東洋大、オリパラ講座で知るスポーツの奥深さ

東洋大学は萩野公介選手ら多くのトップアスリートを抱える(写真提供:東洋大学)
東洋大学は萩野公介選手ら多くのトップアスリートを抱える(写真提供:東洋大学)

オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を視野に入れて、全国の大学で「オリパラ」熱が高まっている。オリパラについて学べる講座の開設、ボランティアの育成、そして大学に所属する選手の応援。8月のリオデジャネイロ大会も近づき、キャンパスは一気に活気づきそうだ。大学生は今、オリパラとどう向き合っているのか。リオ大会での活躍が期待されるアスリートも多い東洋大学を訪ねてみた。

東京都文京区にある東洋大の白山キャンパスで4月から開講されている「オリンピック・パラリンピック講座」には約230人の学生が集まり、教室はほぼ満席の状態だった。この日の講座を担当していたのは法学部の谷釜尋徳准教授。「スポーツイベントの歴史と現在」というテーマで、アスリートを裏側で支えながらイベントを運営するノウハウなどについて解説していた。

文学部の美馬蒔葉さんはスポーツの歴史にも関心を持って受講している

聴講している学生の表情は真剣そのもの。熱心にメモを取る姿からもオリパラへの関心の高さがうかがえる。「スポーツについて考える授業はないかと探していたので、この講義を知った時は『これだ!』と思った」。文学部の2年生、美馬蒔葉さんは少し興奮気味にこう話す。美馬さんは東洋大のスポーツ新聞「スポトウ」の記者として活躍しており、「様々なスポーツの歴史や背景を知ることは、新聞部員としても非常に勉強になる」と意欲的だ。

外部の専門家からも学ぶ

講座はオリパラのムーブメントを学内で促進することが目的。卒業に必要な単位も認定される。昨年秋にスタートし、今年度からは春と秋の通年講座に拡充された。受講者数は昨秋と比べて8割も増えている。講義の内容は多彩だ。国際地域学部の矢ケ崎紀子准教授による「オリンピック・パラリンピックとインバウンド観光」、総合情報学部の加藤千恵子教授による「パラリンピックとボランティア」などがそろう。

さらに今年度からは東洋大の教員だけでなく、外部からも専門家を招き、講義を充実させている。アシックスのマーケティング担当者がスポーツマーケティングの実践論を伝授した講義などは学生の反響も大きかったという。講座全体の企画を担当している谷釜准教授は「幅広い講座の中から学生には『自分とスポーツの関わり方』を見つけてほしい」と期待している。

東洋大のキャンパスには、オリパラを肌で感じることができる空気がある。大学の正門を通り抜けると、リオ五輪の出場が決まった選手を祝う大きな垂れ幕が目に飛び込んでくる。リオ大会での活躍が期待できるトップアスリートの存在がキャンパスの雰囲気を自ずと盛り上げる。

法学部の出水拓歩さんは桐生祥秀選手を通じて陸上競技に興味を抱いた

東洋大からリオ五輪への出場が確定しているのは、現在OBを含めて5人。水泳競技の萩野公介選手、内田美希選手、競歩の松永大介選手が在校生だ。さらに陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01の記録を持つ桐生祥秀選手も在校生として出場が期待される。いずれもスポーツ界で華々しい活躍を見せるスター選手だが、キャンパス内では普通の学生だ。オリパラ講座に出席している学生の中には、彼らと交流のある者も多い。

法学部3年生の出水拓歩さんもその一人。桐生選手の友人で、陸上競技の観戦にも頻繁に足を運ぶと言う。「桐生選手と友人になったことで、陸上競技に興味を持つようになった。五輪の動向も気になっているので、五輪に関連した講義があると聞いて、すぐに受講しようと思い立った」と打ち明ける。

オリパラから広がる学問領域

スター選手を友人に持つ出水さんやスポーツ新聞の記事を手掛ける美馬さんにとって、リオ五輪は非常に身近なイベントになっている。ただ、オリパラ講座を受講するすべての学生がこうした強い参加意識を持っているわけではなく、中には「なんとなく受講した」という学生もいるだろう。

学生の質問に答える谷釜准教授 (東京都文京区の東洋大学白山キャパス)

谷釜准教授は「オリパラに興味がない人でもスポーツ観戦やボランティア、地域交流などを通じて、東洋大の建学の精神でもある『哲学』を学んでもらいたい」と話している。学生がオリパラを起点にして、その奥に広がる学問領域に足を踏み入れ、学んでゆけば、講座は学内でオリパラというスポーツイベントを盛り上げる以上の意味を持つだろう。

オリパラ講座を通して、オリパラについて知り、世界に広がる多様な価値観について考えながら「哲学する」姿勢を学ぶ。東洋大学の学生にとって、オリパラとの出会いは成長の種になりそうだ。

(ライター 三山彩音)

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