甘~いデザートコッペパン いま食べるべき新旧3選
並んでも買いたい人気店のコッペパン
数年前から多くの雑誌で特集が組まれるようになり、パンブームといわれる状況にある昨今。現在、そんなパンの中でもコッペパンに熱い視線が注がれている。次々にコッペパンの専門店がオープンし、それにともなって昔ながらの店のコッペパンにも注目が集まっているのだ。パンの研究所「パンラボ」を主宰し、「日本全国パンの聖地を旅する パン欲」(世界文化社)などパンに関する著書を多く執筆するパンライター・池田浩明さんに、大人も子どもも大好きなデザートコッペパンのおすすめをうかがった。
昔ながらの味を守る藤乃木製パン店「ピーナッツコッペ」
年間に1000個近いパンを食べる池田さんがまず名前を挙げたのは、東京・富士見台にある「藤乃木製パン店」の「ピーナッツコッペ」。半世紀以上も続く同店の人気メニューだ。
「昔からある店だからといって、昔の技術がそのまま残っているわけではないんです。年を重ねるうちに味が変わったり、添加物に頼ったレシピに変えてしまったりすることがある。でも、この藤乃木製パン店はそのまま、昔ながらの製法で作り続けています。オーブンも見せてもらったのですが、年季の入った昔ながらのものでした。昔のオーブンのほうが蓄熱がよく、新しいものとは違う味わいが生まれるのもポイント。ここのパンはしっかりと焼いた皮の味がします」(池田さん)
「ピーナッツコッペ」はレジ横のかごに置かれており、かごが空になっていても頼めばその場で作ってくれる。へらを使ってたっぷりとクリームが塗られたコッペパンは、手提げのビニール袋を持ち歩いているだけで香ばしい匂いが漂い、食欲を誘う。食べてみるとたしかに表面の皮が分厚く、かみごたえのある生地を味わっているうちに甘いクリームが口の中で溶けていく。
クリームは乳白色でややゆるく、端から端まで塗られていてがつんと甘い。それでいてどこか上品な感じもする味だ。
「ピーナツクリームは自家製ではなく外部から仕入れてきたものですが、懐かしい味がします。昔のピーナツコッペパンってこういう感じなんだろうな、と思わせる味です」(池田さん)
住所/東京都練馬区富士見台2-19-19
営業時間/9:00~20:00
定休日/火曜日、第1.3月曜日
「おまけ」の限定メニュー ル・プチメックOMAKE「ラムレーズン入り練乳クリーム」
新店でもコッペパンを主力商品として据えるお店は多く、その注目度の高さがうかがえる。京都市内を中心に複数の店舗を展開する「ル・プチメック」は、2015年にパン作りのための工場を稼働開始。その直売所としてオープンした「ル・プチメック OMAKE」では、同店限定のメニューとしてコッペパンを販売している。
「せっかくの新店なので既存のお店にはない商品で、老若男女問わず地域の人から気軽に買ってもらえるパンを考えた時に、コッペパンを考えつきました」(ル・プチメック 千本真大さん)
「オーナーシェフの西山さんはフランスの色々なお店で修行を積んだ方。自家製のジャムやフィリングなど、フレンチの技法を取り入れてメニューを開発しています」(池田さん)
中でも人気は「ラムレーズン入り練乳クリーム」。このクリームをくるみパンに挟んだものがル・プチメックの人気商品で、コッペパンに挟んだところOMAKEでも定番の商品となった。
コッペパンは軽く、しっとりとした食感。生地にはちみつを練り込むことで、その食感を作っている。練乳クリームの甘さは控えめで、ラムレーズンのさわやかな酸味が口に広がる一品だ。
パン自体はかなり大ぶり。一人で食べるのもいいが、手土産にして複数人で食べるのもおすすめだ。
住所/京都府京都市中京区池須町418-1 キョーワビル1F
営業時間/9:00~19:00
定休日/不定休
話題の最新商業施設にオープン トラヤカフェ・あんスタンド「あんコッペ」
今年4月に新宿駅南口にオープンしたばかりの最新スポットNEWoMAN(ニュウマン)。この注目の施設でも、コッペパンが購入できる。老舗和菓子屋のとらやが運営するトラヤカフェ・あんスタンドの「あんコッペ」だ。
「ここのパンはル・プチメックのものを使用していて、表面はぱりぱり、中身はもっちり。とらやのあんペーストはねっとりとコクがある。話題性なら一番のコッペパンです」(池田さん)
トラヤカフェは現在六本木、表参道、青山、そして新宿の4店舗だが、この「あんコッペ」が購入できるのは新宿のあんスタンドのみ。テイクアウト時にはあたためてもらうこともでき、よりコッペパンの香ばしさを堪能できる。
滑らかなこしあんペーストの下に敷かれているのはクリームチーズ。あんこのコッペパンというとバターやマーガリンの印象があるが、クリームチーズのまろやかな酸味ともよく合っていた。従来のあんコッペの印象をくつがえす、新しいスイーツとして食べたい商品だ。
住所/東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-55 NEWoMan新宿2階
営業時間/9:00~22:00
定休日/なし
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今回は昔ながらのパン屋のコッペパンと、ここ数年でオープンした新店のものをそれぞれ紹介した。古き良き時代の味を守り続ける店がある一方で、これまでにないものを作る新店がある。子どもから年寄りまで親しみやすい存在でありながら新商品で若者にも魅力を発信するデザートコッペパンは、まさにコッペパンブームの縮図ともいえよう。ブームは今後もますます盛り上がりを見せていきそうだ。
第1回 魅力は「ライブ感」、コッペパン専門店が人気のワケ
第2回 揚げ物コッペパン 味とボリュームにうなる人気3店
第3回 パン作りへのこだわりが詰まった総菜コッペ
第4回 甘~いデザートコッペパン いま食べるべき新旧3選
(ライター 小沼理=かみゆ)
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