地方創生のキーワード 「LGBT」「CM」の意味は?日経BPヒット総合研究所 石井和也

日経BP総研マーケティング戦略研究所

過去最大の動員数となった「東京レインボープライド2016」(写真提供:TRP2016)
過去最大の動員数となった「東京レインボープライド2016」(写真提供:TRP2016)
日経BPヒット総合研究所

エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を斬るコラム「ヒットのひみつ」。今回のテーマは、地方創生に欠かせない略語キーワードだ。様々な略語を知っておかないと、話がかみ合わなかったり、誤解をしたりすることがある。意味や背景を知っておこう。

2016年5月の連休明けに辞書サイト「コトバンク」のアクセスランキングで「LGBT」が1位に入った。ちょうど、5月7日、8日に「東京レインボープライド2016」というイベントが東京・代々木で開催され、ステージやパレードなどで約7万人を動員し、盛り上がりを見せたことも影響したのだろう。もっとも辞書サイトで検索数が高いということは、話題性があると同時に、まだまだ知らない人が多いともいえる。

LGBTとは、性的少数者を限定的に指す言葉。レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性の不一致)の頭文字をとった総称であり、他の性的少数者は含まない。1970年代には主にゲイが法的権利獲得や差別撤廃などを求めて「プライド」などと称されるパレード他の活動を始め、次第に4者が合流して全世界に活動が広まった(コトバンク、知恵蔵miniの解説より引用)。

日本でも日本IBMが同性パートナー登録制度を新設して、男女のカップルと同様の待遇を受けられるようにしたり、GAPが東京レインボープライドなどの性的マイノリティーを支援する団体の活動をサポートしたり、企業のLGBTへの取り組みが始まっている。日経BPヒット総合研究所でも企業や自治体とのコンサルティングの場で、ダイバーシティー(多様性)同様、LGBTにどう取り組んでいけばいいのかといった、相談や問い合わせを受けるようになってきた。

東京レインボープライドの開催時期に、GAPでは期間限定で全国のGapストアのショッピングバッグを多様性を表す6色のレインボーカラーにした

私が担当する地方創生にとっても、LGBTは重要なキーワードだ。東京都渋谷区、世田谷区、三重県伊賀市が「同性パートナーシップ制度」を作り、兵庫県宝塚市や那覇市でも年内の導入を予定している。また奈良市は、16年4月から国際ゲイ&レズビアン旅行協会(IGLTA)に加盟し、多様性を受け入れる国際観光都市として海外への発信を始めた。

先進国では多様な個性や価値観を重視するダイバーシティー社会へとシフトしており、企業だけでなく、自治体にとっても、LGBTを理解し、LGBTに優しい仕組みづくりについて考える時期に来ている。LGBT支援を推進することは自治体のイメージアップにつながり、移住者の獲得や観光客の集客にもプラスになるかもしれない。さらに老若男女やLGBTなど、多様な人が集まることで、新しい事業や消費、活力が生まれることも期待できる。LGBTは地方創生にとってとても重要なキーワードなのだ。

人口減時代の自治体の建設案件に「CM」利用も

LGBT以外にも地方創生の仕事をしていると、たくさんの略語キーワードが会話の中で出てくる。「CM」もその一つで、これをコマーシャルのことだと勘違いしていると話がまるで進まない。

CMとはコンストラクション・マネジメントの頭文字を取ったものだ。プロジェクトの工期遅延、予算超過などを防止するため、マネジメント専門のコンストラクション・マネジャーが発注側に立って、プロジェクト全体を運営管理するもの。米国では同じ意味でPM(プロジェクト・マネジメント)がよく使われる。

14年度から実施している「多様な入札契約方式モデル事業」など、国土交通省が積極的に採用している。同省は、庁舎、公民館、公共病院、道路、橋など大規模な建設で、CMを使うことを推奨している。

地方創生プロジェクトでも、コミュニティースペースや特産物の販売所など施設を新設・リニューアルしたり、人口減によって不要になった学校や公民館などを他の用途に転用したりするときなどに利用するケースが出てくる。

「発注者となる自治体には、建設の専門家がいないところが多い。そのため建設会社にまるごと委託することが多く、適正な建設費なのか、建設物が最適な形でできているのか、不要なコストがかかっていないかなど、検証することが難しい」(CM事業を展開するプラスPMの木村讓二社長)。そこでコンストラクション・マネジャーの出番となる。もちろん、CM分のコストもかかるので、それに見合った企画提案がCM事業者にも求められる。

CMの登場は、地方の公共事業にも必要なものを適正なコストや期間で作ることが、求められる時代になったともいえる。

略語キーワードは、短く、わかりやすく、使われるために時代の要請で考えられ、生まれるものだ。LGBT、CMのほか、TPP、LCC、ICT、IoT、PPP、CCRC、CLT、CSRなども地方創生関連で頻出する略語キーワード。その意味や登場した背景をぜひ理解しておきたい。

石井和也(いしい・かずや)
日経BPヒット総合研究所 研究員。コンシューマー局プロデューサー。『日経トレンディ』『日経ゼロワン』『日経キッズプラス』の副編集長、『日経おとなのOFF』の編集委員などを経て現職。キッズからシニアまで各世代のライフスタイルをウォッチ。共著に『ものづくりの未来が見える 3Dプリンター完全マスター』(日経BP社)がある。
[参考] 日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。