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ビジネスの社会は厳しいもの。お得意様との交渉、ライバル会社とのせめぎ合い、そして会社の中では、神経をすり減らし……本当にお疲れさまの日々です。

さて、そんなとき、日本の社会ならストレス解消のために、同僚を誘って「ちょっと一杯」はよくある風景です。How about a drink after work? 「帰りに一杯どう?」はなじみある誘い文句ですが、実はアメリカではそうはいきません。その理由はいったいどんなところにあるのでしょうか。

イラスト Dセイン

イラスト Dセイン

Part 1
Sally: You look down in the dumps. Is everything okay?
Ito: Well, not really. I'm thinking about quitting.
Sally: Oh, I see. Do you want to talk about it?
 Ito: Tanaka-san is always on my case.
Sally: That's because he has high expectations for you.
 Ito: Are you sure? I think he thinks I'm a lost cause.
Sally: Don't be so hard on yourself. I overheard him telling Mariko that he's impressed by how hard you're trying.
 Ito: Are you sure? Well, I guess I'll wait to throw in the towel.
 
【対訳】
サリー: 何かガッカリしているように見えるけど。大丈夫?
 伊藤: えーと、いえ、それほどでは。辞めようかなって考えているんです。
サリー: あー、そうなのね。何か話したい?
 伊藤: 社長には怒られてばかりなんです。
サリー: あなたに対する期待が高いからでしょ。
 伊藤: 本当ですか? 僕のこと、頭がおかしいと思っているんだと思っていました。
サリー: そんなに自分につらくしないの。社長が真理子部長に、あなた一生懸命やっていることに感心していると言ったって、小耳にはさんだわよ。
 伊藤: 本当に? それなら、諦めるのはもう少し待とうかな。

解説)

You look down in the dumps.: がっかりしているように見える

*down in the dump: しょんぼりした、意気消沈した

I'm thinking about quitting.: 辞めようか考えている

*be thinking about: ~についてじっくり考える、熟考する think aboutは「思いをめぐらす」のニュアンスになります。

be always on one's case: ~をいつも批判する、うるさい

have high expectation for: ~に高い期待を寄せる

a lost cause: どうしようもない奴、無力な奴、常軌を逸した奴

be hard on someone: ~につらくあたる、責める

Mariko: 海外では、日本のように上司や部下を「役職名」で呼ぶことはありません。

overhear: 小耳にはさむ、伝え聞く

throw in the towel: ボクシングの試合で「タオルを投げ入れる」すなわち「諦める、白旗を上げる」の意味。

Part 2
Mariko: Oh, no! How could I be so stupid?!
Sally: Calm down. I'm sure it's not the end of the world.
Mariko: I sent next year's budget to Ito-kun by mistake!
Sally: What's so bad about that?
Mariko: He's going to think he's getting a pay hike.
Sally: But that's four months away, and it depends on his sales.
Mariko: We'll, it'll be interesting to see how he reacts.
Sally: Thinking his salary is going to increase might motivate him.
Mariko: That's true. But it might give him a big head and have the opposite effect.
Sally: I guess we'll see what he's made of.
 
【対訳】
真理子: あら、やだ! 何て私ってバカなんでしょう!
サリー: 落ち着いてください。 この世の終わりってわけじゃないんですなら。
真理子: 間違って伊藤君に来年の予算を送っちゃった。
サリー: それのどこがそんなに悪いことなんですか?
真理子: 伊藤君、昇給があるって思っちゃうでしょう。
サリー: でも、4カ月先のことですよ。それに、彼の売り上げにもよりますし。
真理子: そうね、どういう反応を示すか見てみるのも面白いでしょうね。
サリー: 給料が上がるって考えれば、彼の刺激になるかもしれませんね。
真理子: それはあるわね。あるいはのぼせ上がっちゃって、まったく逆効果になるか…
サリー: そうですね、彼が何に対して腹を立てるか見てみましょう。

解説)

How could I be so stupid?!: 何てバカなんでしょう。

* 仮定法の文なので「なぜこんなことがありえるの?」というニュアンス。

it's not the end of the world.: この世の終わりではない。すなわち「それほど重大なことではない」

*何か失敗したり落ち込んだりした友人や同僚を慰めるたり、元気づけるために、使える表現。

by mistake: 間違って、誤って

get a pay hike: 昇給する、給料を上げてもらう

it depends on his sales.: 彼の売り上げによる、売上次第である。

Thinking his salary is going to increase might motivate him.: 給料が上がると考えれば、彼の刺激になるかもしれない。

* Thinking his salary is going to increase までが主語。「~と考えることは」

give one a big head: のぼせ上がる

have the opposite effect: 逆効果になる

セインのビジネスひと口メモ

上司、同僚、部下とのつき合い方は、アメリカと日本では大きく違います。アメリカでは、たとえ社内でも、相手を「~部長」とか「~課長」などと役職で呼ぶことはありませんし、名字で呼ぶこともあまりありません。相手が上司であろうが、たとえ社長であろうがファーストネームで呼ぶのがアメリカ流です。だからといって、日本社会のように「やあやあ」とばかりに、飲みに行ったり、過度に親しくすることはあまりありません。

実はアメリカなど、外国の会社では、勤務時間外に従業員同士が飲みに行くことを禁止しているところが多くあります。例えば上司と部下が飲みに行った場合、後の勤務評価が冷静になされるのか、客観的な判断が下せるのかなどが問題になります。特に上司が異性の部下を誘うことについては、歓迎されないどころか、よくないと考えられています。

飲みに行かずとも、職場でのオープンで率直なコミュニケーションが理想と考えられています。もちろん、それがすべてうまく行くとは限りません。やはり、残念ですが、ここでも理想と現実のギャップはあるにはあるのです。

Try and try again,

:D セイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は5月19日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身。累計売り上げ部数350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」(www.smartenglish.co.jp)の代表を務める。日本で26年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまでに教えた日本人は数万人にのぼる。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発している。
 東京・文京区のエートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに、英会話教育メソッド「デイビッド・セイン英語ジム」(http://www.david-thayne.com)の監修も行っている。主な著書に、「チームリーダーの英語表現」(日本経済新聞出版社)、「ネイティブが教える英語の語法とライティング」(研究社)などがある。

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