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使って分かったiPhone SEの「がっかり」 戸田覚のデジモノ深掘りレポート

日経トレンディネット

2016/5/15

iPhone SEの箱はiPhone 6sシリーズ同様で高級感がある
日経トレンディネット

iPhone SEのコンパクトさに魅力を感じているユーザーは少なくないようだが、日本市場で最も多いと思われるのは、ガラケーからの買い換え組だ。いまだ4~5割はいるといわれるガラケーのユーザーが、いよいよスマートフォンに乗り換えつつあるタイミングなのだろう。

とはいえ、本記事を読んでくださっている方は、すでにスマートフォンをお使いの方が多いと思う。そこで今回は、スマートフォンユーザーが買い換えるターゲットとして考えたときの、iPhone SEのがっかりなポイントを取り上げてみたい。

【がっかりな点1】 キーボードが小さすぎる
【がっかりな点2】 解像度が低く、画面が暗い
【がっかりな点3】 3D Touchが利用できない

■老眼の僕には文字が入力しにくい

スマートフォン市場が大画面化に向かっているのは、ユーザーのニーズがあるからだ。店頭を見ると5型は最低クラスで、主流は5.5型になっている。

実際、5.5型液晶を搭載するiPhone 6 Plusのユーザーから「大き過ぎる」という声はあまり聞こえてこない。たまに耳にするのは片手でフリック入力しにくいということだ。その点、手の小さい人にとっては、コンパクトなiPhone SEは手ごろなサイズだろう。これまでiPhone 5sを使ってきたユーザーなら、何の不満もないと思う。当たり前とはいえ、同じサイズだからだ。

ただ、最近の大きめ画面になれたユーザーは操作しづらさを感じるかもしれない。特に老眼の中高年ユーザーが、手ごろなサイズと価格を理由にiPhone SEに飛びつくと失敗しかねない。昔はこれで問題なく入力していたわけだが、今となっては4型という液晶サイズは小さ過ぎるのだ。

改めてiPhone SEでローマ字入力にチャレンジしてみたのだが、タイプミスがかなり多かった。液晶が小さい分、スクリーンキーボードも小さくなってしまうためだ。また、ガラケーの「キー」に慣れてしまった買い替えユーザーにとっても、iPhone SEのスクリーンキーボードは打ちづらいことと思う。

iPhone 6s Plusと比べるとサイズの違いは歴然だ
僕の指にはスクリーンキーボードは小さ過ぎるようだ
液晶サイズの違いはスクリーンキーボードのサイズにも出る

■5万円台にしては解像度が低く暗い

液晶が小さ過ぎるというユーザーにはiPhone 6sなどの選択肢が別に用意されているのだから、液晶サイズに文句を言うべき点ではないのかもしれない。あくまでもユーザーが好きな方を選べば良いのだ。

残念に思ったのは、むしろ解像度である。4型という液晶サイズはいいとして、1136×640ドットという解像度はいかがだろう。液晶の精細さでは、5.5型でフルHD(1920×1080ドット)のモデルに及ばない。しかも、最近ではさらに高解像度のモデルも増えている。これから買う5万円台の端末としては、解像度が低いのではないだろうか?

さらにがっかりしたのが画面の暗さだ。輝度は500カンデラ/m2(平方メートル)とされており、スペック上はまったく暗くはない。しかし、手元にあるiPhone 6s Plusと比べると明らかに暗いのだ。正面から見るとさほどでもないのだが、斜めから見るとはっきりと違いが分かる。iPhone 5sも同様の暗さなので、ここは変わっていないのだろう。

iPhone 6s Plusと比較。斜めから見たときの液晶の明るさがまったく違っている

■3D Touch非搭載はデザインの影響か

3D Touchは、慣れると大変便利なだけに、採用されなかったのは残念だ。写真はiPhone 6s Plusの3D Touchの画面

iPhone 6s/6s Plusの目玉機能として搭載されたのが、「3D Touch」だった。タップやスワイプに加え、押し込むという新しいタッチ操作が採用された。

iPhone 6s/6s Plusとほぼ同様の性能・機能を備えるiPhone SEだが、なぜか3D Touchだけは見送られている。その理由は定かではないのだが、もしかするとiPhone 5sと同サイズのボディーにはセンサーが収まらなかったのかもしれない。もちろん、コスト面の問題という可能性もあるが……。

3D Touchを使ってみるとかなり便利だ。ホーム画面のアイコンを長押しして、ショートカットとして利用したり、アプリのアップデートやセルフィーの撮影でもアクションが減ったりするのがうれしい。おそらく、次世代のiPhoneにも3D Touchは採用されるだろう。当然、対応アプリも増えてくるに違いない。年を経るごとに、iPhone SEユーザーは悲しい思いをしそうだ。

また、最大容量が64GBにとどまる点もちょっと気になる。音楽などを大量に持ち歩きたい人には、かなり厳しいと思う。iPhoneは、SDカードによる容量アップができないので、自分の使い方をよく見極めてから選んでほしい。

iPhone SEを使ってみて、このデザインは完成度が高いことをあらためて認識し、物欲をそそられた。また、性能が高くなったのでサクサクと気持ち良く動くのもうれしいポイントだ。16GBモデルで5万2800円、64GBモデルは6万4800円というiPhone SEの価格は、性能を考えれば納得できると思う。コンパクトなスマートフォンが減ってきているだけに、サイズに魅力を感じる方には十分におすすめできる。

とはいえ、液晶の解像度が物足りないし、暗い点はかなりのウィークポイントだと思う。僕なら、迷わずiPhone 6sを購入する。

戸田覚(とだ・さとる)
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2016年4月14日付の記事を再構成]

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