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体脂肪を燃やし、若返る「オン&オフ ウオーク」

日経ヘルス

2016/6/2

(写真:鈴木宏)
日経ヘルス

早く歩く人は認知症になりにくい、寿命が長い──。「早歩き」のアンチエイジング効果が次々と明らかになっている。

実は早歩きは、有酸素運動であると同時に「筋肉を増やす筋トレ効果もある」と話すのは信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学講座の能勢博教授だ。「普通のスピードで1日1万歩をいくら続けても筋肉は増えない。しかし、全速力の7割以上のスピード(最大体力の70%以上)で1週間に60分歩くと、数カ月で筋肉が増え、体力が高まることが分かっている」(能勢教授)。筋肉が増えれば代謝が上がり、より太りにくい体になる。

しかし、長時間早歩きを続けるのは難しい。そこで能勢教授が考案したのが「インターバル速歩」だ。これは、息が上がるほどの早歩き(オン)と普通歩き(オフ)を3分ずつ繰り返す歩き方だ。

早歩きをすると、血中に乳酸ができて運動を続けるのがつらくなるが、「3分間、普通に歩く間に乳酸が代謝され、再び速歩ができるようになる」と能勢教授。また「速さが普通歩きに切り替わるときに、早歩き中に収縮する筋肉で圧迫され気味だった血管が一気に拡張することで、血管が若返る」(能勢教授)。

これまでに6000人以上が実践し、効果を実証してきた。6分1セットを週20セット行うと、筋力が上がる、血糖値、血圧など生活習慣病の指標が改善するなどが明らかに。最近は遺伝子レベルでのアンチエイジング効果も確認された。オン&オフウオークを6カ月続けると、「計算上、10歳以上若返ったことになる」(能勢教授)という。

筋肉がつき、若返る早歩き。通勤の往復時に2セット(12分)ずつやれば、週5日間でOKだ。

オン&オフウオークがアンチエイジングに効くしくみ

全速力の7割以上の運動(早歩き)は筋肉にダメージを与える程度の高負荷運動なので、筋力が上がる。またウオーキングは有酸素運動なので、続ければ体脂肪が燃え、体重も減る。また、早歩きから普通歩きに変わるときに一気に血管が拡張し、血管若返り物質の一酸化窒素(NO)が出る。これが、血圧が低下する一因に。

筋肉が緊張すると血管が収縮し、力を抜いたとき血管は一気に拡張する。このとき、血管若返り物質のNO(一酸化窒素)が出て、血圧が下がる

「オン&オフウオーク」の効果を上げる4つのポイント

ONでは、背すじを伸ばして大股で歩けば筋肉が育つ

効果を上げる最大のポイントは「全速力の7割以上」というスピード。感覚としては「ややきついと感じる速さ。物足りなければ全速力で歩いてもいい」と能勢教授。効果が確認されている「週20セット」は早歩きの合計が週1時間という意味。オンとオフの切り替えは重要だが、3分にこだわる必要はなく、2分ずつ、5分ずつでもOK。

もう一つ、気をつけたいのが「大股で歩く」こと。大股で歩くと、より多くの筋肉が使われるからだ。そのためには背すじを伸ばし、腕を大きく前後に振るといい。かかとから着地するようにすれば自然と大股になる。

靴はヒールのないものがベスト。ヒールが高いと、かかとから着地するのが難しく、歩幅が小さくなってしまうからだ。

バッグは片方だけにかけ続けると姿勢のゆがみにつながる。バランスを取るため、1セットずつ左右にかけ替えるといい。

1.遠くを見て、背すじを伸ばして

足もとを見ながら歩くと背中が曲がり、歩幅が小さくなってしまう。大股で歩くためには背すじを伸ばす必要があり、そのためには頭を上げて遠くを見ることが大切だ。「25mくらい先を見るつもりで」と能勢教授はアドバイスする。

2.ひじを直角に曲げ、後ろに引く感じ

ひじは直角に曲げて、脚の動きに合わせて前後に大きく振ろう。大股で歩きやすくなるとともに、リズムとバランスが取れて腰を痛めにくくなる。また、上半身の筋肉を鍛える効果もある。腕を大きく振るためには、ひじを強く後ろに引くことを意識するといい。

3.かかとから着地し、大股で

フォームの基本は「大股で歩き、体重移動を早くする」こと。下半身には全身の60%以上の筋肉が集まっている。脚を大きく動かすことによって、多くの筋肉が動員され、より筋肉が増えやすくなる。かかとから着地することを心がけると、自然に歩幅が大きくなるはずだ。

4.バッグはバランスよく左右かけ替えて

バッグは背中に背負えるリュックタイプがベストだが、リュックでの通勤は難しい人が多いだろう。肩からかける場合、1セットごとに左右にかけ替えよう。ずっと片方にかけ続けていると、姿勢のゆがみの原因になる。

オフィスの廊下を歩く、トイレに行く…ちょっとした移動のときに

猫背が直って見た目年齢マイナス10歳、「手のひらウオーク」

PC作業やスマホの使用で、猫背姿勢になっていない? 猫背は老け見えの原因になるのでご注意を。

それを一瞬で直す方法があった。手のひらとひじの内側の両方を前に向けて歩く「手のひらウオーク」だ。習慣にすると、猫背だけでなく、肩甲骨から骨盤まで全身のゆがみも取れる、うれしい歩き方だ。

手のひらウオークが効くしくみ

猫背の状態は肩甲骨の間が離れ、老けて見える(右)。手のひらを前に向けると、肩甲骨の間が自然と寄って下がり(左)、鎖骨の位置も正しくなるので、肩の関節、肩甲骨、背骨、骨盤の順で連動して正しい位置に戻り、いい姿勢に。

「手のひらウオーク」を考案した美容整体トレーナーの波多野賢也さんは、「手のひらとひじの内側を前に向けると自然に鎖骨の位置が正しくなる。胸が開くことで肋骨、背骨が整い、肩甲骨の位置が寄って下がるしくみ。肩甲骨と骨盤は背骨でつながっているので、骨盤も正しい位置になる」と、全身のゆがみが取れるメカニズムを解説する。

トイレに行くときなど、ちょっとした移動のタイミングに上手に取り入れて、いつでも姿勢美人に。

(上)腕をわきから離し、手のひらとひじの内側を前に向ける。(下)浮いた両腕を下ろし、わきを締める。このポジションをキープするように歩き始める
(写真右)右腕を振り出すと同時に、左足を踏み出そう。手のひらとひじの内側は常に前に向けよう。(写真左)腕は肩甲骨から、脚は骨盤から、体を大きく動かして歩こう。「お腹が縦に引き上げられているのを意識して」(波多野さん)

信州大学大学院医学系研究科
疾患予防医科学系専攻 スポーツ医科学講座

能勢 博教授
1979年、京都府立医科大学医学部卒業。同大学助教授、信州大学医学部附属加齢適応研究センター・スポーツ医学分野教授を経て、2012年から現職。著書に『「歩き方を変える」だけで10歳若返る』(主婦と生活社)など。
波多野賢也さん
「アクアヴェーラ」代表(愛知県豊橋市)
美容整体トレーナー。メディカルトレーナーなどを経て、理学療法の知識や施術経験から独自の「美バランス」理論とメソッドを展開。著書に『下腹ぺたんこポーズ』(池田書店)など。

(取材・文 伊藤和弘、羽田光(編集部)、写真 鈴木宏、モデル 殿柿佳奈、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 依田陽子)

[日経ヘルス 2016年5月号の記事を再構成]

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