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CM人気の後押しでスマホユーザー層拡大狙うau

2016/6/1

KDDI(au)は2016年5月31日、スマートフォンの新機種や新サービス、新プログラムを発表した。長期ユーザーへの施策や幅広い端末ラインアップなど、多様なユーザーに向き合う姿勢を見せたのが大きな特徴だ。ユーザーごとに異なる要望に、できるところから少しずつ応えていこうという、じっくりとしたアプローチでスマホユーザーの拡大を狙う。オリジナルモデルの「Qua」など、他社にない端末を用意したのも特徴だ。

■幅広いユーザーを手厚くサポート

KDDIの田中孝司社長

auは発表会において、「auは、大きく変わる。」と強く打ち出した。これまではいち早く高性能なスマホが欲しい先進的なユーザーがスマホ需要を支えてきた。ユーザー層が拡大し、今後はこれまでスマホを使ってこなかった層が増えてくる。多様なユーザーにマッチしたサービスや製品を提供していく構えだ。例えば「au STARパスポート」という新しいプログラムでは、auショップで日時を指定して予約できるようになり、詳しい説明が必要な人、説明は不要な人など、応対のレベルが選べるようになる。

今回、新しいサービスとして、世界32の国・地域で24時間980円でデータ通信を利用できる「世界データ定額」を追加した。新プログラムでは、上記のau STARパスポートのほか、長期利用のユーザーに向けたau STARロイヤルなどを発表した。au STARロイヤルでは4年以上契約を続けているユーザーにau WALLETでのポイント還元を行う。KDDIの田中孝司社長によると、幅広いユーザーにリサーチした結果、料金を安くするよりもポイント還元を望むユーザーが多かったのだという。

発表会では人気のCM「三太郎」シリーズの出演俳優が登場するとともに、新しいキャラクターとして「一寸法師」として俳優の前野朋哉さんが登場することを発表。「これまでとちょっと違う」キャラクターとして「変わる」auをアピールした。

夏商戦向けの端末としてはスマホ新機種を7機種、既存モデル1機種の新色などを発表した。今回の発表以外にも夏商戦向け端末を追加する予定があるという。

スマホの機種を絞ることを表明したNTTドコモとは対照的だが、これも多様なユーザーが、それぞれ自分に合った端末を選べるようにという戦略だ。「機種を絞ると顧客が機種に合わせることになる。顧客ごとに希望は違うので、顧客の声を聞きながらラインアップをそろえていきたい」(田中社長)

■普及層を狙うau独自企画の「Qua」

その中でも普及層を狙うというauの狙いを象徴しているのが、au自身が企画するオリジナルブランド「Qua」シリーズの端末だ。

スマホの「Qua phone PX」と、タブレット「Qua tab PX」。「au Gallery」を使って写真を同期している

Quaシリーズの端末は、シンプルなデザインながら、使い心地と手ごろな価格を重視している。今回はその新機種として、スマホの「Qua phone PX」と、タブレット「Qua tab PX」(共にLGエレクトロニクス製)が発表された。なお、従来の「Qua phone」は京セラ製、「Qua tab 02」はファーウェイ製だった。

Qua phone PXは5.2インチディスプレーを搭載したスタンダードなモデル。被写体や背景に応じて自動的に補正を施す「ベーシック」機能を備えた1610万画素のカメラを搭載している。またQua tab PXは、8.0インチのディスプレーに4800mAhの大容量バッテリーを搭載するほか、ワンタッチでブルーライトをカットできる「リーダーモード」を用意するなど、長い時間安心して使えるのが特徴となっている。両機種共に防水・防じん性能に対応しているのも安心につながる。

そしてQuaシリーズの大きな特徴となっているのが、スマホとタブレットの連携機能である。Qua phone PXとQua tab PXも、様々な連携機能を用意している。

連携は簡単に設定できる。一度設定すれば近づけるだけで連携機能が使える

新機能の「au Gallery」を利用すれば、スマホで撮影した写真をタブレットと同期し、どちらの端末でも同じ写真を見られるようになる。

さらに従来からあるスマホの画面をタブレットに表示する「スマホ画面リンク」や、スマホで見ていたWebサイトや画像などをタブレットで継続できる「つづき見クイック」なども利用できる。スマホとタブレットを境目なく使える環境が整えられていることから、場面に応じて使い分けしやすくなっているのも大きなポイントだ。

