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不動産リポート

住宅リフォーム、こんな業者に要注意 不動産コンサルタント 長嶋修

2016/5/4

 不要不急な住宅リフォーム工事の訪問販売が多く発生しているとして、消費者庁は「突然の訪問に御注意! 安価な金額でもすぐ契約しない!」「『近所で工事をやっている』と言われても安心しない!」「必ず複数社から見積りをとりましょう!」「契約後8日間以内ならクーリング・オフが可能」という4つのポイントをかねて訴えている。

 地震の被災地では震災後の建物補修を、そうでない地域でも今後の備えとして耐震改修やリフォームなどを検討している方が多いのではないだろうか。想定通り安心してリフォームを行うためには、いいリフォーム会社と付き合いたいもの。では、いいリフォーム会社とは一体、どうすれば見分けられるか。ここではマンションを前提としてチェックポイントを4つあげたい。

(1)竣工図を確認しているか

 そもそも希望しているリフォームができるかどうかは、竣工図を見なければわからず、正確な見積もりも出せない。しっかりしたリフォーム会社なら、まず管理人室で竣工図の有無を確認し、図面を見るはずだ。

いいリフォーム会社ならまず、竣工図の有無を確認して図面を見るはず

(2)管理規約の閲覧を求めるか

 管理規約には、例えば音のトラブルを防ぐために使用可能なフローリングの等級が定められていたり、リフォーム工事を実施する前に必要な申請手続き、リフォームが可能な曜日など、リフォームにまつわる様々なことが定められたりしている。

 工事可能なリフォームの中身や工程を割り出すには、管理規約の確認が不可欠だ。規約を「預かりたい」「コピーさせてほしい」と申し出てくるなら、いいリフォーム会社の可能性が高いだろう。預ける場合には「預かり証」の交付を求めよう。

 竣工図や規約を見ずにリフォームしたい箇所だけを聞いて、「それは100万くらいでできます」と言ってくる会社は要注意。水周り一式30万円などのパック料金型も同様だ。

 図面を見ないで算出した見積もりは、金額が高いか安いかのどちらかにふれがち。床や壁を解体したとき、骨組みがどうなっているかを知らなかったために下地処理が必要だったり、予想外に工程が延びたりしたときの安全マージンを乗せるなど、リスクヘッジが必要になるためだ。

 また工事内容の判断を誤りやすく、たとえ見積もりが安くても、工事が始まってから採算がとれないことに気づくケースがある。その時点で料金を上げるわけにもいかず、施主が気づかない箇所で手を抜くような悪質なケースもある。

(3)見積書の内容は大ざっぱでないか

 前述した2項目を満たす会社なら、ほとんどのケースで本体工事の見積もり項目はおおむね正確だろう。単価や数量、建材の型番などが明確に出る。ところが、工事の内容について「一式」とだけ書かれている見積書が多く見られる。

 「解体工事」や「クリーニング」「残材処分」「現場管理」のような、いわゆる付帯工事に関することであれば「一式」でも問題ない。しかし「造作工事」や「電気・水道工事」「内装・塗装工事」のような本体工事について大ざっぱな記載をしていたら要注意だ。

 こういった見積書を出してくることが多いのが訪問型のリフォーム会社だ。基本的にリフォームのタイミングは人任せではなく自分で決めるべきだ。訪問型の販売員の言葉をうのみにするのはやめよう。

(4)契約段階から完成までの提出書類が整備されているか

 契約前、建築中、契約(完成)後と、それぞれの段階に応じて必要な書類がある。まず契約前の「請負契約書」。これは金額の大小にかかわらず、必ず取り交わすこと。次に「請負契約約款」。これは、契約にまつわる具体的な約束事を書面にしたもので、クーリングオフについて定めているものがベストだ。

 リフォームトラブルで最も多い「言った、言わない」という問題を避けるために「打ち合わせシート」も必要だ。建築中に必要なのは「工事内容変更合意書」。当初の仕様や金額が変わったら必ず取り交わしておく。契約(完成)後は、「工事完了確認書」。アフターサービスがあれば、この書類の日付から開始となる。

 これらの書類はインターネットで、住宅リフォーム推進協議会のサイトからダウンロードできる(http://www.j-reform.com/publish/shosiki.html)。そのため、同じひな型を使用する会社も多いが、これらの書類がそれぞれ的確なタイミングで出てくることが重要だ。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。5月14日(土)、マイナス金利以降の不動産マーケットを分析し、収益物件の売却戦術を考えるセミナーを開催。詳細はhttp://www.sakurajimusyo.com/semina_160514へ。

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