異色の5人組、ヒップホップの頂点目指す
「DOBERMAN INFINITY」
前向きなメッセージや男気あふれる熱い思いを、力強いラップと伸びやかな歌声に乗せる1ボーカル4MCの5人組ヒップホップグループ、DOBERMAN INFINITY(ドーベルマン・インフィニティ、DI)が勢いづいている。EXILEと同じLDH所属の彼らは、昨年12月の1stアルバム『THE LINE』がオリコン週間チャート5位に。3月のZeppツアーは即完売となり、幕張メッセとインテックス大阪の公演を追加した。
2000年から前身グループのDOBERMAN INCとして関西圏で活動していたが、08年に上京。14年に劇団EXILEのSWAYと「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION4」合格者のKAZUKIが新加入し、DIとして始動した。
最年長のKUBO-C、GSと最年少でボーカルのKAZUKIでは一回りの差があるが、「初期のEXILEさんが2人のボーカルを迎えて成功した例があったし、メッセージが伝わりやすくなり、より上を目指せると考えた」と、GSは当時を振り返る。
以後、EXILEや三代目J Soul Brothersのドームツアーに帯同し、じわじわと知名度を上げた。「加入1カ月後の素人同然の状態で、最初は怖くてガチガチに(苦笑)。慣れるにつれ、いつか自分らもこんな舞台に立ちたいと思いました」(KAZUKI)
試練や困難を乗り越えてきた彼らが新曲『いつか』をリリース。ノリの良い爽やかなトラックやキャッチーなサビなど、すぐにライブで手を挙げて盛り上がれそうな親しみやすさが魅力だ。「俺らはLDHの中では珍しくダンスをしないので、曲だけでライブを盛り上げられるかがとても重要」(KUBO-C)
歌詞では「何度も迷い立ち止まった」と不安を吐露しつつ、「過去にケリ付け」未来へと歩みだすと誓う真っすぐな思いが刺さる。「実はこの曲は14年にできていましたが、当時の僕らが歌っても説得力が足りないと感じて。経験を積み、DIがどんなグループかを知ってもらった今が好機だと。より届く歌詞になるようテーマを見直し、歌詞を練り直したことでよりパワーアップしましたね」(SWAY)。「言葉遊びに始終せず、心に浮かぶ言葉を出し合いながら全員でまとめた。今までで一番飾らない歌詞で、自分らで聴いてもグッとくるし手応えを感じました」(P-CHO)
ダンスがメインではない男性グループは、リップスライムや湘南乃風などのベテラン勢はいるものの若手はあまり見受けられない。叩き上げのスキルを持つ先輩陣とフレッシュさ弾ける若手が融合するグループの個性を生かせば、「全国アリーナツアーを開催し、成功させる」(GS)という夢の実現はそう遠くなさそうだ。
(「日経エンタテインメント!」5月号の記事を再構成。敬称略、文・橘川有子 写真・佐賀章広)
〔日経MJ 2016年5月20日付〕
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