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カレー… 思い出すのは深夜番組のオーディション

立川笑二

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NIKKEI STYLE

まくら投げ企画5周目。

今回の師匠からのお題は「カレー」。

いろいろと記憶を遡ってみたが、カレーに関連するエピソードを持っていなかったので、いろんな人にアドバイスを求めてみた。

まず、学生時代からの友人で、現在、東京に住んでいる友達14人が参加しているLINEのグループに

「カレーについてのエピソードってなにかある?」

と投げてみたが、驚くことに全員から既読スルーをされてしまった。

仕方がないので、9年間も私と付き合ってくれている彼女に直接

「今度の『虎の穴』のお題が"カレー"なんだけど、難しくて困ってる。なにかある?」

と聞いてみると

「カレーについては何もない。でも、その難題をどう料理するかが腕の見せどころだな! カレーだけに!」

と返ってきた。

目を見つめながらスルーした。

ただ、その数分後に彼女から改めて

「ロケみつのエピソードは?」

と言われてハッとした。

"ロケみつ"とは大阪の毎日放送が制作していた深夜のテレビ番組である。

今から6年前、2010年の夏ごろ、落語家になる前の私は吉本興業の若手ピン芸人"知花ひろゆき"としてこの番組に出演していたのだ。

今回はその時のお話。5投目。えいっ!

私が出演していた企画のタイトルは「知花ひろゆきの夏はやっぱりGOGOご来光! 富士山利きカレーブログ旅」。

簡単に企画内容を説明すると……。

富士山5合目で13種類のカレーを食べる。

そこから8合目まで登り、そこで1つのカレーを食べ、5合目で食べた13種類のうちどれかを当てる。

外れたら5合目に戻って翌日に登り直し。

当たればそのまま山頂へ登りご来光を拝める。

というもの。

ちなみに、企画が放送されている期間中は番組のホームページに私のブログが開設される。そこでブログを更新し、番組で自分の企画の放送が終わってからの24時間以内にブログへのコメントが1000件を超えていないと、無条件に企画自体が打ち切りとなるから"ブログ旅"と付いているのである。

これが私にとっては人生初のテレビ出演で、たかが6年前のできごとなのに、なぜそんな事を彼女から言われるまで思い出せなかったのか。

それはおそらく、無意識のうちに記憶から消していたのだと思う。

そして、企画内容以外の詳細が今でもほとんど思い出せない。

当時のブログを読もうにも閉鎖されてしまっているし、映像も見つけることができなかった。

この企画で覚えている数少ないできごとは

「番組最年少(当時の私は芸歴1年目で19歳)での出演で、大抜擢ですよ!」と周りから言ってもらえたが、ロケ中に気の利いたセリフが一つも言えずに、ずっと泣きそうだったこと(多分、これが記憶を無くしている最大の理由)。

3回目の挑戦で利きカレーに正解したものの、山頂からご来光を拝む瞬間に疲れがピークに達して寝てしまったこと(これだけは私のポンコツすぎるできごととして生涯忘れられないと思う)。

2回目の放送後にブログへのコメントが1000件に届かなかったが、企画は収録済みで達成しているため、今回だけは特別にということで、私の顔にモザイクをかけた状態で最後までオンエアしてもらえたこと。

以上。本当にこれぐらいしか思い出せない。

ただ、この企画が行われる前の、オーディションのことはなぜかはっきりと覚えている。

そのオーディションには企画内容どころか、番組名さえ知らされていない、私を含める若手芸人8人が、毎日放送の会議室に集められた。

そこでディレクターや構成作家など、5人のスタッフさんからいろんな質問をされるのだが、その質問内容が

「3日間ぐらいなら寝ずに動けるか」

「どんなときでも笑えるか」

「痛いのには耐えられるか」

など、不安になるようなものばかり。

しかし、我々にとっては数少ないテレビ出演のチャンスなので、もちろんすべての質問に対して全員がイエスと答えていた。

そんな中でも一番ひっかかった質問が

「あなたのお尻は見た人が不愉快にならないか」

というもの。

自分のお尻が鑑賞に堪えられるかどうかなんて考えたことがない。

ただ、これも若手芸人の悲しい性(さが)で、その場にいた全員が「僕のお尻はキレイです」と言い張り、その場で脱いでスタッフ達から直々にチェックを受けることになった。

会議室で下半身裸の男が8人。

それを真顔でチェックする5人のスタッフ。

どこかの色に狂った大富豪に売られる前の審査じゃないのかと、少しだけ、私は疑っていた。

スタッフから「お前のお尻、面白くねぇな」と言われて本気で謝ったり、「色、形、張り、文句なし! 100点!」とほめられて心から喜ぶ先輩芸人を見てとても複雑な気持ちになった。

ちなみに私のお尻を見たスタッフの感想は

「やる気が感じられないお尻」

だった。

「すみません! がんばります!」

と答えたが、実際には、その後もお尻からやる気があふれ出るような努力をしなかったので、いまだに私のお尻はやる気がないままだと思う。

そのオーディションで「1週間ぐらい寝ずに笑っていられます」と答えた私は、後日、利きカレーで富士山に登ることになった。

100点のお尻を持つ先輩は、全国の温泉を回り、お尻だけを湯につけて、その温度を当てると湯に入ることができる「日本名湯しりとり利き温度ブログ旅」という企画に挑戦されていた。

「痛いのは全然平気です!」と答え、オーディションの会議室でスタッフさんから思いっきり乳首を引っ張られて、涙目になりながらも「全然痛くないです!」と答えていた先輩は、どの企画にも出演しないまま番組自体が終わってしまった。

落語家になってそういうオーディションに参加することはなくなったが、そういう場に呼ばれて無茶な質問をされたら今でも「トリカブト? はい! 大好物です!」なんて答えるんだと思う。

今なら良い記憶をつくれるはずだ。

(次回5月18日は立川吉笑さんの予定です)

立川笑二(たてかわしょうじ)。1990年11月26日生まれ。沖縄県読谷村出身。2011年6月に立川談笑に入門。前座時代から観客を爆笑させ評判に。14年6月、二つ目に昇進。出囃子は「てぃんさぐぬ花」。立川談笑一門会(5月27日)のほかにも、立川吉笑、立川笑坊ら一門、立川流の若手といっしょに頻繁に落語会を開いて研さんを積んでいる。ホームページは、http://tatekawashouji.com/

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