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スマホ連携ガムプレイ 1カ月で減った歯磨きのムラ

2016/6/23

サンスターから歯磨きの良しあしを判定するアタッチメント「G・U・M PLAY」(ガムプレイ)が登場した。Bluetoothでスマートフォン(スマホ)と接続して、アプリで磨けているかどうかをチェックしてくれる新しいコンセプトの製品だ。アプリでチェックすると言われても、いまひとつイメージがわかない。そこで実際に購入し、1カ月間、使用してみた。

■虫歯にならない歯の磨き方とは

先日、虫歯になった歯の神経を抜いた。歯磨きには人一倍まじめに取り組んでいたつもりだったが、この一件で自分のデンタルケアに自信が持てなくなった。

「80歳になっても20本以上の歯を保とう」と提唱する財団法人8020推進財団によると、「歯を失うことは栄養の摂取に影響を与えるだけでなく、歯を食いしばって力を入れることも困難になるなど、生活全体に関わる」という。

同財団によると「歯を失う原因の多くは虫歯と歯周病であり、このうち歯周病は成人の実に8割以上がかかっている」。サンスター財団が6月3日付で公開した歯周病を解説する動画には、血管に入り込んだ歯周病菌が動脈硬化の原因になる様子や、インスリンの働きを妨げて血糖のコントロールを阻害する様子が再現されていた。歯周病になると、全身にも悪影響が及ぶというわけだ。

そうならないためには、どうすればいいのだろう。8020推進財団やサンスター財団によると「虫歯と歯周病を予防するためには歯磨きが重要」というのだが、ただ歯磨きをするだけでは十分ではないことは、先日の痛い経験で思い知った。きっと、より効果的に虫歯や歯周病を予防する歯磨きの方法があるはずだ。

そんな折、サンスターから4月に新製品が発売された。新型の歯ブラシではなく、歯ブラシの根元に取り付けて磨き方の良しあしを可視化する「G・U・M PLAY」というアタッチメントデバイスだ。

サンスターの「G・U・M PLAY」。コイン電池で駆動する本体(右)と、歯ブラシに装着するためのキャップ(左)から構成される。価格は本体・キャップ・歯ブラシ1本のセットで5400円(税込)
G・U・M PLAYと歯ブラシはキャップで装着。歯ブラシのスタンドとしても機能する。この状態で上から下に歯ブラシを押し込むと、G・U・M PLAYのスイッチが入る

サンスターグループ広報部によると「G・U・M PLAYは、想定を大きく上回る注文を受けている」とのこと。やはり歯磨きがうまくできているか気になる人たちは少なくないようだ。

さっそくサンスターのホームページでG・U・M PLAYを予約。実際に使ってみることにした。

■G・U・M PLAYはブラッシングの動きを測るセンサー

サンスターが2014年に実施した歯磨き時間の調査によると、1分未満が13%、1~3分未満が35%と、全体の約半数の歯磨き時間が3分未満だった。

サンスターが行った歯磨き時間の調査によると、1分未満が13%、1~3分未満が35%と、全体の約半数が3分未満だった

「そこで、この半数の人たちにまずは3分間磨いてもらうため、G・U・M PLAYの開発がスタートした」(サンスターグループ広報部)

その結果生まれたのが、「MOUTH BAND」「MOUTH NEWS」「MOUTH MONSTER」という3種類(2016年6月3日時点)のスマホアプリ。これらのアプリには、3分間楽しく磨く工夫が施されており、しかも使用者の歯磨きの仕方を分析してくれる。

G・U・M PLAYは、歯ブラシの持ち手側の先端に装着する。持ち手と比べてかなり太いので、先端寄りの位置を持って磨く人は、持ちづらさを感じるかもしれない。本体とシリコーン製のキャップを合わせておよそ15グラムのG・U・M PLAYを装着すると、歯ブラシ全体の重心が下がってしまうのも、持ちにくい要因のひとつ。使い始めの頃は違和感があったが、3日ほどで慣れた。ちなみにG・U・M PLAYを装着できる歯ブラシは、サンスターの歯ブラシ15種類。G・U・M PLAYにも対応歯ブラシが1本付属している。

