車に泊まる 旅をお得に
キャンピングカーのレンタル活用術
インターネットのWEBページで「レンタルキャンピングカーネット」というキャンピングカーレンタル情報を一元管理しているアイビル(東京・渋谷)の川田智志社長によると、現在この業務に携わっている事業者数は、大小合わせておよそ100社(稼働台数は約400台)。同ネットでは、そのうちの8割に当たる約80社の最新情報を把握し、ネット上で公開している。
これらのレンタル車の平均的な料金体系は、平日の場合バンコン(ワンボックスカーベースのキャンピングカー)で1日(24時間)1万5千円。キャブコン(トラックシャシーにキャビンを架装した本格的キャンピングカー)で2万円程度。土日になると多少上がり、バンコン2万円、キャブコン2万5千円。さらに大型連休やお盆のようなハイシーズンになると、1台1日3万円ぐらいまで上昇する。
同乗者多いと割安感アップ
しかし家族や友人など同乗者が増えれば"割安感"も生まれる。キャブコンならば5人乗車・5人就寝ぐらいのキャパシティーは十分にあるので、トップシーズンで3万円払ったとしても、1人当たり6千円の負担ですむことになる。
このような経済的メリットに着目する利用者が増え、需要の幅も広がった。北海道から九州まで全国5カ所のキャンピングカーレンタル拠点を持っているナッツ(福岡県遠賀町)の荒木賢治社長によると、近年は学校の子供会やPTAの集まり、学生のクラブ活動時の地方遠征というように用途が拡大した。災害時の緊急宿泊施設や救援活動のサポート車としての評価も出てきているともいう。
前述の「レンタルキャンピングカーネット」の川田社長が語った最近の利用例では、地方で開かれるアイドルグループのコンサートを楽しむため、女性だけで借りるという例もあった。
レンタル車の装備や使い勝手は会社によって異なる。関東圏を中心に、全国で6カ所のレンタルキャンピングカー営業所を展開している東和モータース販売(東京・杉並)の稲葉弘幸社長によると、自社のレンタル用キャンピングカーはできるだけシンプルな作りにしているという。慣れない利用者の場合、装備が複雑になると使いこなせないことが多く、利用者の負担になるばかりか故障やトラブルの原因になりかねないからだ。
同社が貸し出すキャブコン型キャンピングカーの場合、サイドオーニング(ボディーに取り付けたサイドテント)やトイレなどが省かれている。
運転などの車両の扱いで注意しなければならないのは、まずその高さ。キャブコンの場合、車高は通常3メートルぐらいになる。乗用車しか乗らない利用者は、左右の幅や車体の長さには気を使うが、車高が高いことを忘れがちになる。運転席の頭上に設けられたバンクベッド部分を建物の看板、キャンプ場の立ち木などにぶつけることが多いという。
夏休みなど、早めに予約を
ここ最近、利用者の間でいちばん問題になっているのは予約が取りづらくなってきていること。ハイシーズンになると、半年ぐらい前から予約が殺到する会社も出るようになった。夏休みを控えた今は早めの対応が必要になるかもしれない。
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米国旅行で利用例も
レンタルキャンピングカーの活用範囲の大半は国内に限られているが、米国のレンタルモーターホームを借りて、米国旅行を楽しむという企画を進めている業者もいる。慣れない異国でのキャンピングカー旅行に不安を感じる人もいるかもしれないが、こういうツアーでは、日本にいる間に旅の基本プランを全部整え、現地に到着した後は、日本語のわかる現地ガイドと相談できるようなシステムを取っているため、慣れない土地とはいえ、旅の不安はかなり払しょくされる。
(キャンピングカーライター町田 厚成)
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