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2020年から見える未来

五輪後に大変貌 東京駅周辺オフィス街

日経不動産マーケット情報Web版

2016/6/15

東京駅周辺の大型再開発が東京五輪・パラリンピックを控え拡大している(CG画像提供:キャドセンター)
日経不動産マーケット情報

 日本最大のオフィス街である東京駅周辺では、2000年代に丸の内から始まった大型再開発の波が、大手町、八重洲、そして東京駅北側の常盤橋エリアへと広がっている。これらの大型再開発は、2020年の東京五輪・パラリンピック後に完成を予定しているものが多い。20年代後半には、東京駅周辺の街並みは大きく変貌を遂げることになる。

JR東京駅周辺で計画されている主な大型再開発計画。千代田区丸の内・大手町、中央区八重洲・京橋・日本橋の主要オフィスエリアで2016年以降に完成予定の主なビルをCGで示した。一部の計画は、日経不動産マーケット情報の推定に基づく(CG画像提供:キャドセンター)
現在のJR東京駅周辺のCG。八重洲エリアは中小ビルが立ち並んでいる(CG画像提供:キャドセンター)

 冒頭に示したCG(コンピューターグラフィックス)は、東京駅周辺で16年以降に完成が予定されている主な大規模ビルを示したものだ。CGの手前が、八重洲・京橋・日本橋エリア、東京駅を挟んで奥が丸の内・大手町エリアとなっている。

 大手町では16年4月、三菱地所が手がけた超高層複合ビル「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」(上のCGの番号1)が完成した。オフィスフロアはソニー生命保険や三菱UFJモルガン・スタンレー証券、協和発酵キリン、野村総合研究所などが入居し、満室の状態で稼働する予定だ。同再開発の別棟として7月に開業する日本旅館「星のや東京」も話題になっている。

 近隣では、同じく三菱地所が開発する大手町パークビルディングや、三井不動産と三井物産による2棟の超高層オフィスビル計画(番号2)が進行中。4月には、大手町1丁目にある丸紅東京本社ビルの建て替え計画も明らかになった。丸紅は15年に完成した東京日本橋タワーに仮移転し、20年をめどに再び大手町に戻る。

■28年までに街が1つ増えるほどの大量供給

 再開発計画の中で特に突出した高さとなるのは、東京駅北側の日本橋口正面で三菱地所が進める常盤橋街区再開発プロジェクト(番号3)だ。高さ約390メートル、地上61階建ての複合ビルは、完成すれば日本一の高さとなる。21年度から27年度にかけて段階的に完成し、総延べ床面積は約68万平方メートルになる。

 八重洲口側に計画されている3棟の超高層ビル(番号4~6)も目を引く。三井不動産や東京建物などによる再開発で、高さ250メートル前後のビルとなる。延べ床面積の合計は約94万平方メートルに及び、地下部分には合計約1万9000平方メートルのバスターミナルも整備される。八重洲ではこのほかに、住友不動産を中心にした八重洲富士屋ホテル跡地などの再開発計画も進んでいる。現在は中小ビルが立ち並んでいる東京駅八重洲口付近のスカイラインは、今後、劇的に変化することになる。

 オフィス仲介大手の三幸エステートの調べによると、丸の内・大手町・八重洲・京橋・日本橋の主要エリアで16年~28年に完成する賃貸ビルのオフィス床面積は合計約206万平方メートル。これは新丸の内ビルディング約25棟分に相当する大量供給だ。一方、同エリアにある既存賃貸オフィスビルのストックは約352万平方メートル。今後老朽化して解体されるビルもあることを考慮すると、東京駅周辺のオフィス床面積は、ざっと見積もって十数年後には今の5割増しになる。

 同社の調査では、新橋・虎ノ門エリアの既存ストックは約190万平方メートル、西新宿エリアは同約178万平方メートルだ。東京駅周辺の開発は、これらのオフィス街が丸ごと増えるのと同じぐらいのインパクトがあるといえるだろう。

■ビル間競争からエリア間競争へ

 これだけの大量供給によって顕在化するのが、テナント獲得競争の激化だ。特に、八重洲側のエリアにはこれまで大規模ビルが少なく、新築ビルの高いビルスペックに見合った需要を喚起できなければ、空室率の上昇や賃料の低下を招く恐れがある。

 三幸エステートの今関豊和チーフアナリストは、「現在の八重洲・京橋エリアは商業系や製造業のテナントが比較的多いが、どれも成長業種ではなく、今のままの街では高い賃料を払えるテナントを呼び込めない。デベロッパー各社は再開発で街のキャラクターを変え、金融やIT(情報技術)、バイオ関連企業などの新しいニーズを引き寄せようとしている」と話す。

 そのうえで、「これからは個別のビルの競争ではなく、エリア間競争の色合いが強まってくる。エリア全体の統一イメージやテナント企業を支援するソフト戦略が重視される」と予測する。

■虎ノ門を「国際新都心」に

 都内では、東京駅周辺だけでなく日本橋室町や虎ノ門、新橋などでも大型再開発計画が続々と明らかになっている。

 日本橋室町3丁目では、三井不動産が進める大型再開発が15年12月に着工。日本橋本町2丁目では、武田薬品工業の東京本社ビルを含む再開発も進行中だ。三井不動産はこれらの事業や八重洲の再開発を含む10プロジェクトを「日本橋再生計画第2ステージ」と位置付け、日本橋・八重洲を東京の顔にしようとしている。東京駅から東に進んだ日本橋兜町と日本橋茅場町では、平和不動産が「日本橋兜町再活性化プロジェクト第1期」として、大型オフィスビル2棟を建てる計画を進めている。

 虎ノ門エリアでは森ビルが4月、虎ノ門ヒルズ森タワーの周囲に住宅を含む3棟の超高層ビルを新たに建設する計画を発表した。総事業費は4000億円。2019年度から2022年度にかけて相次いで竣工する。虎ノ門ヒルズ森タワーも含めた4棟の延べ床面積は80万平方メートル、オフィス床面積は30万平方メートル、住宅800戸の規模となる。職住に加え、駅などを一体で整備することで、東京をけん引する「国際新都心」として機能させる計画だ。

 これらの大量供給に対して、既存の限られた内需だけに期待するのは難しい。いかに海外企業などの外需や国内の成長企業を呼び込むかも、都心の再開発プロジェクト成功の鍵となる。

(日経不動産マーケット情報 岡泰子)

[日経不動産マーケット情報Web版2016年5月19日付の記事を再構成]

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