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地銀が「古民家」に着目 訪日外国人狙って改修後押し 千葉銀など、担保価値に縛られず

2017/6/11 日本経済新聞 朝刊

千葉県内でも古民家を宿泊施設などに改修する動きが出始めている(大多喜町の宿泊施設「まるがやつ」)

 千葉県内の金融機関や信用保証協会が古民家を活用したビジネスの後押しに乗り出した。千葉銀行は古民家を使った事業に特化した融資制度を導入したほか、千葉県信用保証協会は古民家専門の保証制度を取り入れた。いずれも全国初の試み。ホテルやカフェなど集客力のある施設への改修を促して、訪日外国人(インバウンド)などの集客につなげる。

 千葉銀行は古民家ビジネス向けの「ちばぎん古民家事業支援融資制度」の取り扱いを始めた。不動産担保などに依存せず、事業の成長性を踏まえて融資する仕組み。支店に加え、法人営業部に設けた「古民家活用チーム」の担当者が計画の妥当性を評価し、融資を決める。

 築50年以上の古民家は担保価値が低く、既存の制度では融資判断の足かせとなっていた。新制度は事業が軌道に乗るまで3年を上限に元金の返済を猶予する。建物の改修など設備資金の返済期間は最長20年に設定。通常の融資より長めに設定し、新規参入のハードルを下げる。

 千葉県信用保証協会は、古民家を活用した事業を支援する保証制度「ふるさとちば」を創設した。既に飲食業を展開している事業者向けの「一般枠」と、新規参入者が対象の「創業枠」の2種類を設定。金融機関と協調融資する仕組みで、信用保証料率に0.1%の制度割引を適用する。

 一般枠の場合は8000万円を上限に古民家改修などの設備資金と運転資金を保証する。金融機関単独では返済までの期間が10年以内の場合が多いが、県保証協の制度を使えば最長20年まで延ばせる。最長2年間は元金の返済を猶予する。創業枠は2500万円を上限とし、保証期間は10年以内とする。

 京葉銀行も地域経済活性化支援機構(REVIC、東京・千代田)や佐原信用金庫(千葉県香取市)と共同で設立した観光活性化ファンドを通じ、古民家を活用した宿泊事業へ出資している。今後も同市を中心に新たな出資先の開拓を進める方針だ。

 県内には農村部を中心に古民家が多く存在する。地元の人がその価値に気付かず、空き家となっている物件も多い。転機となるのが、2020年の東京五輪・パラリンピックだ。訪日外国人が一段と増えれば、日本の伝統文化の一端に触れられる観光資源として潜在価値は高まる。古民家再生を手がける一般社団法人ノオト(兵庫県篠山市)の金野幸雄代表理事は「改修によって古民家の価値が上がる」と指摘する。

 ただ古民家の改修は建物そのものにとどまらず、場合によっては不要な物の撤去などにも費用がかかることがある。地銀や信用保証協会は専門の融資や保証制度を打ち出すことで古民家市場を流動化させ、地域の活力創造につなげたい考えだ。

[日本経済新聞朝刊2017年5月25日付を再構成]

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