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上司の言い分vs部下の言い分

人事で動かしたい部下と動かしたくない部下の違いは?

濱田秀彦 株式会社ヒューマンテック代表取締役、マネジメントコンサルタント

2016/7/17

PIXTA

人事異動にどう向き合うか

 そろそろ、人事異動が本格化する時期です。組織の再編にともない、多くの人が動く時期がやってきます。

 この時期、上司は来期のチーム編成を考えます。誰を残し、誰を放出し、どんな人材を得るか総合的に判断します。

 一方、部下の側は受け身です。自分は残るのか異動するのか、期待する者、不安を感じる者様々です。

 今回のテーマは、人事異動。経営サイドの意向もあり、上司・部下の関係がすべてではありませんが、上司と部下の意向が色濃く反映されることは確かです。今回は、人事異動に対して上司・部下がどう向き合えばよいのかを考えます。

上司の言い分

 期末が近くなると、組織再編や人事異動の噂が流れ、部下が落ち着かなくなるので困りますよ。余計なことを考えずに仕事に集中してほしいですね。いろいろと聞かれますが、私だってどうなるか、よくわからないんです。

 いま、来期の体制を考えているところですが、一部の部下を他部署に放出し、同時に補充する入れ替えをしたいと思っています。できれば、同じメンバーでやっていきたいですよ。人が変わると引き継ぎが発生しますし、いろいろと手間がかかりますから。でも、いつも動かしたいメンバーはいるものです。

 最も動かしたいのは、勤怠が不安定な者です。あてになりませんから。次は、やる気のない者です。特に、能力があるのにやる気がなく、後ろ向きな者は周囲に悪影響を与えるので放出候補です。能力的には多少物足りなくても、素直に一生懸命やる部下は残したくなりますよ。やる気があれば、スキルはあとからついてきますから。

 部下の希望やキャリアについては、考慮しますよ。でも、希望といっても漠然としている者が多く、自分はあの部署で、こういう仕事をやりたいと具体的に希望する者は少ないです。そういう状況ですから、人事異動については、チームの事情や目の前の仕事を中心に考えます。

【部下に求めること】

*異動や組織再編の噂に振り回されず落ち着いて仕事をしてほしい

*日頃からやる気、前向きな姿勢を見せてほしい

*異動について希望があるなら具体的に言ってきてほしい

部下の言い分

 異動の時期は不安です。職場が変わったら、いまよりよい環境になる可能性もありますが、悪くなる可能性もありますから。いつも異動前になると、いろいろな噂が流れ、仕事に集中しにくくなります。組織再編や人事異動に関し、僕らは受け身ですから、心配にもなりますよ。もっと情報がほしいですね。

 いまの上司は気に食わない部下は出す傾向があります。どんどん意見を言ってこいと言う割には、正論をぶつける部下を煙たがるんです。能力のある者を放出してしまい、イエスマンばかり。上司は、様々なタイプの部下を使いこなして成果を上げていくべきでしょう。僕も結構言う方なので、そのうち出されてしまうかもしれません。

 毎年、自己申告書には、やりたい仕事を書いています。でも、一向に実現する様子がありません。結局、異動って、上司や会社の都合でされるものなんですよ。もっと、僕らのキャリアのことも考えてほしいと思います。

【上司に求めること】

*組織再編や人事異動の情報をもっと流してほしい

*いろいろなタイプの部下を使いこなしてほしい

*部下のキャリアを考慮してほしい

異動を上司・部下ともに、良い機会とするために

 異動に関する上司・部下の意識の隔たりは意外に大きいようです。どうすればよいか、考えましょう。

上司への提案

 異動はチームの戦力を整え、活性化させるためのカードであることは確かです。ただ、異動のカードを切る前に、考慮すべきことが3つあります。

(1)中期のチーム構想

 プロ野球で言えば、攻撃主体のチームを作るか、守備主体のチームを作るか。それがあっての、トレードです。他チームの強打者やエースを引っ張ってくれば勝てるようになるわけではありません。

(2)現状の部下の活用度

 いまの部下を本当に生かせているか改めて考えてみます。自分の使いやすい部下を集めれば、楽にはなるでしょう。しかし、戦力が低下すればチームとして実績が残せなくなります。一流のマネージャーは、様々なタイプの部下を組み合わせ、生かして成果を上げていくものです。

(3)部下のキャリア

 部下は上司のものではなく、会社の資産であり、ひとりの人間です。本人のキャリアを考え、自分のもとから巣立たせることも考えましょう。人が変わっても成果を継続できる仕組みを作るのが、上司の役割です。なお、本人のキャリアについては、上司の思い込みで判断するのは危険です。自己申告書に書かれていることを読むだけではなく、背景や真意をヒアリングしておきましょう。

*中期のチーム構想を作る

*どんな部下でも活用できる上司になる

*部下のキャリア形成を考える

部下への提案

 異動の時期は様々な噂が飛び交い、不安になることはやむを得ないことです。ただ、周囲が浮足立っている中でも、仕事に集中できるのがプロというもの。上司が持っている情報も正確とは限りません。気にしても仕方がないことです。

 異動に対し、部下側が受け身であることは確かです。でも、異動に対し、部下側から影響を与えることはできます。

(1)異動を希望する場合

 やりたい仕事があるならば、積極的に上司にプレゼンしておくべきです。例えば、「自分はあの部署でこういう仕事がしたい。自分の能力は、その仕事でこう生かせるはず」というように、自分の使い道を根拠とともに伝えておきます。前向きに仕掛ければ、上司も、会社も動くものです。特に、経営層は前向きなチャレンジをしようとしている人を歓迎します。

(2)いまの部署に止まりたい場合

 異動したくないならば、上司が期待していることを知り、応えていくのはもちろんのこと、仕事面でも手を打っておきます。例えば、上司は重要な仕事をやりかけている部下は動かしにくいものです。一方、やりかけの重要な仕事を持っていない部下は動かしやすいもの。異動したくないなら、間を開けずに次々と重要な仕事を担いましょう。「大仕事を終えたから今年は少しのんびりしよう」などと思っていると動かしやすい部下になってしまいます。

 いまの職場に残りたい、他の部署に移りたい、どちらにしても、異動に対して影響力を発揮していくことは自分のために必要なことです。

*組織変更や異動の噂に惑わされず、目の前の仕事に集中する

*やりたい仕事があるならば上司に具体的に話す

*異動したくないなら、やりかけの重要な仕事を絶えず持つ

 異動を上司・部下ともによい機会にできるようにしていきましょう。

[日経Bizアカデミーの記事を再構成]

 「上司の言い分vs部下の言い分」は日曜更新。次回は7月24日の予定です。
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濱田秀彦(はまだ・ひでひこ)
株式会社ヒューマンテック代表取締役、マネジメントコンサルタント
1960年東京生まれ。早稲田大学卒業後、住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て、大手人材開発会社に転職。トップセールスマンとなり、営業マネージャー、経営企画室マネージャー、システムソリューション部門責任者を歴任後、独立。現在は、コンサルタントとして、公開セミナー、個別企業の研修に出講しており、これまで指導したビジネスパーソンは1万7000人を超える。

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