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「碁盤の目」京の街で… 二条城、傾き3度のナゾ

家康が「最先端技術」採用?

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NIKKEI STYLE

東西と南北の街路が碁盤の目のように交差する京都の中心市街地。平安京の名残をとどめる街並みをよく観察してみると、江戸時代初期に完成した世界遺産の二条城の敷地は地理上の南北軸から東(時計回り)に3度ずれている。通りが整然と並んでいるからこそ際立つ微妙な「ズレ」。1200年にわたり碁盤の目を守ってきた古都で、なぜこのような事態が起きたのか。

謎を探るべく、まずはお堀の周辺を歩いてみることにした。違和感があったのは二条城の東側に広がる駐車場だ。駐車場の南側には大型観光バスが何台もひしめく一方、北側には普通車がとまれるスペースしかない。二条城の外郭がすぐ東側の通りと平行でないため、北に進むほど駐車場が狭くなっているのだ。

早速、二条城の学芸員、中谷至宏さんにこの疑問をぶつけてみた。すると「文献が残っておらずはっきりとは分からない」としつつも、築城に方位磁石を使った可能性があると教えてくれた。

方位磁石のN極が指している「磁北」は観測地点や時代によって変化するため、厳密には地理上の真北と異なる。地磁気世界資料解析センター(京都市)によると二条城が建てられた頃、西日本の磁北は東に5度前後ずれていたそうだ。つまり、方位の決定に磁石を用いたならば、真北とのズレの辻つまが合う。建築における方位磁石の活用は、古くは法隆寺や平等院で指摘されており、決して珍しい技術ではなかったようだ。

とはいえ、二条城は市街地を取り壊して築城された経緯がある。あえてすでに存在する碁盤の目の街並みからずれる必要はあったのだろうか。

中谷さんは「意図して碁盤の目に合わせなかったのかもしれません」と指摘する。関ケ原の戦いに勝利した徳川家康は1601年、朝廷がある洛中の政治拠点として二条城の築城を指示した。徳川家の威信をかけた一大プロジェクトに「当時の最先端技術が採用されたのではないか」と考えているという。

中谷さんのいう最先端技術とは、イエズス会宣教師らが当時の日本に伝えた「天動説」を前提とする天文学だ。地球が自転するとき回転軸が円を描いて振れる「歳差運動」が原因で、北極星の方向は真北を指しているとは限らない。宣教師らの知識では、当時の真北は北極星から東に約3.5度ずれているとされていた。「当時の常識に照らせば真北に北極星がないことは衝撃だったはず」(中谷さん)。西洋文明がもたらした新たな知見が二条城のズレを正当化した可能性があるという。

「立地が街並みの影響を受けにくかったことも理由ではないでしょうか」と話すのは歴史や地理の愛好家らでつくる京都高低差崖会の崖長(代表)の梅林秀行さん。二条城は市街地化があまり進んでいない街の西端に建てられた。東向きにずれている同時期の建築物には八坂神社本殿や知恩院三門などがある。これらはいずれも鴨川を越えた街の東端にあるのだ。

実は二条城の「ズレ」は敷地にとどまらず、城内のつくりにも見られる。大政奉還で江戸幕府が265年の歴史に幕を下ろすと、二条城は明治政府の手に移り、1884年に宮内省(当時)所管の天皇家の別荘「二条離宮」になる。1915年の大正天皇即位の儀式では饗宴(きょうえん)場として使用され、城内の一部建物を増築するなど再整備された。そのときに新設された道や壁は、ずれている既存の建物をよそに、真北にのびる。「天皇の動線として伝統の南北軸にこだわったのではないか」(中谷さん)。2つの南北軸は二条城の歴史を物語るように、今でも城内に残されている。

観光客に二条城を説明するとき、城の「ズレ」についてよく話題にするという梅林さんは、「京都でなければ二条城の『ズレ』がここまで目立つことはなかった」と笑う。碁盤の目のように街路が交差する古都・京都の街並みは、二条城が刻んだ歴史を目に見えるかたちで浮かび上がらせている。

(京都支社 浦崎健人)

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