億万長者さんの投資テク 成長株に集中、28歳で1億円億万長者さんに聞いた、資産をみるみる増やす投資術(上)

日経マネー

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『日経マネー』誌が実施した「2016個人投資家調査」では、回答者2678人のうち167人が「億万長者さん」だった。このうち、年初の波乱相場でも負けなかったのは、3割の49人。勝ち続ける億万長者さんのすご腕テクニックを3回に分けて紹介しよう。

信用組合に勤めながら、20代半ばで日本株投資を始めたP・Lさん(仮名・30歳)。時折見せる屈託のない笑顔からはうかがい知れない冷静な投資で、2000万円の元手を28歳の若さで1億円に殖やした。その間、わずか4年。資産が6000万円に達した時点で「年6%の利回りは出せる」と確信し、専業投資家になった。

この若きすご腕投資家が株に興味を持ったのは、就職して間もない2005年。IPO(新規株式公開)ブームを報じるニュースを目にしたのがきっかけだった。

「株についてはよく分からず、怖いものというイメージを持っていたが、上場する株を抽選に当たって入手できれば、必ず値上がりして儲かると思い、次々と申し込んだ」。だが抽選になかなか当たらない。結局、当たったのは1回だけ。「効率が悪い」と感じてやめた。

リンチ流分析で成長銘柄見い出す

P.Lさんに影響を与えた2冊のベストセラー

再び投資に目を向けたのは、2009年。前年に起きたリーマン・ショックの影響で勤務先の業績が悪化。給料が減らされ、ボーナスも支給されず、先行きに不安を抱いた。ジェレミー・シーゲル米ペンシルべニア大学経営大学院教授の名著『株式投資の未来』(日経BP社)を読んで、日経平均株価などの指数に連動するインデックス型投資信託の積み立て投資を始めた。

それが一転して個別の日本株に積極的に投資するようになったのは、ある書籍を読んで「衝撃を受けた」から。米運用大手フィデリティに在籍した伝説のファンドマネジャーのベストセラー『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド社)がそれだ。リンチ氏はフィデリティのアクティブ型の旗艦投信「マゼランファンド」の運用を1977年から13年間担当。平均で年率29%のリターンを出し、13年間で700倍に殖やした。

適時開示速報から成長銘柄を発掘する

リンチ氏の投資手法は、利益見通しや事業モデルを重視して企業を徹底的に分析し、長期保有に資する銘柄を選定するというもの。それに倣ってP・Lさんは、企業の適時開示速報をひたすらチェック。新聞や有価証券報告書なども読み込み、時には企業のIR(投資家向け広報)部門に問い合わせたりして、技術や事業モデルで競争上の優位性があり、収益性が高まりそうな成長銘柄を見いだす。

独学で身に付けたファイナンスの知識を基に、企業の収益性や主力製品・サービスの市場規模の伸びなどから、将来にどれくらい売上高が増えるかを計算し、適正な時価総額を算出する。そして実際の時価総額がその水準に達するまで保有して売却する。「時間がかかるので、保有期間は半年から1年と長め。試算した適正時価総額という目安があることで、感情に流されずに売買できる」と語る。

新興企業主体が強みになる

主な購入対象は、東証マザーズやジャスダックに上場し、時価総額が小さくて、成長性のある事業を手掛けている新興企業。基本的に信用取引で買う。これは、夜間取引で買いたい銘柄があった時にすぐに購入できるように、現金を手元に残しておくためだ。

また、収益面から見て割高な銘柄の空売りも手掛けている。2015年は民泊関連の新興企業株の売却益や、民事再生法の適用を申請して経営破綻した第一中央汽船株の空売りなどが奏功し、前年秋に1億円を突破した資産を1年で倍増させた。

16年1~3月は、口コミ情報サイトを運営するデザインワン・ジャパン(6048)や航空機リースを主力とするジャパンインベストメントアドバイザー(7172)を保有し続けながら、先物を売った。「あの荒れ相場では自分の投資手法が生きないので、動いても仕方がない」と淡々と振り返る。

「新興市場の小型株までは海外投資家も手を出せないので、自分の優位性を保てる」として、今の投資手法を続けていく考えだ。

(日経マネー編集部 中野目純一)

[日経マネー2016年7月号の記事を再構成]

日経マネー2016年8月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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