バブル期入社も50歳代に 雇用延長、今からが勝負
「会社にいれば部下のこと。家に帰れば子どものこと。自分のことを考える時間が最近取れていなかった」。東京海上日動あんしん生命保険の緒方篤朗さん(48)は話す。東京海上日動火災保険から出向して課長を務めている。
仕事の喜び再確認
オリックスが9月に開いた50歳研修。過去のキャリアを振り返り、今後の働き方を考える(東京都港区の同社本社で)
東京海上日動火災保険は「キャリアデザイン47研修」を行っている。その年の4月1日時点で47歳の全社員が対象だ。定年は60歳だが、希望すれば65歳まで会社で働ける。残り最長18年、今後の働き方を考えてもらう狙いだ。緒方さんは8月に受講した。
どんなときに仕事から満足感を得たか――研修で過去を振り返った。営業所をこまめに回ってやる気を引き出し、営業成績を上げた30代。初めて管理職になったときは毎日営業支援メールを送信し、営業現場の社員に感謝された。成功体験に共通するのは組織運営が円滑になる喜びだった。「部署や役職にはこだわらない。でもこの先も組織運営に関わる業務に携わりたい」。研修を経て、今後の基本姿勢が固まった。
高年齢者雇用安定法が13年春に改正され、60歳以降の継続雇用が企業に義務付けられた。60歳以降も生き生きと働いてもらうには早めの意識改革が不可欠だ。まして50歳前後はバブル期の大量採用世代。社員に占める構成比率が高く、彼らの働きぶりが経営に大きく響く。
14年4月に定年を65歳に引き上げたオリックス。50歳を対象にしたキャリア研修の内容を今秋一新した。これまではセカンドライフ設計に重点を置いていたが、仕事に関する内容を拡充。事前に直属上司と相談したうえで50歳以降のキャリアプランを立てる。
88~91年入社の社員は約500人、全社員の1割を占める。「65歳まで勝負はこれから。若い頃と同様にがむしゃらに働けなくても、自分なりの強みを生かせば仕事でまだまだ輝ける」(人事部)と説明する。
社内研修が新たな貢献につながったケースも出始めた。博報堂の今宿裕昭さん(50)はその1人だ。