不透明さ増す招致疑惑、東京は「汚れた五輪」か編集委員 北川和徳

衆院予算委で答弁する竹田恒和JOC会長(5月16日)
衆院予算委で答弁する竹田恒和JOC会長(5月16日)

3年前のブエノスアイレス。国際陸連会長(当時)のラミン・ディアク氏は東京の招致委員会関係者が頼りにする存在だったと思う。東京が敗れたさらに4年前の2016年五輪招致でも、国際オリンピック委員会(IOC)委員でもあるディアク氏の影響力でアフリカ諸国のIOC委員の票はかなりが東京に回っていたという分析を聞いたことがある。

複雑な利害関係絡む招致レース

その根拠は日本企業と国際陸連の関係だった。日本の広告代理店、電通の尽力もあって、国際陸連のスポンサー「公式パートナー」にはトヨタ自動車、キヤノン、TDK、セイコーなどが名を連ねる。世界陸上を支えているのはジャパンマネー。当然、日本や東京を悪くは扱えないというわけだ。

残念ながら、五輪招致レースは開催計画の優劣や大会理念の評価などの正々堂々の争いで決するわけではない。投票する約100人のIOC委員の個人的な人間関係はもちろん、彼らが関係する組織や国・地域と、立候補都市とその国、関係企業などとの複雑な利害関係が絡み合って、支持が積み上がっていく。外交交渉とも似ている。だから、国際陸連の会長に日本企業の陸上競技への貢献をアピールして票の取りまとめを頼んでもルール違反ではない。ところが、そこに個人的な現金や高額プレゼントなどの賄賂が介在すると、途端にアウトとなる。

20年東京五輪に今度は世界から疑いの目が向けられている。発端は、ディアク氏がロシアの陸上選手のドーピング(禁止薬物使用)隠しで賄賂を受け取っていた容疑で、フランスの捜査当局に摘発されたことだった。その不正な金の流れに登場したシンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス」(BT社)の口座に、東京招致委からも13年7月に約9500万円、10月に約1億3500万円の計約2億3000万円が送金されていた。

現地の報道によると、フランスの捜査当局は、この資金の一部がディアク氏の息子に流れて高級腕時計の購入などに使われたことを確認しているようだ。当然、東京からの送金は、ディアク氏側にIOC委員の票の取りまとめを頼むための賄賂だったのではと疑われている。

「正当な支払い」と竹田JOC会長

東京招致委の理事長でもあった日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長らはBT社への送金を認めた上で「招致活動を進めるための正当なコンサルタント業務への支払いだった」と説明するが、実際にその資金がどう使われたかについては「分からない」。

招致決定の後に支払われた約1億3500万円については、「招致レースの勝因分析」という業務の報酬の名目だが、事実上は成功報酬の意味合いもあったとしている。

いったい、招致コンサルタントとはどんな役割を果たすのか。立候補都市の国際的なPR活動、開催計画の立案やプレゼンテーションのアドバイス、スピーチ作りなどが表向きの業務となるが、最も期待されるのは、IOC委員と招致委の仲介や彼らの情報収集、そして直接のロビー活動だ。