熊本地方を震源とする大地震は熊本・大分両県に甚大な被害をもたらしました。大地震が日本列島を襲うたびに、私たちは日ごろの備えの重要性を痛感させられます。地震に強いマイホームをつくるには何を知っておくべきか、自然災害に保険でどう備えたらいいのか。マネー研究所にこれまで掲載した記事の中から「家の備え」「保険での備え」を中心に、いま知っておきたいことをまとめました。
1981年、建築基準法改正で耐震基準が強化されました。今回の熊本地震では、倒壊した家の中に81年以前に建てられた「旧耐震基準」の家が相当数含まれていたことが報告されています。新旧の耐震基準にはどのような違いがあるのか、また、マイホームの耐震性能を知るにはどうしたらいいのでしょうか。
1950年に建築基準法ができてからというもの、大きな地震が起きるたびにその被害の度合いを勘案し、耐震設計基準は段階的に何度も見直され、強化されてきた。まず、81年の「新耐震設計基準」が一番大きな変更で、木造軸組工法(在来工法)、ツーバイフォー、鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)全ての構造における耐震設計基準が大幅に変更された。
14日に発生した熊本地震は最大震度7を観測、多くの建物が被害を受けた。震度5強の揺れを観測した熊本市中心部では「13階建てのマンションが壊れた」として報道されたマンションがあったが、あれは実は「わざと壊れるように設計・施工されている」ことは意外に知られていない。
台湾南部で6日午前に発生したマグニチュード(M)6.4の地震で倒壊したマンションの中には、柱の中に一斗缶が埋まっているのが見つかるなど、建築プロセスに疑問の残る物が見られた。こうしたずさんな工事は論外だが、日本の建築物と比べるとずいぶんと異なる鉄筋の太さや数、露出したコンクリートのもろさなどに驚いた人も多いのではないだろうか。
アベノミクスや2020年の東京五輪を受けて、都心ではタワーマンション建設が進んでいる。ところが、さくら事務所に相談に来る依頼者の多くがその「耐震性」を非常に気にしている。大型の地震に見舞われた際の漠然とした憂慮、といったところだ。
東日本大震災で震度5強の揺れに見舞われた東京では、高層マンションを含めた通常の耐震構造の建物で倒壊や損壊などの大きな被害を受けたものはなかった。最大震度6強だった仙台においても、外壁などに大きな亀裂が生じて全壊判定を受けたマンションはかなりの数に上ったが、地震による倒壊・大破はなかった。
地震によって建物がどの程度の損傷を受けるのかについては、建物の耐震性が重要なのはいうまでもありませんが、それ以外に重要な要素があります。建物が建つ「地盤」です。自宅周辺の地盤の状態をある程度、把握することができる便利なサイトがいくつかあります。それらを紹介した記事です。
建物の耐震性が重要なのは当然ですが、実は、建物自体だけでなく、建物が建っている「地盤」が地震による建物の破損や倒壊に大きく影響するということをご存じの方は少ないのではないでしょうか。
横浜傾斜マンションの「地盤データ改ざん問題」について、データを改ざんしたことと、建物が傾いたこととの因果関係は、実はまだよくわかっていない。建物に傾きがあるとき、その原因の多くは建物本体に起因することが多いのだが、中には、実は「地盤」にあったという事例が散見される。今回は「傾斜地の注意点」についてお知らせしよう。
建物などの建造物を支えている「地盤」。この地盤の性質によって大地震の際の影響は大きく変わる。一戸建ての場合、建物の重量がマンションなどに比べるとはるかに軽いこともあり、かつては地盤の状況をきちんと調べないまま基礎の設計を行うことが多かった。そしてそれが原因となり、基礎や構造物が傾いて沈下する「不同沈下」などのトラブルが起きることがあった。
一方、地震保険に対する関心も急速に高まっています。地震で自宅が損壊した場合、保険は何をどの程度、補償してくれるのでしょうか。来年には保険料の引き上げも控えているため、地震保険の基本を今こそ押さえておきましょう。
ある夕方、「たいきちマネー相談所」でバイトを終えた新衣紗が帰り支度を始めた途端、豪雨になりました。激しい雨を心配して鯛吉が初野家まで送り届けると、2人を出迎えた藤志郎の様子が変です。
基準料率などを算出する損害保険料算出機構によると、2013年度の地震保険の加入率は27.9%だった。さくら事務所のコンサルティング実績を見ると、新規の住宅購入者のなかには「耐震性が高い建物だから地震保険は不要」という人も意外に多い。
横浜市都筑区の分譲マンションが杭(くい)の施工不良のため傾斜している問題で、不動産会社は住民に対し補償案として全棟建て替えを提示した。これを受けて行われた2回目の住民アンケートでは、区分所有者の89%が全棟建て替えを希望しているという。
2016年の家計でやり繰りを考えたいテーマの一つが地震保険料だ。昨年夏に全国平均で15.5%値上げしたのに続き、2017年1月から段階的に平均で計19%上がるからだ。保険料が下がる地域もあるが、埼玉県などは50%上昇するなど全体では負担の増す地域が多い。改定を約1年後に控え、保険料上昇に対応できるよう準備しておこう。
東日本大震災から5年。未曽有の大災害をきっかけに地震保険への関心が高まる中、補償を特約で上乗せする商品が増えている。地震保険の保険金は最大で建物の価値の50%にとどまり、自宅の再建には不十分な面があるからだ。ただし補償を上乗せする分だけ保険料は増えるため、どの程度まで家計で負担できるかをよく考えよう。
自然災害は地震だけではありません。昨年は関東・東北地方で大雨による大災害が発生しています。水害に備える保険もおさらいしましょう。
マイホームに住む人を中心に水災補償への関心が高まっている。昨年9月の関東・東北地方の大雨など大規模な災害が増えているためだ。水災は一般に火災保険や共済に加入して備えるが、契約時期によって保険金に大きな差がある。集中豪雨や台風が発生しやすくなる夏が来る前に、早めに対応を考えておこう。
2015年9月の関東・東北豪雨は、各地に甚大な被害を及ぼした。鬼怒川をはじめ19の河川で堤防が決壊、61の河川が氾濫。住宅流失や損壊などの他、2万棟近くの住宅が浸水するなど著しい被害が生じ、災害救助法が適用された市や町は26に及んでいる。
最後に、自然災害はある日突然、被災者の生活を暗転させます。国や自治体の公的な支援制度にはどのようなものがあるのか知っておけば、まさかの時の備えになるでしょう。
熊本、大分県で相次ぐ地震が甚大な被害をもたらし、多くの人が避難生活を強いられている。災害の際に被災者の生活を支え、再建の第一歩となるのが様々な支援制度だ。被災地域以外の人もいざというときに活用できるよう頭に入れておこう。
大規模な災害時には住宅が損壊したり焼失したりすることがある。住む場所を失うばかりか、家を再建するのには多額の費用がかかるケースも多い。家が被災したときに役立つ公的な支援制度はどんな内容なのかを確認しておこう。
阪神大震災や東日本大震災といった大規模災害から、家族の日々の暮らしを守るにはどうすればいいか。避難ルートを確認しておくといった自分でできる備えのほかに、国や地方自治体による防災対策や被災者の生活支援の仕組みについて知っておきたい。