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「選択」は人生を切り開く シーナ・アイエンガーさん 米コロンビア大教授(キャリアの扉)

2016/5/1

「選択肢が多すぎるとかえって購買意欲が下がる」。大学院生の時にジャム売り場に24種類と6種類を置いた場合を比較した実験で多すぎる選択肢はストレスを生むことを示した。「選択の科学」を著し世界で応用されるマーケティング法則を生み出した権威だが、「選択」の研究に進んだのは自らの人生の選択肢のなさがきっかけだった。

米スタンフォード大で社会心理学博士号を取得し、現在はコロンビア大ビジネススクール教授。46歳。

インド出身で厳格なシーク教徒の両親のもと、米国で育った。3歳で網膜の疾患を診断され、徐々に視力を失い10代半ばでほとんど失明した。「子供が盲学校に行くことを恥じた」両親の考えで普通学校に通ったが字を読むのが困難で、10歳で特別支援の教員に出会ってようやくきちんと勉強できるようになった。

13歳の時に父が病気で急死。経済的に困窮したが、母は「女性も経済的に自立できることが大事」と考えるようになった。男女は口を利かず、結婚する日になって初めて相手の顔を見るというシーク教徒。一族の女性で初めて、親元を離れて大学に通うことになった。

「自分に選択肢がないことが悔しかった」と振り返る。宗教上の慣習で髪を切ることも禁じられていた家庭。うらはらに学校では「自己決定」の大切さを教えられたが、目が見えないことを理由に、数学、化学などの授業は「無理」と判断されて履修できず、高校卒業の際も進路相談員は当初、総合大学への進学を考えてくれなかった。

大学で学問というチャンスを得たとき「選択」に興味を持ったのは「自分の体験を考えると当然の帰結だったかもしれない」。ただ、転機となるその選択肢は自ら切り開いた。心理学を専攻すると、大学院の過去10年分の修了生一人ひとりに電話をかけ、どんなキャリアを築いているか調べた。指導教員を選ぶ際も学科の教員約30人全員の研究室に足を運んだ。

生い立ちから、文化と社会心理の関係に強い関心を抱く。「選択は人生を切り開く」という信念を持つが、自分で全て決めるのが良いとは限らないという。個人の自由が限られる権威的な社会では自殺率が低い。「文化によって選択の仕方はどう違うのか」「より良い選択をするにはどうすべきか」。探求は尽きない。

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