髪のエイジングを止める、5分の頭皮オイルマッサージ

日経ヘルス

(写真:鈴木希代江)
(写真:鈴木希代江)
日経ヘルス

薄毛と白髪は、見た目年齢をぐんと上げる原因。両方の予防に有効なのは、髪を育てる毛根を元気にすること。そして、気になりはじめたら“早めのケア”こそが大切。プロ直伝のオイルマッサージをご紹介します。

ボリュームが減る、白髪が気になる……栄養、頭皮環境の改善を

加齢による老化を除いて、女性の薄毛で最も多いのが、生えている毛髪の本数が減る「慢性休止期脱毛」。

「髪は毛周期と呼ばれるサイクルで成長し、必ず数年ごとに生え替わるが、休止期が長くなって新しい毛が育たず薄毛になる」と、銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子院長。もうひとつは、主に遺伝に関わる「FAGA(女性男性型脱毛症)」で、「男性のAGAと同様、男性ホルモンの作用で、細く短い毛に変わる」(慶田院長)。

一方、白髪の原因は色素をつくるメラノサイト(色素細胞)の機能の低下と、メラノサイトを供給する色素幹細胞の枯渇にある。基本的に治療は難しいが「メラノサイトが休止して白髪になっている場合は、色素幹細胞が残っていれば黒髪に戻る可能性がある」(慶田院長)という。

薄毛、白髪は加齢や遺伝も大きくかかわるが、「まずは栄養状態を整えること」と話すのは、松倉クリニック&メディカルスパ育毛外来の田路めぐみ医師。「特に若くて薄毛に悩む人は栄養不足のケースが多い。栄養を的確に補給して心身の調子を整えるだけで薄毛が改善する人も少なくない。意識してとりたいのが鉄、亜鉛、ビタミンC、たんぱく質。バランスの良い食事を心がけて」と助言する。

同時に、頭皮環境を整えて毛根の働きを高めることも大切。「頭皮の凝りや血流不足があると毛根に栄養が届かず、毛母細胞が働けなくなる。また、頭皮の過剰な皮脂は放っておくと酸化し、毛母細胞の負担に。毛穴まわりの余分な皮脂は取り除いて」(田路医師)

栄養補給と頭皮のケアは、早く始めるほど髪の老化予防に効果的だ。頭皮の血行を促して頭皮を健やかに保つオイルマッサージをご紹介する。

5分のオイルマッサージで頭皮の血流アップ、過剰な皮脂ストレスも解消

薄毛、白髪のケアでお薦めは、血流を促して余分な皮脂を落とす「オイルマッサージ」。

美容師にヘアケア法を教えるイーラルインストラクターの菅野麻衣さんは、「特に頭頂部は血管が細い。また、頭皮が凝って血流が悪くなると、頭皮につながる顔の皮膚も下がってしまう。定期的なマッサージで頭皮の弾力を回復させて、正しい位置に戻すことが大切」と話す。

オイルマッサージには、過剰な皮脂を取り除く働きも。「毛穴から出る皮脂の2割はシャンプーで落としきれないといわれる。過剰な皮脂は酸化して頭皮の炎症やニオイ、フケなどの原因になる。負担をかけずに脂を落とすには、同じ成分で浮かせるのが一番。皮脂に近いオイルを使えば、落としすぎやべたつきもなく、頭皮の乾燥も防げる」(菅野さん)

コツは、オイルを頭皮になじませてしばらく置き、皮脂を浮かせること。その後、頭皮を持ち上げるようにゆっくり押しながら動かす。強く揉む、こするのはNG。「週1回でもいい。時間がない時は、乾いた髪の上からマッサージするだけでも。頭皮全体に血が巡り、リフトアップも期待できる」(菅野さん)

1.頭皮全体にオイルをなじませる

指の腹を使って頭皮全体になじませる。フェイスラインから後頭部まで、髪を分けながら頭皮につける。オイルの目安は500円玉大×3回分。両手を擦り合わせてなじませる。

2.耳上から頭頂部まで側面を押す

4本指を耳上の側頭部に、親指は耳の後ろのくぼみに添え、頭皮をゆっくり持ち上げるように5秒間押す。同様に頭頂部まで3カ所移動。両手の指の腹を使う。爪を立てないこと。

