、実は中身のほうがもっとすごい2人組なのだ。
(「日経エンタテインメント!」5月号の記事を再構成。敬称略、文・遠藤敏文 写真・佐賀章広)
〔日経MJ2016年6月3日付〕
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