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日本を代表するオフィス街の書店を探訪しつつ、その街その時々の売れ筋本を定点観測するシリーズ。開始から1カ月たって、初回に訪れた紀伊国屋書店大手町ビル店を再訪してみる。売れ筋に変化は見られるのか。ゴールデンウイーク明けの店頭をのぞいてみよう。

『通貨の未来 円・ドル・元』が売れ筋

「この本の動きが今一番いい」。経済書や金融書を担当する広瀬哲太さんが真っ先に案内してくれたのが金融書の平台に接して置かれた冒頭の写真のワゴンだった。英『エコノミスト』編集部『通貨の未来 円・ドル・元』(文芸春秋)が単独で積み上がっている。

英エコノミスト誌が過去1年に書いた通貨に関する記事を1冊に編んだ通貨論集。4月半ばの刊行だ。テーマの中心はドルと元。円については文春の方からエコノミストのシンクタンク部門に書き下ろしの調査執筆を依頼し、最終部に「円の未来 黄昏の安定通貨」として掲載している。円安局面が大きく変調してきた現実につられるように、金融街大手町の関心を引き寄せているようだ。

4月の初めに訪れたとき、売れ筋と紹介されたのはフィンテック関連本だったが、その傾向は今回も変わりない。金融関係の書棚に目をやると、さらに関連の新刊が増え、厚みを増した印象だ。中でも4月半ばに出た辻庸介、瀧俊雄著『FinTech入門』(日経BP社)の動きがいいという。辻、瀧の両氏は金融ベンチャーのマネーフォワードの最高経営責任者(CEO)と最高執行責任者(COO)コンビ。本書では、個人の金融に絡む身近なところから法人金融の世界でのサービスまで、次々に新しい動きが出てくるフィンテックの世界をわかりやすく解説している。最新のサービス動向を手っ取り早く総覧できるところが受けているようだ。

秘密保持契約の実務書にも動き

「法律関係の本もよく出ている」と広瀬さん。法律書の平台から森本大介、石川智也、濱野敏彦編著『秘密保持契約の実務』(中央経済社)を紹介してくれた。書名の通り、まさに実務書だが、契約の結び方から営業秘密をめぐる裁判の争点、最新の法改正のポイントまで整理した本書が必要になる場面が今のビジネスには多いのだろう。

それでは先週のベストセラーを見ていこう。先週は連休中だったため営業日が月、金、土の3日。少ない冊数でランキング入りするのを狙った「著者や関係者によるまとめ買いが入った」と広瀬さんは話す。

(1)資金30万円を巨額資産に大化けさせる銘柄「乗り換え」株式投資法藤村哲也著(幻冬舎メディアコンサルティング)
(2)幸せになる勇気岸見一郎・古賀史健著(ダイヤモンド社)
(3)通貨の未来 円・ドル・元英『エコノミスト』編集部著(文芸春秋)
(3)買収効果が出るクロスボーダーM&Aの組織・人事手法竹田年朗著(中央経済社)
(5)経済で読み解く明治維新上念司著(ベストセラーズ)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2016年5月2日~5月8日)

何冊ぐらい買うとランキング入りするかを聞いた上で買っていくのだという。トップの投資関連本がまさにそれで、同率3位に入ったM&A本も「店頭に出ていた数冊を全部買っていかれたお客様がいた」。そんな中、冒頭でも触れた『通貨の未来 円・ドル・元』が同率3位に入っている。2位のアドラー本は4月初めもランキングに入っていて、ロングセラーぶりがうかがえる。

(水柿武志)

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