3.2と同じ動きで後頭部を押す

両手を後頭部にスライドさせて、と同じく頭頂部まで3カ所を押す。両手の指の腹を使う。

4.耳の後ろに沿って押し流す

耳のまわりはリンパ節が多い場所。親指で耳上の付け根を押して側面を通り、耳たぶの下のくぼみまで流す。親指の腹の部分を使う。

5.後頭骨の付け根のツボを押す

後頭骨の両側下にあるくぼみ(1)、その内側(2)、1から指1本くらい耳側に移動した位置のくぼみ(3)を両手で中心に寄せるように押す。親指の腹の部分を使う。

6.こめかみから頭頂部までを押す

こめかみから頭頂部に向かって3カ所程度、ゆっくり押し上げる。手のひらの付け根の腹の部分を使う。

※時間があれば、再度「3」を繰り返してもいい。

7.首からデコルテまでを流す

耳裏にこぶしを押し当て、首から鎖骨に向かってゆっくりと動かしてリンパを流す。3回ほど行う。こぶしを作り、4本の第二関節全体を使う

その後シャンプーする

シャンプーは2回。まずしっかり泡立てて髪と頭皮全体の脂と汚れを落とし、2回目は頭皮を指の腹でマッサージするように洗う

頭皮マッサージオイルの選び方
・頭皮になじみやすいホホバオイルがお薦め
・添加物のない天然オイルを
 「頭皮用クレンジングオイルや、皮脂になじみやすい天然のホホバオイルなどがお薦め。香料や着色料など添加物のないものを選んで」(菅野さん)
(写真左から順に)無印良品 ホホバオイル:ホホバの種子から搾って精製した無香料・無着色のオイル。200ml、2500円(税込)。問/無印良品 池袋西武 03-3989-1171 ラ・カスタ アロマエステ ディープ トリートメントオイル:5種の精油とホホバ、セサミほかのオイルをブレンド。125m l、3800円。問/アルペンローゼ 0120-887572 ピュアオイル ホホバ:100%ピュアなホホバオイルで長期保存が可能。80ml、4200 円。問/イーラル 0120-36-1186
普段のケアは育毛剤+マッサージを
 普段のヘアケアにも頭皮マッサージをプラスするといい。育毛剤には頭皮の血流アップや保湿効果もあるので、薄毛でない人もぜひ活用を。
(写真左から順に)セグレタ 髪を育むスプレー:有効成分t-フラバノンが毛根に作用。医薬部外品。150g、1620円(税込、編集部調べ)。問/花王0 1 2 0 -165-692 ザ・ヘアケア アデノバイタル アドバンスト スカルプエッセンス:有効成分アデノシンを配合。医薬部外品。4/22 発売。180ml、7000円。問/資生堂プロフェッショナル0120-81-4710 リアップ リジェンヌ:有効成分ミノキシジルと頭皮環境を整える3つの成分を配合。第1類医薬品。60ml、5239円。問/大正製薬 03-3985-1800
慶田朋子医師
 銀座ケイスキンクリニック(東京都中央区)院長。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング」をかなえる美容皮膚科医として多くの患者に信頼されている。美肌に役立つスキンケアなどのわかりやすい解説にも定評がある。
田路めぐみ医師
 松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)育毛外来を担当。形成外科・再建外科医としても活躍。従来の育毛薬の処方や治療だけでなく、栄養、ホルモンの観点からも診療し、根本的な治療を目指す。
菅野麻衣さん
 EraL インストラクター サブリーダー。ヘッドスパプログラムや商品を美容室に提供するエイジングヘアケアブランド「EraL(イーラル)」の技術インストラクター。全国の美容師に理論やマッサージ技術の教育を行う。「セルフケアの合間に、美容院でプロのヘッドスパを組み入れるのがお薦め」

(取材・文 渡辺満樹子、写真 鈴木希代江(モデル)、村田わかな(取材)、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 依田陽子、モデル 松嶋恵理)

[日経ヘルス 2016年4月号の記事を再構成]