FXで2年分の年収を飛ばす ナンピン買いがあだ「失敗さん」の実例に学ぶ投資の落とし穴(下)

日経マネー

PIXTA
PIXTA
日経マネー

株の銘柄を増やし過ぎたり、売り時を逃して損したり、はたまた、外国為替証拠金(FX)取引でリスクを取り過ぎたり。そんな“失敗さん”の実例には、「他山の石」の教訓があふれている。これらを3回に分けてじっくり見ていこう。最終回は、FXで強制ロスカットされ年収の2倍の金額を失ったケースと、安易なシステムトレードで40万円の損を出したケースを紹介する。

【豪ドルのナンピンで強制ロスカット】

FX取引の豪ドル買いで、痛い思いをしたのは山井美江さん(仮名・40代)。「ナンピン買いで、安易に取引量を膨らませてしまった」とため息だ。

2014年にFXを始めた当初は、円安の波に乗って利益が出た。強気になった山井さんは、証拠金と取引量をどんどん増やした。

そして、豪ドルが14年11月に天井を付けた後、下落していく過程でナンピン買いを繰り返す。買い建て量は最大60万通貨に増え、証拠金も約800万円まで膨らんだ。「途中、証拠金維持率が下がって、慌てて定期預金を解約して追加入金したこともありました」。

過大なリスクを取った結果、15年6月末からの一段の下落で300万円以上の損切りを余儀なくされ、最後は8月末に強制ロスカット。FXを退場した。「損切りは早め、ナンピンは禁物。年収の約2年分の、高い高い授業料でした」

深野:証拠金の上限を最初に決めて、絶対に守る。それができない人は、FXに向いていない。為替相場は一方向に長期的に動く傾向があるので、逆張りのナンピンは基本NG。

清水:金利が高いので豪ドルやニュージーランドドルを買い建てする人は多いが、金利が目的なら証拠金の2倍程度までの取引量が目安。

【システムトレードでいきなり失敗】

「手間をかけずに稼げるかと期待したのですが、そうおいしい話はないですね」と語る森野一起さん(仮名・40代)。思惑が外れたのは、FXのシステムトレード(プログラムによる自動取引)だ。

通常のFXで、年間に数十万円の利益をこつこつ積み上げてきたという森野さん。ただ、会社員だけに「トレードの時間に制約があるのが難点だった」。そこで目を付けたのがシステムトレードだ。

2015年に、証拠金200万円を入れて取引を開始。過去の運用成績が良かったユーロ/ドルの通貨ペアのプログラムを選び、売買を任せた。ところが、3月末にプログラムが建てたユーロ買いのポジションが、4月に自動決済された結果、40万円の損失が発生。

「そのうち何とかなるだろうと見ていたが、あっさり損失が確定してしまった」と森野さん。自動取引を十分に研究しないまま、大きな額を入れたことを反省している。

深野:少なめの金額と取引量で色々と試し、検証のステップを踏んでから徐々に金額を上げるのが無難。

清水:プログラムには相場によって向き・不向きがあり、損失が出ることも当然ある。それに耐えられるような、資金管理とリスク管理が必要。
深野康彦さん
ファイナンシャルリサーチ代表

業界歴28年のベテランファイナンシャルプランナー。個人向けの相談業務の傍ら、雑誌や新聞、テレビなどを通じて投資の啓蒙活動を行う。『1万円から始めるETF投資』(日本経済新聞出版社)など著書多数
清水洋介さん
アルゴ ナビス代表

大和証券、マネックス証券、リテラ・クレア証券などを経て独立。個人投資家向けに情報配信や株式投資教室などを行うアルゴ ナビスを設立。投資戦略の構築、相場の見方、テクニカル分析などが専門分野

(日経マネー編集部 小谷真幸)

[日経マネー2016年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2016年9月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし