AKB第2章に突入 選挙の見どころと期待の40人選抜総選挙2016大展望

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昨年1位の座に輝いた指原莉乃は史上最多となる19万4049票を獲得した。女王のマントを身にまとい自信に満ちた笑顔を振りまいた(C)AKS

第2章を迎えたAKB48は、どこに向かうべきなのか。そして、その軸になるのは、どのメンバーたちなのか。それが明らかになるのが、6月18日にHARD OFF ECOスタジアム新潟で開催される「AKB48 45thシングル 選抜総選挙」だろう。

※赤字は卒業もしくは立候補せず、16年総選挙に不出馬のメンバー

2009年に初開催されたAKB48の総選挙は今年で8回目となるが、総得票数は年を追うごとに増えている。第1回総選挙の総得票数は未集計。10年の第2回は37万7786票だったのが、14年は268万9427票、15年は史上最多の328万7736票を集めた。注目度の高さのバロメーターとなるテレビ中継の視聴率も、14年の平均16.2パーセントから昨年は18.8パーセントに上昇して、指原莉乃が初の1位となった13年の20.3%に次ぐ、史上2位だった。

人気メンバーが相次ぎ卒業して、次世代メンバーによる「第2章」をスタートさせようとしているAKB48にとっては、昨年の総得票数と視聴率を上回ることができるかどうかが、試金石になる。

今年の選抜総選挙では、卒業した高橋みなみと宮澤佐江、卒業予定の渡辺美優紀に加えて、SKE48の柴田阿弥と松村香織が不出馬となり、昨年の総選挙で上位16名までのうち5名が立候補しなかった。大きな順位変動が起きることは必至で、初選抜入りを目指すメンバーにとっては大きなチャンスとなっている。

ここからは、今年の総選挙の見どころを5つのポイントに沿って検証しながら、注目メンバーを解説する。

注目ポイント1 女王の座は誰の手に?

昨年1位に返り咲いた指原莉乃は、前田敦子や大島優子も成し得なかった連覇を目指す。昨年2位だった柏木由紀は、今年の開催地が兼任するNGT48の拠点、新潟であることをアドバンテージに初の1位を狙う。同じAKB48・3期生の柏木と共にアイドル性の高さで人気をけん引してきた渡辺麻友は6月1日に発表された速報では1位。

渡辺麻友(わたなべ・まゆ) 16年に入って『大奥』『地方紙を買う女』と立て続けにドラマに出演。速報では1位(C)AKS

姉妹グループを引っ張ってきたメンバーたちもこの争いに名乗りを上げる。昨年5位だったSKE48の松井珠理奈と、同6位のNMB48の山本彩は、共に自らの所属グループをより盛り上げるためにAKB48の兼任解除を自ら望み専任となる。それだけに、SKE48とNMB48のメンバーでは初となる1位へ向けてのファンからの期待は大きい。1位の座を狙うと公言している松井は、卒業した宮澤佐江(当時SKE48を兼任)、立候補を見送った柴田阿弥と松村香織へ昨年は投票したSKE48のファンからの票も集めそうだ。山本も卒業発表した渡辺美優紀に投票していたNMB48のファン票に加え、『365日の紙飛行機』で獲得した新たなファンからの後押しも見込める。

 AKB48第2章のエース候補であるHKT48の宮脇咲良(さくら)は、10周年記念シングル『君はメロディー』で初の単独センターに抜てきされるなど話題が豊富。4年前の初ランクインから毎年右肩上がりで順位を上げ、昨年は7位。今年はさらに上位を狙えそうだ。

 高橋みなみから総監督を継承した横山由依、昨年は主演映画『劇場霊』が公開された島崎遥香、柏木と同様に新潟開催が追い風になりそうなNGT48キャプテンの北原里英、SKE48チームKIIの“箱推しファン”に絶大な支持を得る高柳明音、昨年初選抜入りした後もレイクの「パーリーピーポー編」CMなどで顔が知られるようになった武藤十夢(とむ)も、どこまで順位を伸ばすか注目される。

注目ポイント2 初選抜入りの有力候補は?

過去2年の総選挙で初選抜入りしたメンバーは計8名。乃木坂46からの交換留学で初めて立候補の権利を得た生駒里奈を除くと、最も順位を上げて初選抜入りしたのは、前年31位から昨年14位に入った高柳明音だった。今年も、前年30位前後までに入ったメンバーは初選抜入りする可能性が十分あると言えるだろう。この1年間でどんなファンへのアピールするポイントがあったかを振り返りながら、初選抜入り候補のメンバーを挙げていきたい。

昨年は17位で惜しくも選抜入りを逃した兒玉遥は、選挙後も所属するHKT48のシングルで2作連続の単独センターを担当して、今年は初選抜入りの有力候補。

昨年18、19位は元選抜の須田亜香里と峯岸みなみ、続く20位の大矢真那は今年不出馬なので、その次の注目株は21位だったHKT48の朝長美桜(ともながみお)。3月に初ソロ写真集を出すなど、プロポーションの良さを生かした活躍で人気を伸ばした。

向井地美音(むかいち・みおん) 6月1日に発売されたAKB48の44thシングル『翼はいらない』で初の単独センターを務めている(C)AKS

チームBキャプテンの木崎ゆりあ(昨年22位)、チーム4でAKB48グループ史上最年少キャプテンを務める高橋朱里(同25位)、落語家の春風亭小朝がプロデュースした『イヴはアダムの肋骨』公演でセンターを担当した小嶋真子(同26位)、『翼はいらない』に選抜入りした加藤玲奈(同28位)、握手会での人気を伸ばしているチーム4副キャプテンの岡田奈々 (同29位)も、初選抜入りの可能性は十分だ。

44thシングル『翼はいらない』で初の単独センターに選ばれた向井地美音(むかいちみおん)は、昨年は初ランクインの44位だった。グループの顔であるセンターに立ったことで、昨年の高柳明音を超えるジャンプアップを見せ、選抜入りとなるかにも注目だ。

また、入山杏奈が20位だった14年以来2年ぶりの立候補。女優としてのソロ活動が増えているほか、最近では宮脇咲良が体調不良で歌番組を欠席したときに『君はメロディー』のセンターをアンダーとして務めて、存在感を見せつけた。今年は初選抜入りのチャンスだ。

注目ポイント3 グループ間競争の勝者は?

個人戦だけではなく、各メンバーが所属するグループから何人ランクインできるかという争いも、総選挙の見どころの1つ。昨年はSKE48がAKB48の23人を上回る、26人をランクインさせ第一党に輝いた。しかし、昨年ランクインしたメンバーのうち2名が卒業し6名が立候補せず、王座を守れるか、底力が試される。NMB48は昨年14人ランクインで、HKT48(15人)に後塵を拝したが、今年は雪辱を期する。台風の目となりそうなのが、新潟を拠点とするNGT48だ。県内の企業のCMに相次いで起用され、地元支持を着実に固めている。新潟での総選挙開催も追い風となるだろう。

グループ間争いのカギを握るのは、2年連続で選抜入りしたSKE48の柴田阿弥のように、幅広い層への知名度は高くないが、握手会で高い人気を集めるメンバーだ。

注目は、握手会での神対応で人気急上昇中のSKE48の惣田紗莉渚(そうださりな)、若手ユニット「てんとうむChu!」でも活躍するNMB48の渋谷凪咲(なぎさ)、SNSでの人気投票で選ばれて、初の写真集『森のモノローグ』を今年4月に発売したHKT48の森保まどから。

注目ポイント4 初ランクインの当確は?

各グループともに選抜常連だったメンバーたちが卒業したことで、若手メンバーがシングルの選抜や公演での重要なポジションに登用されるようになった。世代交代が進むなかで行われる今年の総選挙は、初ランクインするメンバーが多くなりそうだ。ここでは、15年総選挙以降のシングルで初選抜入りしたメンバーを中心に、この1年に所属グループで抜てきされた新鋭をピックアップする。