G・U・M PLAYの重さは15グラム(キャップ込み)と軽いが、重心が下がるので慣れが必要だ

G・U・M PLAYを装着した歯ブラシで歯を磨くと、本体に内蔵された加速度センサーが歯ブラシの動きをリアルタイムで捉え、Bluetoothを介してスマホにデータを転送する。そうすると、アプリ側で歯の全体を16のエリアに分割し、ブラッシング動作を分析して表示する。

■指示通りに磨くのがG・U・M PLAYのルール

G・U・M PLAYを使い始めて1カ月間。3つのアプリのうち、一番よく使ったのは、歯磨き中にバンドの演奏が楽しめる「MOUTH BAND」だった。ブラッシングの強さや早さに応じ、楽器を演奏するテンポや音量も変化する。演奏する曲は「聖者の行進」「オーラ・リー」などの収録曲のほかに、スマホに保存されている楽曲から選ぶこともできる。

MOUTH BANDは画面内の楽器をブラッシングで演奏するアプリ。適切な強さとリズムで磨くと上手に演奏できる

このアプリを使うには、スマホでMOUTH BANDを起動した後、机や棚の上に立てた歯ブラシを上から軽く押し込んでG・U・M PLAYのスイッチを入れる。アプリで曲目を選べば、演奏(歯磨き)開始だ。

MOUTH BANDで演奏曲を選んでいるところ。曲名を選んで「OK」をタップすると演奏画面に移動する

G・U・M PLAYを使ったブラッシングでは、画面内で指示されたエリアの歯を磨くのが基本。例えばMOUTH BANDでは「右上のOUTSIDE(外側)」からスタートし、「右上のMIDDLE(かみ合わせ面)」「右上のINSIDE(内側)」……と、10秒から12秒ほどで次のエリアが指示されていく。

画面の下には、磨き具合をリアルタイムで算定した結果が表示される。ハイスコアを狙うには、このスコアが100になるように、ブラッシングを工夫するのだ。良いスコアが継続すると、歓声を模した「ワーッ!」という効果音が響き、いい気分になる。

MOUTH BANDで歯磨き中の画面。上手に磨けていると歓声が聞こえてくる

Mouth Bandでいいスコアを出す方法が知りたくて、サンスターの情報サイト「Mouth&Body PLAZA」にある「正しいハブラシ使用法」の解説動画を見た。すると、「ハブラシを小さく丁寧に動かすこと」がポイントとされていた。それにならって小刻みな動きを心がけたところ、確かにスコアは向上した。

このスコアは、どうやって判定されているのだろうか。サンスターに問い合わせると、「歯科衛生士のブラッシングデータをもとに、ストロークの大きさ、スピード、磨く時間を判定している」という答えが返ってきた。

「G・U・M PLAYの本体は、ブラッシング時の動きを分析すると同時に、歯ブラシの向きも捉えている」そうだ。例えば「右上の歯を磨く」と指示されているときにブラシが上を向いていれば「右上のかみ合わせ面を磨いている」と判断し、「左下の歯を磨く」ときにグリップから見てブラシが右を向いていれば「左下の内側を磨いている」と判断する仕組みだ。

ただ、G・U・M PLAYで直接検出できるのは、「外側・かみ合わせ面・内側」の違いだけ。そのため、画面上では「右上の歯」と表示されているのに、実際には「左上の歯」を磨いていたりすると、ブラッシングの分析が正しく行われない。

本当は、どの歯から磨き始めても正確に分析されるのが理想だろう。しかし残念ながら、現時点では対応していない。G・U・M PLAYで磨くときは、必ず画面の指示通りのエリアを磨く必要がある。

■3つのアプリは歯磨きに集中する助けになる

MOUTH BAND以外のアプリも使ってみた。MOUTH NEWSは、3分間の歯磨きの間にニュースチェックができるアプリ。主なニュースのダイジェストや天気予報などの情報を、人工音声が自動的に読み上げてくれる。

MOUTH NEWSは忙しい朝にぴったりのニュース読み上げアプリ。歯磨きをするとニュースの読み上げが進む

MOUTH NEWSでは磨くエリアの指示がやや大まかで、例えば「右上の歯」と指示されていれば、どの面から磨いてもかまわない。ただし、指示されている間に外側・内側・かみ合わせ面(奥歯の場合)の各エリアすべてを磨く必要がある。

