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サービス業でも介助の心得学ぶ 民間資格の取得者増加

2017/3/3 日本経済新聞 夕刊

サービス介助士の資格取得のため実技練習をする受講者(東京都千代田区)

 3年後の東京パラリンピックを控え、障害者や高齢者への適切な介助やコミュニケーション技術に関連する民間資格を取る人が増えている。小売店やサービス業など多様な顧客と接する職種で、企業が従業員に取得を促しているためだ。取得した資格を生かし、障害者イベントなどでボランティア活動に取り組む人も目立ち始めた。

 「下りなので後ろに傾きますが、支えているので安心してください」。受講者の男性が笑顔で声を掛けると、車いすを支えて短い坂を下った。

 東京都内で1月下旬、民間資格「サービス介助士」の実技教習が開かれた。受講者は約20人。重りやゴーグルをつけて買い物をしたり、車いすの動かし方を学んだりして、高齢者の体の状況を疑似体験した。事前のテキスト学習を踏まえ、2日かけて実践知識を身につける。介助する相手を傷つけないよう配慮した言葉遣いや心構えも教わった。

 美容師として訪問先の介護施設で高齢者と接する高杉知美さん(28)は「車いすに乗る立場になって怖さがわかった。自分が動かすときは気をつけたい」。パチンコ店勤務のさいたま市の男性(24)は疑似体験で「何をするにも不自由だった。イライラして無気力になる高齢者の気持ちが少し理解できた。町中で困っている人に声をかけられるかも」と話した。

介助する相手を傷つけないように配慮した言葉遣いや心構えも教わる(東京都千代田区)

 2000年に同資格の認定を始めた公益財団法人「日本ケアフィット共育機構」(東京都千代田区)によると、資格者は約13万7千人で年1万人強のペースで増加中。障害者への差別を禁じた障害者差別解消法が昨年4月に施行されたこともあり、小売店や交通、金融機関など一部社員に取得を義務づける企業が増えているという。

 同機構は年50件程度、スポーツや音楽イベントに有資格者をボランティアとして派遣している。障害者も気兼ねなく観戦を楽しめるよう会場で移動などをサポート。同機構の担当者は「職場以外でも資格を生かせる場面を増やしたい」と話す。

 一般社団法人「日本ユニバーサルマナー協会」(大阪市)が主催するユニバーサルマナー検定は障害者が講師を務め、半日の講座で障害者らへの向き合い方や声のかけ方を学ぶ。受講者はこれまでに約3万人。16年末までの1年間で倍増した。企業単位の参加が多いが、個人の参加比率も4割前後あり、徐々に高まっている。

 国は障害者や高齢者が参画しやすい共生社会を目指し、社会的弱者に配慮した街づくりや「心のバリアフリー」を推進している。内閣府はユニバーサルマナー検定などを参考に企業で行う研修案を3月までに策定。多くの企業が実施するよう働きかける。

■障害者は介助者の技術に不安/丁寧に寄り添う姿勢を
 共生社会に詳しい東洋大・高橋儀平教授(建築学)の話
 高齢者や障害者が気兼ねなく活動できる社会の実現には建物のバリアフリー化といったハード面と、自主的に手を差し伸べる人が増えるなどソフト面の両方の充実が欠かせない。教育などを通じて身近な障害者と接する機会を増やす仕組みも必要だ。障害は人によって異なり、障害者は介助者がどの程度の技術を持っているかに不安を抱えている。介助するときは「どうすればいいですか」と尋ね、丁寧に寄り添う姿勢が大事だ。

[日本経済新聞2017年2月8日付夕刊]

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