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京葉・りんかい線相互直通 ディズニー・お台場結ぶ 首都圏鉄路、交通審答申から(3)

2016/5/25 日本経済新聞 朝刊

朝夕のラッシュ時間は乗り換え客で混雑する(JR新木場駅)

 東京・お台場と東京ディズニーリゾート(TDR)。東京湾に面し、国内外から人気を集める2つの観光地は、JR京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線の相互直通運転が実現すると、乗り換えなしで行き来できるようになる。

 交通政策審議会の答申は京葉線とりんかい線の相互直通運転を「国際競争力の強化に資するプロジェクト」と位置づけた。東日本旅客鉄道(JR東日本)が計画する羽田空港アクセス線が実現すれば、空港からりんかい線を経て京葉線沿いのTDRや幕張メッセ(千葉市)などへのアクセスが改善するからだ。

 京葉線とりんかい線は現在、新木場駅で接続しているが、乗り換えるには一度改札を出なければならない。千葉市などの調査によると、相互直通運転が実現すると、改札を出て乗り継ぐよりも所要時間が1~7分程度短くなるという。千葉県の調査では、相互直通運転によって京葉線の乗客はりんかい線を経て新たに20路線と直接乗り換えられるようになる。

 相互直通運転の実現を強く働きかけているのは京葉線沿線の千葉県の自治体だ。2014年には千葉市や浦安市などが協議会を設立し、利用実態や波及効果について調査を始めた。

 14年度に実施したアンケート調査では、新木場駅での乗り換え客の8割が、混雑などを理由に「問題がある」と回答。同駅の乗り換え客は1日12万人近いが、直通運転が実現すると1日当たり2万1000~4万6000人減るとの見積もりを出した。

 15年度には波及効果に関する調査を実施。沿線人口の増加などに伴い沿線住宅地の地価が平均0.74%上昇すると推計。買い物客の増加も見込み、沿線の商業施設の売上高が最大で年間75億円増えると試算した。

 交通審の答申を受け、千葉市の熊谷俊人市長は「過去になく機運が高まっている」と期待感を示した。京葉線とりんかい線の線路は新木場駅で既につながっており、物理的には乗り入れが可能だ。だが、実現には運賃収受を巡る問題が立ちはだかる。

 りんかい線は大崎駅でJR埼京線と相互直通運転をしている。京葉線との相互直通運転が実現すれば、京葉線の乗客がりんかい線の改札を通らずに埼京線まで乗って行けるため、東京臨海高速鉄道が運賃を徴収できなくなる問題が生じる。

 東京臨海高速鉄道の山口明社長は直通運転化について「利用者の視点で検討していきたい」とする一方、「運賃収受の整理が必要だ」と指摘。JR東日本千葉支社の藤森伸一支社長も運賃収受について「明確な解決策がなく、現時点で相互直通運転は難しい」との認識を示す。

 東京都が9割を出資する東京臨海高速鉄道は14年度末時点で、鉄道建設・運輸施設整備支援機構に1400億円超の有利子負債を抱え、JRより高く設定している料金をJR並みに引き下げるのは難しい。沿線自治体の期待とは裏腹に、事業者間の交渉は難航も予想される。

[日本経済新聞朝刊2016年5月7日付]

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