また、ブラッシングが強すぎたときには注意が表示されるものの、MOUTH BANDのスコアのように、磨き具合がリアルタイムで評価されるわけではない。磨き具合をリアルタイムで確認しながら磨くというよりも、歯磨きをしている時間を有効活用するためのアプリと考えるのが妥当だろう。

MOUTH MONSTERは、歯磨きとゲームを結びつけた子ども向けのアプリだ。画面内を逃げまわるモンスターの位置に合ったエリアを磨き、適切なブラッシングをすることでモンスターにダメージを与えられる。

MOUTH MONSTERはブラッシングでモンスターと戦うゲームアプリ。子ども向けだが、大人でも意外と楽しめた

実際にやってみたところ、確かに歯磨きタイムをゲーム感覚で楽しむことができた。ただ、磨く場所が文字で表示されないので、子どもが使うときにモンスターを見失うかもしれない。そういうときは、大人が側にいて「右上に逃げたよ、今度は左下だね」などとアドバイスすればいいということだろう。

磨く場所を細かく指示するMOUTH BANDやMOUTH NEWSsと比べると、MOUTH MONSTERは「歯磨きに興味を持ってもらうためのコンパニオンアプリ」という位置付け。サンスターによると、実際に子どもに使ってみたユーザーから「子どもの歯の仕上げ磨きの際にMOUTH MONSTERを使うことで、歯ブラシをかんだり口を閉ざしたりすることなく、素直に仕上げ磨きができるようになった」という声もあったという。

■「マウスログ」でブラッシングの様子をチェック

G・U・M PLAYには、過去のブラッシングデータを「マウスログ」として後から参照する機能もある。

下の画像の左側は、G・U・M PLAYを使い始めた日の実際のマウスログ。下の前歯のエリアが外側・内側とも「BAD」を示す赤色になっている。また、治療済みの歯は左上の奥歯の1つだが、内側のエリアが「MID」を示す青色になっていた。

G・U・M PLAYを使い始めた頃の筆者のマウスログ。うまく磨けていない赤色の部分が目立つ(左)。一方、こちらは最近のマウスログ。よく磨けていることを示す緑色が全体に広がっている(右)

そして右の画像は、1カ月ほどたった日のマウスログだ。1カ月前はうまく磨けていなかったエリアを含め、全体的に「GOOD」を示す緑色か、GOODとMIDの中間の色で表示されている。この表示は、歯科衛生士のブラッシングデータを基準として磨き具合を判定しているそうだ。

初日のマウスログを見たときは、「こんなにムラのある磨き方をしていたのか」とへこんだ。しかし、1カ月後にこれまでの記録を見直したときは、かなり上達しているのがわかってうれしかった。自分の成長を目で確かめることで、モチベーションを維持していける、レコーディングダイエット的な効果もありそうだ。

■オーラルケアに興味を抱くための入り口

もちろん「G・U・M PLAYがあれば歯の健康は万全」というわけではない。

G・U・M PLAYの開発に携わった歯科衛生士の安田佳保里さん(サンスター財団副歯科衛生士長)によると、「G・U・M PLAYは歯磨きのクセや磨き残しが多い場所を知るための目安」。G・U・M PLAYを使うことでオーラルケアに興味を持ち、日ごろの行動を変えるきっかけにしてほしいと語る。

安田さんによると「歯ブラシで除去できるのは歯垢(しこう)の60パーセントにすぎない」そうだ。そこで歯間清掃具(歯間ブラシ、糸ようじなど)を使った歯と歯の間のケアや、舌や歯茎を含めた口内全体を清潔に保つための液体歯磨きの併用も推奨している。「セルフケアに頼るだけでなく、年に2、3回程度は歯科医のチェックを受けてほしい」

逆に言えば、虫歯や歯周病に結びつく歯垢の6割は、歯磨きで取り除いていることになる。「G・U・M PLAYで自分の磨き方を意識することで、日々の歯磨きが効率的になると考える」(安田さん)。

過度な期待は禁物だが、アプリを使うことで3分間の歯磨きが楽しくできるようになり、記録が残ることでモチベーションも維持できる。小さな子どもがいる家庭なら、子どもの歯磨きに対する意識付けにも役立つだろう。わが家のように、まずは親から使い始めてみてもいいかもしれない。

(ライター 松村武宏)

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