エンブレム決定 「秘めたつながり」

2016/5/12
発表された東京五輪・パラリンピックのエンブレム(東京都港区)
発表された東京五輪・パラリンピックのエンブレム(東京都港区)

「クールだ」「地味」。白紙撤回騒動を経て決まった2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレム「組市松紋」。国民参加型の応募形式と審査の透明性にこだわり、だれもが物申せる雰囲気になった分、お披露目直後は賛否両論が渦巻いた。

エンブレム委員会の宮田亮平委員長(文化庁長官)は理解を求める。「エンブレムは生まれたばかりの赤ちゃん。一緒に育てて、20年の大会では愛されるエンブレムとして羽ばたくことを願う」

インターネット上ではあら探しと同時に作者、野老朝雄さんの緻密な計算を解き明かす作業も進む。なかでも計45個の四角形の配置をめぐる謎解き動画には数多くの賛辞が寄せられている。

よくみると五輪の丸いエンブレムは左右非対称。その一部がするすると移動すると、左右対称で鶴の飛翔を思わせるパラリンピックのエンブレムに変身する。野老さんが込めた思いは「つながる」。形は違えど四角形のピースは全部つながっている。なにより五輪とパラリンピックは同じ数の四角形の集合体だ。野老さんのインタビュー発言をつないでいくと、パラリンピックのエンブレムを完成形とし、五輪をそこに至るまでの過程と位置付けているのだと理解できる。20年東京が目指す、五輪とパラリンピックに連続一体で取り組む「オリパラ精神」の体現。一見無機質な伝統の市松模様にはいろんな思いが詰まっている。

[日経朝刊2016年5月12日付]

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