地方都市在住・36歳 いま一番の悩みは「結婚」キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論

(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)

こんにちは。ライターの大宮です。がんばって働いているアラフォー独身女性の恋愛事情をインタビューする本連載。一人につき4話に分けてお届けしています。多くの方に読んでいただけているようでうれしいです。今回から、4人目の女性が登場します。

北田美絵さん(仮名、36歳)は、ある地方都市に本社がある老舗名門企業で働いています。雇用を何よりも大事にするような家族主義的な会社の中で、美絵さんは目立つ若手社員のようです。美絵さんが働く町にある人気のエスニック料理店で一緒に食事をしながら話を聞くことにしました。

「この春から新部署に異動になりました。給料も職位も上がらないのに責任だけアップしています。私はほぼ社長直属なのですが、トンチンカンなことを横から言ってくる担当役員や部長たちに困っているところです。彼らは私という道具を使って社長の機嫌を取りたいのだと思います。その割には社長の意図をわかっていないし、リスクを取りたがらないのです。『君は命じられた仕事だけを完ぺきにやってくれればいい』なんて言われています。自主的に動かないと部署を新設した意味がありませんよね」

10年後、20年後も会社を存続させるために、優秀な若手や女性社員を抜てきして成長の芽を探したいカリスマ社長。その期待に応えようとする30代40代。そして、平穏無事に定年を迎えたい50代。他の会社にも当てはまりそうな対立構図ですよね。

美人で有能、そして「豪快」という形容が似合いそうなほど社交的な美絵さん。社長だけでなく、業界内の経営者たちからも注目される存在です。会社の顔のような扱いをされることも少なくありません。だからこそ、部長などからは煙たがられるのでしょう。

「仕事にはのめりこむタイプだと自分でも思います。仕事が終わらなくても定時で帰りたいサラリーマン気質の人には魅力を感じません。でも、私は仕事ができない人を排除するようなことはしないし、誰かを押しのけてまで出世したいとも思っていません。会社や上司のためにがんばっているだけです。私を目の上のたんこぶのように思っている部長たちの業績にも、けっこう貢献していると思うんだけどな……」

「5年後の自分を想像すると、焦りを感じる」

このまま出世街道を進みそうな美絵さんには大きな悩みがあります。未婚で、ちゃんとした恋人もいないことです。裕福な実家に暮らしていて男友達も少なくない美絵さん。生活に寂しさや不安を感じているわけではありません。自分自身への規範意識のようなものが「早く結婚して子どもを産まないとダメだ」と訴えかけているようです。

美絵さんはいま住み働く地方都市圏から出たことはありません。東京や大阪などの大都市に比べると、30歳を過ぎて独身のまま働き続ける女性は少なく、同調圧力も強い土地柄です。豪快に見える美絵さんも独身という形で目立ちたくはないと思っています。

「この年齢で結婚していないことが、いま一番の悩みですね。社内にも独身の女性部長が一人だけいますが、同じようになりたいとは思いません。子どもを産むリミットも迫っていると感じます。子どもが好きとかそういう問題ではありません。とにかく産まないといけない。外見と脳みそがいい男性と結婚して子どもができれば、離婚してシングルマザーになってもいいと思うこともあります。もちろん、性格もいい男性と結婚生活が続けばそれに越したことはありませんけど」

現状には何の不満もないけれど、5年後の自分を想像すると焦燥感に駆られる――。男性の僕には正直に言ってわかりにくいのですが、精一杯働いているアラフォー独身女性が陥りやすい心境なのかもしれません。

美絵さんには後悔もあります。学生時代から10年間も付き合ってきて、将来は結婚するものだと思っていた恋人に20代後半で「愛想を尽かされた」経験があるのです。

「思い出の場所でプロポーズをされたとき、私は即答をしませんでした。あなたと結婚したいけれどまだ早い、みたいな返事をした記憶があります。あの頃の私はモテ期だったので、『この人に決めちゃっていいのかな』という迷いがあったのは確かです。独身でいることが仕事でも有利に働いていたので、結婚してオジサンたちとの仕事がやりにくくなったらどうしようという変な心配もしてしまいました」

いま振り返ると、彼と結ばれるのが一番幸せな道だったと美絵さんは感じています。後悔先に立たず。年上でバツイチの僕は美絵さんに伝えたいと思います。後悔もまた生きる喜びだと。身をよじるような苦い思い出も、やがては人生の彩りになると信じましょうよ。

ただし、同じ失敗を繰り返してはいけません。ときには反省も必要です。この記事は美絵さんも読んでいます。自分の恋愛を客観的に見直す機会ですよね。何を変えるべきかを一緒に考えませんか。続きはまた来週。

(写真:鈴木愛子)
大宮冬洋(おおみや・とうよう)
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/

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