「スマホ画面リンク」を利用しているところ。タブレットからスマホを操作できる

auはQuaシリーズのほかに、購入しやすい価格帯のスマホをもう1機種用意している。それがシャープ製の「AQUOS U SHV35」である。こちらは省電力性に優れたシャープ独自のIGZO液晶に加え、3010mAhのバッテリーを搭載したことで、長時間利用できる安心感を重視したモデル。夜になると、画質を自動的に切り替える「リラックスオート」や、「くっきり」「ふんわり」といったメニューを選ぶだけで、写真を好みのスタイルに仕上げられる「おまかせプラス」を搭載するなど、スマホを簡単に快適に利用するための工夫が随所に施されているのが特徴だ。

AQUOS U SHV35

一方で、後述するハイエンドモデルの「AQUOS SERIE SHV34」と比べると、ハイスピードIGZOを採用していないのに加え、チップセットやカメラ、通信速度などの性能面は落としてある。最先端ではないが、使い勝手と価格を重視したモデルとなっているようだ。

■初のハイレゾイヤホン付属モデルも登場

もう1機種、国内ではauだけから発売されるHTC製の「HTC 10 HTV32」は、ハイエンドモデルながらコストパフォーマンスが高い製品になっている。特徴はメーンカメラだけでなく、フロントカメラにも光学式手振れ補正を搭載したことと、標準でハイレゾのオーディオに対応していること。

HTC 10 HTV32。ハイレゾ用のイヤホンが付属する

スマホ本体で高音質を実現する「BoomSound 2.0」を搭載し、単体で買うと1万円程度はするハイレゾ対応イヤホンが標準で同こんされていることから、ハイレゾオーディオを試したいけれど手が出せなかった人にとって、非常に魅力的な機種となっている。

なお、この機種はグローバルモデルをそのまま国内に投入している。それゆえ性能自体は高いものの、防水や、おサイフケータイ、ワンセグに対応していない。その分価格は他のハイエンドモデルと比べ安めに設定されている。音楽重視のユーザーや、ハイエンドモデルを手ごろな価格で購入したい人に向いたモデルといえるだろう。

■バットマンデザインの限定100台モデル

この他にも、auは3機種のハイエンドスマホを投入している。これらはいずれもNTTドコモやソフトバンクから投入されたモデルと基本的に共通である。

発売済みの「Galaxy S7 edge」は、両側面がカーブした5.5インチのデュアルエッジスクリーンを採用したハイエンドモデルで、3600mAhの大容量バッテリーを搭載し、防水・防じん性能に対応させながらも、7.7mmの薄さを実現している。新たに下り370Mbpsの通信速度に対応したのが、au独自のポイントとなっている。

また、わずか100台の限定で、バットマンをモチーフとした「Galaxy S7 edge Injustice Edition」も提供する。仮想現実(VR)用のゴーグルなどがセットになっており、画面のデザインなどもバットマンの世界観に合わせている。au独自の製品である。

Galaxy S7 edge Injustice Edition。これらが全部セットになっている

発表済みの「Xperia X Performance」は、2300万画素のカメラに加え、特定の被写体の動きを予測してフォーカスを合わせ続ける「先読みオートフォーカス」を搭載するなど、高いカメラ性能を誇るのがポイント。Galaxy S7 edge同様、下り最大370Mbpsの通信速度に対応している。

そしてシャープ製の「AQUOS SERIE SHV34」は、NTTドコモの「AQUOS ZETA SH-04H」とデザインや機能面で多くの部分が共通している、兄弟モデルとなっている。指紋認証センサーを搭載していない代わりに、目による生体認証を採用しているのが、AQUOS ZETAとの大きな違いとなる。

もう一つ、新機種ではないが、京セラ製タフネスモデル「TORQUE G02」に新色「ブルー」が追加された。TORQUEの利用者はアウトドアの趣味、特に釣りをするユーザーが多いことから、新たに天気や潮位、気圧などを手軽に確認できる「OUTDOOR PORTAL」や、写真で釣果を記録できる「FishingLog~釣れてる?~」などのアプリを追加した。アウトドアをより楽しめる一層の配慮がなされている。

TORQUE G02の新色ブルー

改めて今回のauのラインアップを振り返ると、幅広いユーザーに訴求するQuaシリーズ、高性能を求めるユーザーに向いたGalaxyやXperiaとポイントを押さえた上で、ハイレゾや価格面で特徴があるHTC 10などの端末を投入している。CMの勢いそのままに、狙い通りの層にauの人気が一層拡大するかどうかが注目されるところだ。

佐野正弘(さの・まさひろ)
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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