AKB48からの注目株は、15年5月の第2回ドラフトでチームAに1位指名され、スピード出世で『翼はいらない』の選抜に入った樋渡結依(ひわたしゆい)。AKB48グループの若手による新ユニット「虫かご」に選ばれた15期生の込山榛香(こみやまはるか)も、速報37位ながら最終結果では圏外に終わった昨年の雪辱が目標。同じく「虫かご」に選ばれた福岡聖菜(せいな)も、最近の握手会では同期の向井地美音と並ぶ多くのファンを集め、初ランクイン候補だ。

AKB48で最も新しいチーム「チーム8」は、メンバーの初ランクインを目指す。『翼はいらない』で初選抜入りの山田菜々美、『僕たちは戦わない』で初選抜入りした坂口渚沙(なぎさ)、2回シングル選抜入りした実績を持つ中野郁海がその候補。イベント出演写真が「2万人に1人の美少女」として拡散した小栗有以(ゆい)も伏兵となりうる。

SKE48では、『君はメロディー』のカップリングに収録されたSKE48名義の楽曲『Gonna Jump』でセンターに起用され、『翼はいらない』で選抜入りした後藤楽々(らら)が初ランクインしそうだ。

NMB48では、須藤凜々花(すとうりりか)が注目される。第1回ドラフト会議で加入して、哲学者志望という異色の知的なキャラクターが話題を集め、15年7月に発売されたNMB48のシングル『ドリアン少年』でセンターに抜てき。『翼はいらない』で初めてAKB48シングルの選抜メンバーにも選ばれている。

加藤美南(かとう・みなみ) 15年、NGT48加入。チームNIII所属。NGT48主演ドラマ『ひぐらしのなく頃に』(BSスカパー!)に出演(C)AKS

HKT48のメンバーでは、田中美久との「なこみく」コンビとして注目を集める矢吹奈子が、昨年果たせなかった初ランク入りを目指す。「なつみかん」の愛称と毒舌キャラで親しまれ、HKT48の新曲『74億分の1の君へ』で初選抜入りした田中菜津美も初ランクインが期待される1人だ。

NGT48は、北原里英以外のメンバーは総選挙初参加。なかではお披露目イベントでセンターを務めた加藤美南が頭ひとつ抜けている印象だ。6月1日に発表された速報ではランクインを逃したが、ここからの逆転劇が予想される。過去、姉妹グループで総選挙初参加の年に最多のメンバーがランクインしたのは、松井珠理奈と松井玲奈が09年にランクインしたSKE48だったが、これを上回る人数を送り込むことができるか。『翼はいらない』で加藤とともに初選抜メンバー入りした、おかっぱがトレードマークの高倉萌香も初ランクインを狙う。

注目ポイント5 再浮上期待のベテランは?

選抜総選挙では、フレッシュなメンバーが脚光を浴びがちだが、一方では、一度はランクダウンしながら、新境地を切り開き、再び浮上するメンバーがいることも、ベテランと若手が混在するAKB48ならでは。昨年は北原里英と渡辺美優紀が選抜に返り咲き話題となった。今年の総選挙は、こうした再浮上しそうなメンバーが例年になく多く、動向が注目される。

体の柔らかさと親しみやすいキャラクターを生かしてバラエティ番組で活躍を見せて知名度を上げたSKE48の須田亜香里も、その1人。昨年の総選挙では18位と、一昨年の10位から大幅ランクダウンして涙した。しかし、その後はSKE48メンバー出演によるミュージカル『AKB49~恋愛禁止条例~』で主演するなど、これまでとは違うフィールドでも活躍し、巻き返しが期待される。

12年まで4年連続で選抜入りしていたが、近年は選抜にあと一歩届かないポジションに甘んじていた峯岸みなみ(昨年19位)も、ライザップのCMで引き締まったボディを披露したほか、4月公開の映画『女子高』で主演するなど新しい一面を見せ、4年ぶりの選抜入りを目指す。

リクエストアワーセットリストベスト100の総合司会にも起用され、『翼はいらない』で5年ぶりに選抜入りした宮崎美穂は、このところ復活を見せているメンバーの代表格で、2年ぶりのランクインを目指す。同じく『翼はいらない』で選抜入りした大家志津香も、ファッション雑誌のダイエット企画などで話題を集め、4年ぶりのランクインが期待される。

(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎、ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2016年6月号の記事を再構成]

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