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町工場生まれ「カワセミ」カヌー 五輪で東欧製に挑む 大学や信金も協力、小柄な日本人選手が操作しやすく

2017/8/18 日本経済新聞 朝刊

大学や都内の信金、町工場が連携して開発する「国産カヌー」の実験艇(8月1日、東洋大白山キャンパスで)

2020年東京五輪に向けて、東京都内の町工場や金融機関、大学などのチームが競技用カヌーの開発に取り組んでいる。このほど完成した実験艇は、海外選手と比べて小柄な日本人選手でも扱いやすく、操作性に優れたデザインや形状を追求したのが特徴。今後も改良を重ね、五輪本番でのメダル獲得につなげたい考えだ。

「国産カヌー水走(MITSUHA)開発コンソーシアム」と名付けた開発チームでは東洋大学の望月修教授が研究開発責任者となり、精密板金加工の浜野製作所(墨田区)がコックピット、車両試作開発のテックラボ(多摩市)が船艇の製作をそれぞれ担当する。

日本カヌー連盟や都カヌー協会が指導者・選手目線で改善点を指摘し、開発に生かす。東京東信用金庫(墨田区)は開発に必要な技術を持つ中小企業の紹介や資金調達方法などで助言する。

実験艇の製作は5月に着手した。生物の機能や構造を生かす「バイオミメティクス(生物模倣)」や流体力学といった大学の研究成果や町工場の技を結集。波の抵抗を減らそうとカワセミのくちばしの形状を船首に採り入れ、船底の形状も従来型とは大きく変えて推進力を得やすくした。

競技用カヌーは強豪国の東欧製が主流といい、日本人選手に合わせた調整もしやすい国産艇づくりは競技団体も歓迎。実験艇も日本人の体形に合わせて幅を狭くし、パドルを操りやすいような工夫も凝らした。試乗した都カヌー協会の藤野強理事長も艇の回転性能などを高く評価した。

開発プロジェクトは東洋大と東京東信金が昨年5月に結んだ産学連携協定がきっかけ。国産艇開発を通じて競技への興味・関心を広げ、日本の中小企業の技術力も世界に示す狙いで動き出した。

8月1日に実験艇を公開した際の記者会見では、東洋大の竹村牧男学長が「大学の知と産業界の技の結合で金メダル獲得を期待したい」と強調。東京東信金の渋谷哲一会長も「夢を夢で終わらせず、伴奏する形で応援したい」と語った。

当面の課題は開発資金だ。プロジェクトには総額5千万円程度が必要だというが、現状では大学の研究費で2千万円程度を確保した段階。スポンサー集めや寄付募集にも力を入れる方針だ。

[日本経済新聞朝刊2017年8月2日付]

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