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池上彰のやさしい経済学

派遣切りがきっかけとなった、マルクスの再評価 著者が解説~池上彰氏(4)

2012/5/18

資本家は労働者を搾取し、利益を生み出している
~マルクスが分析した資本主義のメカニズム~

資本主義経済における競争に勝つためには、資本家はとにかく利益を出さなければなりませんが、利益というのは誰が生み出しているのでしょうか。マルクスは、利益は労働者が働くことによって生み出されると考えました。そして、労働者に労働力の分だけ賃金を払っていながら利益を生み出しているということは、資本家は労働者を搾取しているのだ、と考えたのです。どういうことか、見ていきましょう。

まず労働には「必要労働」と「剰余労働」があると考えます。労働者が働いて生み出した利益のうち、労働者へ給料として支払われる部分が必要労働です。一方、資本家の利潤となる部分、これが剰余労働です。

したがって利益を増やすためには、剰余労働の時間を増やす必要があります。剰余労働を増やす一番単純なやり方は、労働者に残業をさせることです。給料はそのままで剰余労働時間を2時間増やせば、支払う給料はそのままで利益を増やすことができます。これを「絶対的剰余価値」と言います。

もうひとつ剰余労働を生み出す方法として、必要労働を減らすというやり方があります。この方法では、全体の労働時間を変えずに剰余労働を増やすことができます。これを「相対的剰余価値」と言います。

必要労働を減らすために、たとえばこれまで人間が行っていた作業をどんどん機械に切り替えます。機械化によって労働生産性を高めると、労働者の数は少なくて済みます。つまり、過剰労働人口を生み出すのです。

マルクスはこの過剰労働人口を産業予備軍と呼びました。これは普通の言葉で言えば失業者です。資本主義経済のもとでは、企業は労働者のコストを下げたい、そのために大量の失業者が出るように仕向けようと考えます。失業者は何としてでも働きたいと思うので、企業は安い給料で労働者を雇うことができるからです。あえて産業予備軍をつくり出すことによって、労働者に支払う給料のコストを下げることができる。マルクスはこのように資本主義を分析しました。

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