北の大地に姿を現したドイツ・ロマンの森
クラシックCD・今月の3点
マックス・ポンマー指揮札幌交響楽団文字
ポンマーは1936年、ドイツのライプチヒ生まれ。昨年4月に札響の首席指揮者に就いた。旧東独時代は冷遇されたが、早くから最先端のバッハ演奏法を究めるなど、慣習にとらわれない新鮮な解釈は一部で高い評価を得てきた。ブルックナーの根底には教会の豊かなオルガンの響きがあるとされ、しばしば重厚さが強調されるなか、ポンマーは素朴な信仰心をあくまで自然な響きにゆだね、すがすがしい音像を提示する。北の大地に現れたドイツ・ロマンの森は、エコロジカルだった。(フォンテック)
ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)
1810年生まれのシューマンとショパン、1歳年少のリストの結びつきは個人的にも強かった。リストは長大な「ソナタ・ロ短調」をシューマンに、シューマンは代表作の「クライスレリアーナ」をショパンに、ショパンは作品10の第10番と12番「革命」をリストに、それぞれ献呈した。独奏するアンゲリッシュは1970年にオハイオ州で生まれた米国人だが、13歳でパリに渡り、ヨーロッパ音楽の根幹をとらえた。表面上の効果よりも内面の深いところに目を向け、卓越した技で細大漏らさず、作曲家の意図を再現する。(ワーナー)
外山滋(ヴァイオリン)、安川加寿子(ピアノ)ほか
昭和の時代に活躍した日本人演奏家の記憶は日増しに遠のいている。1954年に「世界最年少のコンサートマスター」としてNHK交響楽団に迎えられた外山(1935~2014年)の名も忘却のかなたとなりつつあったが、古典弦楽四重奏団のチェロ奏者、田崎瑞博らゆかりの人々の尽力で生前の名演奏が3枚組のCDで復活した。ピアノの安川、ハンス・カン、小林道夫や指揮の近衛秀麿、山田一雄の共演も強力で、引き締まった外山の音楽を支える。(レグルス)
(コンテンツ編集部 池田卓夫)
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