理想の転職先は、企業の「成長ステージ」で見極めよ!リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長 波戸内啓介

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転職活動で候補企業を選ぶ際には、さまざまな角度から会社の特徴を捉え、自分に合っているかどうかを検討する必要があります。注目したいポイントの一つが、企業の「成長ステージ」。同じ業種で、求人職種・ポジションが同じであっても、どの成長ステージにあるかによって求められる人材像も変わってきます。自分の力を発揮しやすい環境を見極めることが大切です。

成長ステージによって「フィットする人物像」が異なる

企業が成長を遂げていく過程には、大きく分けると4つのステージがあります。

「創業期」「成長期(拡大期)」「成熟期(安定期)」「衰退期(再成長期)」です。

どの成長ステージにあるかによって、当然ながら課題や組織状態が異なります。それぞれの成長ステージの企業が幹部人材を採用する場合、次のような傾向が見てとれます。

●創業期

会社の設立・稼働から間もない時期。ビジネスモデルや技術力はあるものの、実行する人が足りていない状態。「事業開発」「戦略企画」などの経験者を求めます。社長や経営陣の「経営理念」に共感し、彼らと同じく情熱を持って推進できる人がフィットします。仕組みやルールを一から自分で作り上げたい人にも向いています。

●成長期(拡大期)

組織の基礎と事業の方向性が固まり、成長を図る時期。マーケット拡大を担う「マーケティング」「営業・販売マネジャー」を求めます。競合が増える前に一気にシェアを獲得するため、スピード感を持って推進できる人が求められます。組織や仕組みを整える時期でもあるため、「経理・財務」「法務」「人事」「広報・宣伝」「購買/調達」「物流」などのスペシャリストも必要に。IPOを目指す企業では「CFO」「IR」などのニーズもあります。ストックオプションなど、大きな収入を狙う人にはチャンスが多いといえます。

●成熟期(安定期)

成長が踊り場にさしかかった時期。従来の機能や業務フローを大幅に見直す必要が生じます。課題視されている部門・分野についてはマネジメント人材の入れ替えを図るケースが見られます。新たな収益源を確保するため新規事業に乗り出す場合、社内にいない専門知識を持つ人材、異業界出身者を迎えます。これまで築いたブランドや資金を活用しながら、新しいビジネスの立ち上げにチャレンジできる可能性があります。

●衰退期(再成長期)

主力事業の業績が悪化し、撤退や事業売却なども視野に入れつつ、抜本的な事業再編・組織再編に取り組む時期。思い切った改革を担う「ターンアラウンドマネジャー」を求めます。会社の立て直しに貢献するやりがいを感じられるほか、再建を成功させることで注目を集め、人材価値を高められるチャンスがあるといえるでしょう。

以上が大まかな傾向ですが、もちろん当てはまらない場合もあります。スピードが速く、創業してすぐ成長期に入る企業、1歩2歩先のステージを見越して採用を行っている企業など、イレギュラーな進み方をする企業もあるため、あくまで参考としてください。

組織の風土・カルチャーはどの方向へ向かっているか

このように企業が成長していく過程では、ほとんどの経営者がある「壁」にぶつかります。

それは、既存社員と新規採用社員の間に生じるギャップです。そのギャップとは、「能力レベル」のほか、「理念・価値観」の部分でも生じます。少人数体制の頃には、同じ「企業DNA」を持ったメンバーで固められていますが、人数が増えるにつれて、そのDNAを全員に引き継いでいくのが困難となります。

経営者にとっては、理念・価値観の統一にこだわるか、多様化を受け入れるかを判断しなければならないというわけです。

このときの経営者の判断は、その後の企業風土醸成に大きな影響を与えることになります。転職を検討する側の立場としては、自分の経験・能力が活かせる企業であるかどうかとともに、風土・カルチャーに共感できるか、自分がなじめるかという点にも注目してみてください。

風土が合うかどうかは、皆さんが想像する以上に重要なポイントです。植物と同じで、どんなに優秀な種であっても、土壌によって美しく咲くこともあれば芽も出せないまま終わることもあります。くれぐれも見誤らないようにしたいものです。

自分に合う企業風土かどうかを見極める

では、志望企業の風土・カルチャーをどのように見極めるか。

もちろん、ホームページ、メディアの記事、あるいは経営者や社員のブログやSNSなどに目を通すことでつかめる部分もありますが、やはり自分自身の肌で感じるのが一番です。

そのために、入社を決める前になるべく行いたいのは次の2つ。

●経営陣と「オフ」の場で対話する機会を持つ

経営幹部の採用選考にあたり、我々のような転職エージェントからは、会食の場を設けることをお勧めしています。会議室で面接するだけでなく、「オフ」の場でリラックスして語り合うことで、お互いの本音をつかみ、マッチするかどうかを見極めるのです。

企業から申し出がない場合は、こちらから提案してみるといいでしょう。

ただし、お酒が入ったことによって気持ちがオープンになり、前の会社の悪口・愚痴をぶちまけてしまう人も少なからずいらっしゃいます。信頼を損なって「破談」となることもあるため、注意が必要です。

●「現場」の人と会わせてもらう

経営者はときに、話を「盛る」ことがあります。夢や理想を熱く語っていても、現実が追いついていないこともあるものです。そこで、現場を見学させてもらったり、現場で働くメンバーと話す機会を設けてもらったりすることで、自分自身で感じ取ることが大切です。

特に、これまで1社でしか勤務経験がない方は、企業の風土・カルチャーをしっかり観察してみてください。「当たり前」「常識」と思っていた考え方や価値観が、風土の異なる企業ではまったく通じないこともあるのです。入社後にミスマッチに気付くことのないよう、しっかりと見極めてください。

次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は7月15日の予定です。
波戸内啓介(はとうち・けいすけ)
株式会社リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長
1989年リクルート入社。営業部門、企画部門責任者を経て、リクルートHRマーケティング関西など、リクルートグループの代表取締役社長を歴任。2011年リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長に就任。
株式会社リクルートエグゼクティブエージェント(http://www.recruit-ex.co.jp/)

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