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天気のなぞ

豪雨と猛暑が隣り合わせ 極端な気象、高い災害リスク 編集委員・気象予報士 安藤淳

2014/8/21

水蒸気の通り道を知っていれば、防災対策に役立ちそうだ。風向きによってどの地域でもっとも積乱雲が発達しやすくなるか、ある程度の規則性を把握しておけば、早めの備えに生かせる。警報や避難の呼びかけは、地形などその場所ならではの現象を十分に踏まえたものにしないと、効果を期待しにくい。

大量の土砂で埋まった車や住宅(21日午前、広島市安佐南区)

大量の水蒸気、シアーに加えて上空に寒気が入ると積乱雲はさらに発達しやすくなる。暖かくて軽い空気の上に冷たくて重い空気が乗ると、不安定になる。頭が重い人形を考えてみるとよい。人形ならひっくり返るが、大気の場合には上昇気流が起きる。20、21日の関東北部の雷雨は上空の寒気が引き金となって起きたとみられる。雨は比較的短時間で済んだが、風向きなどによって水蒸気の供給が続いていたら、広島市や福知山市と似た事態になっていた可能性もある。

22日は低気圧が日本海を北上し、前線は徐々に南下する見通しだ。低気圧はもともとは台風の卵の熱帯低気圧だった。熱帯低気圧は文字通り熱帯の暖かく湿った空気をたっぷり伴っている場合が多く、大雨を降らせやすい。西側の上空には寒気がある。ただでさえ、豪雨が起きやすいところへ低気圧と前線がやってくるので、激しい雨のリスクは高まる。既に大量の雨が降っている西日本は警戒が必要だ。東日本や北日本も前線や上空の寒気の影響で、局地的な豪雨の恐れがある。

今回のように台風や、台風から変わった熱帯低気圧、低気圧が日本海を北上するパターンが今年は目立つ。そのたびに、熱帯の空気が日本一帯の上空に持ち込まれ、猛暑や豪雨の条件がそろいやすくなる。こんな繰り返しが続くのは、上空の偏西風の蛇行などの「癖」が一因とみられる。

気象庁によると来週には蛇行部分の位置が少し動き、天気の傾向が変わる可能性がある。前線が南岸沿いに停滞し、東日本や西日本の太平洋側などではっきりしない天気の日が増えるかもしれない。気温もこれまでよりは低めになる見通しだ。ただ、そのまま静かに秋になるとは限らず、油断は禁物だ。自分が住んでいる場所の地形の特徴や過去の豪雨災害の記録に目を通すなどして、いま一度、備えを見直したい。

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