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ツタンカーメン王墓の「隠し部屋」、迷走の真相

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ナショナルジオグラフィック日本版

2016年5月上旬、第2回ツタンカーメン大エジプト博物館会議がエジプトのカイロで3日間にわたって開催され、3月に実施されたツタンカーメン王の墓に関する最新の調査結果が最終日に明らかになった。

2015年、墓にはまだ発見されていない隠し部屋が存在するのではないかとの説が浮上し、その後2回にわたって玄室の壁をレーダーでスキャンする調査が行われていた。しかし意外なことに、2回目のスキャンを分析したところ、最初のスキャンとは相反する結果が示されたという。

「現時点では、最終的な結論は出ていません」とカレード・アル・アナニ考古大臣は語り、今後の調査方針を決定するために専門の委員会を招集する考えを明らかにした。次の段階としては、レーダーやその他のハイテク機器によるさらなる調査が考えられる。大臣は会場を後にしながら「私からお伝えしたいことは、科学が教えてくれるだろうということです」と続けた。

しかし、科学が教えてくれることを人はどのように解釈するべきか。そもそも、隠し部屋説が生まれたのは科学とテクノロジーがきっかけだった。玄室の壁をかつてないほど詳細に描き出したレーザースキャンの結果を、英国人のエジプト学者ニコラス・リーブス氏が分析したところ、北と西の壁に描かれた絵の下に入口のようなものがあることに気付いた。2015年7月、リーブス氏は墓にはもうひとつ別の部屋が存在し、そこに王妃ネフェルティティが眠っているのではないかとの自説を発表した。ネフェルティティは、ツタンカーメンの義母であると一般に信じられており、最近ではツタンカーメン王が即位する前に王位に就いていたという説も広く受け入れられている。

「90%確実」に対し「何もない」と異議

2015年秋、サーモグラフィーによるスキャンで、北の壁にリーブス氏の主張する入口のような形に合う何かがあることが明らかとなった。実際の壁そのものを直接調べた結果も、肯定的なものだった。最初のうち、隠し部屋の存在や、とりわけネフェルティティがここに埋葬されているという説にエジプト学者の多くは懐疑的だったが、11月に日本人技術者の渡辺広勝氏が墓のレーダースキャンを行い、北側と西側の壁の向こうに空間が存在する可能性があると発表したことで、態度を軟化させる専門家も出てきていた。(参考記事:「ツタンカーメンの隠し部屋、日本の技術者が活躍」)

渡辺氏は、自身で持ち込んだ機械がこの空間の中に金属製のものと有機物も感知したと報告している。これを受けて、当時考古大臣を務めていたマムドゥフ・アル・ダマティ氏は記者会見を開き、北側の壁の向こうに別の部屋が隠されている可能性は「90%確実」と発表した。

ところが、2016年3月にナショナル ジオグラフィック協会が支援する2人のレーダー技術者が改めてスキャンを行い、今回明らかにされた分析結果は、渡辺氏のそれとは異なるものだった。エジプト学の権威で元考古大臣のザヒ・ハワス氏は、会議の席上で次のように発言した。「もし、何らかの石造物や隔壁があるなら、レーダーが映し出すはずです。しかし、そんなものは見えません。つまり、何もないということです」

ハワス氏は、レーダースキャンによってエジプトで新たに発見されたものは何ひとつなかったと主張し、「このメディア騒ぎはもう終わりにすべきです。報道することは何もないのですから。今日も昨日も、何も報道することはありません」とコメントした。しかしその直後、自ら報道材料をメディアに提供するかのごとく、ツタンカーメン王の墓に光ファイバーカメラを挿入するためのドリル穴をあける許可をアル・ダマティ元考古相が秘密裏に申請していたとして激しく糾弾した。

「なぜこんな風に秘密で言ったのですか?」とハワス氏はアル・ダマティ氏に質問した。2人はステージ上で隣に座っていた。

「それはどこでの発言のことですか?」アル・ダマティ氏は怒りを隠さずに切り返した。

「ではなぜ、許可を得たことを公表しなかったのです?」

「『100%確実』とならない限り、私は何もしないと何度も申し上げたはずですよ」アル・ダマティ氏はそう応じ、今度はハワス氏が在任中にしたことを指摘した。「あなただって、ピラミッドにドリル穴をあけた後で許可を取ったじゃないですか!」

隠し部屋は存在するのか、しないのか

渡辺氏は3月にスキャン画像の一部を公開したが、これを見た地中レーダーの専門家からは分析内容を疑問視する声が数多く飛び出していた。彼らは画像には「何も見えない」と口をそろえ、また渡辺氏が主張するような「有機物」はレーダーでは判断できないはずだと指摘する。

2回目にエリック・バーケンパス氏らがスキャンを実施した後、生データは分析のため米国とエジプトの複数の専門家へ送られた。そのうちのひとり、地中レーダーのソフトウエアとして広く使われているGPR-SLICEの開発者で地球物理学者のディーン・グッドマン氏は、データ分析からは隠し部屋の証拠は何も見つからなかったと結論付けた。他の専門家も、すべて同じ結論に達している。

「もし空間があるとすれば、強い反応を見せるはずです。けれども、このデータにはそれが全く存在しません」と、グッドマン氏は言う。また、リーブス氏が隠し部屋へ通じる入口があると指摘した場所にも、その入り口をふさいでいるはずの石造物の証拠は確認できなかったとしている。

グッドマン氏によれば、渡辺氏は生データを公開していないという。会議に出席していた渡辺氏へインタビューすると、40年以上レーダーを扱ってきた経験を基に、自分の機械に大幅にカスタマイズを加えているため、他人にはデータが読み辛いが、自らの結論には自信を持っていると、通訳を通じて語った。

エジプト考古庁は、ツタンカーメン王墓のスキャンを数カ月後に再び許可すると思われる。そしてその結果が、リーブス氏の説のさらなる裏付けとなるのか、それとも反証となるのかはっきりするだろう。アル・アナニ考古相は、委員会を招集して今後の計画を練りたいとの考えを明らかにしている。2人の前任者の激しいやり取りを気にしてか、その直後に記者団へ対して委員会発足について触れ、「個人としての意思決定は一切なしです」と付け加えた。

(文 Peter Hessler、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年5月12日付]

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