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豊嶋泰嗣さん コンサートマスター30年を語る

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日本を代表するバイオリニストの1人、豊嶋泰嗣さん。デビュー当初からコンサートマスターを30年間務めている。指揮者の小澤征爾さんらが創設した新日本フィルハーモニー交響楽団やサイトウ・キネン・オーケストラでその大役を果たしてきた。オーケストラの顔であるコンマスの醍醐味を聞いた。

豊嶋さんは桐朋学園大学在学中にソリストとして活躍し、卒業と同時に22歳で新日本フィルのコンサートマスターに就任した。コンマスはバイオリンのトップ奏者であると同時に、指揮者とオーケストラとの間のコミュニケーションを取り持つ橋渡し役を担う。経験がものをいうポジションだけに、最初は大変苦労したという。「一緒に弾いている仲間に『彼がいてくれれば安心だ』と思ってもらえればやっと一人前として認められるポジション。全楽団員から信頼を得られるまで時間がかかる」

自らバイオリンを弾く傍らで、弦楽器、管楽器、打楽器など、それぞれの音の流れにも気を配る。アンサンブルの乱れといったトラブルがあればすぐに対処して、何十人もの演奏者の息が再び合うよう導いていく。

「楽譜はもちろん、お互いの目を見ながら、耳で音を確認しながら、全身の神経を集中させて周りがどう動いているのかを把握していなければならない。厳しいポジションだが、指揮者と一緒にすばらしい音楽が作り上げられた時はやっていてよかったと思う。こればかりは1人で弾くのとは違う、オーケストラで演奏することの醍醐味だ」

豊嶋さんはいくつものオーケストラを掛け持ちしてコンマスを務める一方、ソロ活動や室内楽でも活躍する。数知れない舞台を踏んできた今でも、舞台に出るときは緊張するそうだ。

「一番緊張するのは小編成での室内楽です。1人で演奏する場合なら失敗しても自分が落ち込むだけで済むが、室内楽だと周りにものすごく迷惑をかけてしまう。それだけにうまくいったときの喜びも大きい。ただ、音楽には完成形がないので、もう一度弾いたらもっとうまくできる、という気持ちが常にある。死ぬまで満足しないと思うし、それが音楽のいいところだとも思う」

豊嶋さんは自身の演奏を収録したCDも作ってきたが、「不満がたくさん出てくると思うので、自分の演奏は聴かないようにしている」。

30年間の演奏活動の中で、常にかかわってきたのが指揮者の小澤征爾さんだ。新日本フィルの指揮者であり、サイトウ・キネン・オーケストラの設立メンバーでもある小澤さんには、20代の頃から指導を受けてきた。「初めて会ったのは小澤さんが50代の頃。世界中を飛び回る精力的な活動ぶりに圧倒された」

小澤さん指揮のもとで演奏するのはどんな感じなのか、豊嶋さんに聞いてみると、「やりにくいと思ったことは一度もない」と話し始めた。「特別なことを言うわけではなくても、一言一言に重みがある」。病気から復帰した今の小澤さんについては「ご本人は体が思うように動かなくなってもどかしい部分もあるようだが、演奏する側には一切感じさせない」と語る。

同じ新日本フィルの指揮者として名を連ねるのが、作曲家の久石譲さんだ。スタジオジブリのアニメ映画音楽などの作曲でよく知られる。久石さんは現代音楽の作曲にも力を入れていて、豊嶋さんも積極的にその演奏に取り組んでいる。「クラシックというと、何百年も前に亡くなった作曲家の音楽ばかり弾いているように思われがちだが、ベートーベンもバッハも曲を書いた当時は誰もが初めて耳にする現代音楽だった」。それだけに「一緒の時代を生きている今の作曲家の音楽にも興味を持ってほしい」と説く。

生きている作曲家の作品なら、演奏する際にどう表現してほしいのか、直接本人に確かめることもできる。話題は今年没後20年の戦後日本を代表する作曲家、武満徹にも向かった。「生前、武満さんの曲を演奏する際、ご本人から細かい指示をもらい、どう弾くべきか議論したことがあった」と振り返る。そして「最終的には自分がどう感じてどう弾くのかが重要だ。曲は完成したその瞬間から作曲家の手を離れるもので、演奏する人の数だけ解釈があるのだと思う」との結論に至ったそうだ。

バイオリニストとしての経歴を築き上げた今、最も必要と思うのは後進の育成だ。「小学校5年生の頃に教わった先生の指導が、今もずっと記憶に残っている。先生は現役でバリバリ演奏しながら、生徒を教えることにも情熱を注いでいた。伝えてもらった確固たる教えを、今度は後輩たちに受け継いでいく作業に力を入れたい」と意気込む。

現在、豊嶋さんは京都市立芸術大学で准教授を務めながら、7月には大阪交響楽団とのコンサート、秋にはデビュー30周年を記念するリサイタルも控える。恩師のような「現役でバリバリ演奏活動を続ける先生」を目標にしている。

(映像報道部 槍田真希子)

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