ネット証券担当者は見た 急落相場の負けパターン

日経マネー

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荒れ相場でも勝つ投資家はどう動いているのだろうか。日々顧客の売買データを分析しているネット証券の情報担当者に聞いてみた。

信用取引で一発退場も

ネット証券A:負けている人の特徴は「アベノミクス相場」の定石を引きずっている人。信用取引のレバレッジを上げて、買って、オーバーナイトで持ち続ける。これだと日経平均株価が1日で500円ずつ下がるような相場では「瞬殺」。ここ数年のもうけを全部吐き出して一発退場の例もあった。

ネット証券B:うちは2月に10億円単位で損した人がいる。個人投資家の8~9割はロング(買い)から入る。2015年までは大型株が下がった時に拾っていれば勝てた。そういう人たちが16年初以降はナンピン失敗でずるずると負けている。

ネット証券C:16年に入ってからは圧倒的に中小型と新興市場株が優位です。大型株はヘッジファンドなどのプログラム取引の比率が高く、下げが下げを呼ぶ悪循環でした。それに巻き込まれたお客さんも多い。

注:各指数は2015年1月9日時点を100として指数化

A:株は上がる時はじわじわ上がるけど、下がる時は一瞬。信用取引をしている人は追い証になる前にアラートが出るが、大口に関しては個別に注意喚起もしていた。

B:例えば人気のそーせいグループ(4565)の現物株を担保にして信用取引をする人もいたが、ボラティリティーはすさまじい。こうしたハイリスク・ハイリターンの「2階建て戦法」が報われたのは15年までだね。

テーマ株は集中・短命化

A:ロングの投資家で勝っているのはテーマや材料株。ただしこれも一つ一つがかなり短期化している。少し前の例ならゲームのガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)とかミクシィ(2121)の人気はしばらく続いた。でも最近はフィンテックですら既に盛り上がりに欠ける。

C:バイオは少し長持ちしそうです。小野薬品工業の「オプジーボ」のように、当たると売り上げも利益も倍々で増えていく。

B:次々と新しいテーマや材料を探してきては集中的に売買し、すぐに利食って消えていく。前向きな材料が出ているとはいえ、そーせいの上がり方もちょっと異常。細かく利益確定して機敏に乗り換えないと「気付いたら誰もいなかった」なんてことになりかねない。

「短期」と「売り戦略」が鍵

C:年明け以降の相場で勝っている投資家のキーワードは、少し言葉は悪いが「イナゴ投資家」。オーバーナイトはせず、「地合いが変わった」と思ったらすぐ逃げる。チャートをよく見ていないと勝てない相場になってきました。ただしこれは経験がものをいう分野。最近のセミナーではテクニカル分析が知りたいという人が増えました。

A:優待や高配当銘柄はやはり強い。少額投資非課税制度(NISA)口座の買い付けランキングにはイオン(8267)ANAホールディングス(9202)が出てくる。株価が下がりにくいので荒れ相場にはもってこい。

B:売り戦略が使えないと厳しい。買いだけだと相場によっては逃げて見ているしかなくなる。先物でも信用売りでもいいので、引き出しを1つでも多く持っていないと対応できない。それでも駄目なら「休むも相場」と開き直っていったん離れてしまうのも「勝ち」だ。

(日経マネー編集部 嶋田有)

[日経マネー2016年7月号の記事を再構成]

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著者 :日経マネー編集部
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