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外国人が泊まりたいホテル 「ちょい高」でも部屋広く 近鉄グループ、20年に向けて新設・改装進める

2017/7/14 日本経済新聞 朝刊

近鉄グループの最上級ホテル「ウェスティン都ホテル京都」は客室単価を現在の約3万円から5万円に引き上げる

 近鉄グループホールディングスは訪日外国人の需要に合わせて、従来より客室が広くて宿泊料金が高めのホテルを展開する。ビジネスホテルを上回る1泊1万~2万円台の宿泊特化型ホテルを2020年までに東京都内と大阪市に開業する。一方、グループ最上級のウェスティン都ホテル京都(京都市)は20年をめどに改装し、客室単価を現在の約3万円から5万円に引き上げる。訪日外国人に引っ張られる形で、日本のホテルの価格帯が変わる可能性もある。

近鉄グループは客室の広い宿泊特化型ホテルの展開を始める(東京・高輪の完成イメージ)
大阪・堺筋本町に建てる宿泊特化型ホテルの完成イメージ

 宿泊特化型のホテルはまず18年秋をめどに東京・高輪に、20年春をめどに大阪市の堺筋本町に開業する。200~300室程度で、客室はツインやダブルが中心。1泊1万円前後のビジネスホテルより広くして、主に観光客の利用を見込んでいる。

 近鉄グループが「都ホテル」などの名称で展開している約20のホテルは結婚式場や宴会場を備えた都市型ホテルやリゾート施設が中心。それに対し今回の新型ホテルは客室以外はレストラン1店舗程度しかない。こうした宿泊に特化したホテルは高級ホテルとビジネスホテルの中間の「第3のホテル」ともいえる。今後の新規出店は、宿泊特化型のホテルに絞る。30年度までに東阪に加えて札幌や名古屋などの大都市で合計8施設を開業する。

 一方、ウェスティン都ホテル京都については高級志向を一段と鮮明にする。客室数を現在の約500室から300室程度に減らす。一部で2部屋を1部屋に改装して、主に富裕層の家族連れの利用を見込む。本館・南館・東館と3棟あるうち南館を数年内に撤去して庭園を設け、温泉設備を導入。2~3日間滞在できる施設にする。投資額は同ホテルとしては最大規模となる見込み。

 ウェスティン都は1890年開業の京都市内きっての老舗ホテル。02年に米スターウッドホテル&リゾートと提携して名前を変更した。同市内ではこの数年、ザ・リッツ・カールトンやフォーシーズンズホテルなど外資系の高級ホテルが相次ぎ進出しており、ウェスティン都としても改装で競争力を高める。

 近鉄グループがホテル事業で高級路線を打ち出す背景には、外国人観光客の変化がある。

 アジアでは所得水準の向上にともない、海外旅行に出かける中間層が急速に増えている。従来は団体旅行が中心だったが、最近は個人旅行にシフト。宿泊料金が安いだけのビジネスホテルでは飽きたらず、やや高くても広くて居心地の良い客室を求める傾向が強まっているという。

 こうしたホテルは三井不動産が展開する「三井ガーデンホテルズ」などが得意としており、JR西日本も参入する意向だ。一般の住宅に有料で泊める民泊でも、家族連れ向けの広い部屋が人気となっている。それだけに訪日外国人が増える2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、同様のホテル参入が広がりそうだ。

[日本経済新聞朝刊2017年7月5日付を再構成]

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