真珠の養殖貝・アスパラの根元… おしゃれ食品に変身
食材を無駄なく有効に
アコヤ貝の貝柱、刺し身で提供
三重県は昨年からアコヤ貝の利用促進を政府に働きかけている。真珠は製品になる核をアコヤ貝に入れ養殖する。真珠を取った後に残った貝柱はもともと、「地元でバター焼きや刺し身で食べていた」(同県サミット総務課)が、「観光客が増え、県外でも注目され始めた」(同)という。
真珠の採取体験(1回1千円)を実施している山本水産(同県志摩市)は参加者に貝柱を刺し身で出す。「食べられることに驚く人は多い。サミットの影響で昨夏から客足は3割ほど増えた」(同社)という。伊勢志摩司真珠(志摩市)も貝柱の通販で、「全国の広範囲から注文が増えた」。
長崎市の金子真珠養殖は昨年、油漬けの「アヒージョ」(2個3240円)を空港などで販売。準備した1300個が売り切れた。真珠の生産量は2015年に20トンと10年前に比べ3割減。「真珠の価格下落や生産減に伴い、貝柱販売も手掛ける業者が増えた」(同社)。
マグロの卵巣で作ったからすみ発売
シーパッション(宮崎市)は4月に、マグロの卵巣で作ったからすみ(100グラム3800円)を発売した。マグロは鮮度保持のため漁獲後すぐに内臓を除去、廃棄するのが国内で通例。杉尾宏一郎社長は「マグロは資源保護の対象になっており、有効利用する必要がある」という。
アスパラの茎の根元、うどんに
佐嘉の絲(さがのいと、佐賀市)は農家からアスパラガスの茎を無料で引き取り、うどんにして販売している。従来、出荷前の長さ調整で切った茎の根元は農家が有料で廃棄することが多かった。4月には伊勢丹相模原店(相模原市)や、三越星ケ丘店(名古屋市)の九州フェアに出品した。料理宿の宮寿司(北海道上ノ国町)もドレッシングなどの調味料として製品化に乗り出した。
飲料になる例も。ヨーグルトの製造工程で出るホエー(乳清)は乳業メーカーが捨てるケースが多かった。サントリーはこれを原料に使った「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」を昨年発売。健康志向の高まりなどを背景に生産が一時追いつかなくなるほどのヒット商品となった。味付けに活用する企業が増えつつあり、豚やサバのエサとして使う例もある。
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