リーダーの信念 オトコ社会を打破Wの未来 俺に任せろ

男性の理解と行動が女性(Woman)の輝きを増す。オトコ社会を自ら変える男性たちに迫る。

幹部320人に熱弁

損保ジャパン日本興亜ホールディングスの社長、桜田謙悟(58)は部店長以上の幹部320人を集め訴えた。「女性活躍の推進は経営戦略の柱だ。性別にかかわらず部下の才能を見いだす力が上司には必要だ」。集会を開いたのは損保ジャパンと日本興亜の合併を1カ月後に控えた8月1日だ。会社の新たなスタートを前に意識改革を迫った。

女性活用を訴える桜田社長(8月、東京都新宿区)

損保ジャパンの社長に2010年に就任し女性活用の先頭に立った。以前訪れたシンガポールの関連会社では幹部の7割が女性だった。「会社の意思決定に女性が入らないとダメだ」と痛感した。男女格差を生むコース別人事制度をやめるなどし、管理職の女性比率は2.9%から5.5%に上がった。新会社では20年度末までに30%を目指す。

LIXILグループ社長の藤森義明(63)は2年前に半ば強引に女性を登用した。「事業部門ごとに優秀な女性10人をリストアップしろ」。あがってきた約50人の職務履歴を自分で読み込んだ。20人超を引き上げ管理職の女性を倍にした。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人から11年に転身し女性活用の遅れが気になった。多様な人材が活力を生んだGEでの経験から女性登用を指示した。しかし現場は「適材がいない」と反応が鈍い。そこで自分で選んだ。「実力がなくてもいいのか」との批判は聞き流す。「チャンスを与えないと力は引き出せない」と信じる。

政府は女性管理職の比率を20年までに30%に上げる目標を掲げる。数値目標は逆差別につながるなどと反発する経営者も多い。しかし、シカゴ大学教授の山口一男(68)は「女性の登用を進めるには強制力も必要だ」と話す。

執行役員36人のうち6人が女性の大塚製薬では社長の岩本太郎(54)が日ごろから女性のリーダー育成に取り組む。3年前に課長から執行役員になった若菜佳子(42)は登用される前から社長の薫陶を受けた。幹部候補の女性を集め岩本が主宰する勉強会のメンバーだ。

10年に始めた勉強会は延べ60人が参加した。研修所に泊まり込み経営戦略などを議論する。「経営者に必要な条件はなんだ」。若菜は初対面の社長からいきなり問われ戸惑ったのを覚えている。「1人ですべて背負うな」――。社長直伝の心得が今の自分を支える。

財界重鎮ら集結

数値目標を掲げて女性登用を加速し、時間とお金をかけ人材を育てる。時には現場の抵抗を押し切り女性を引き上げるなど、強いリーダーシップで組織を変える経営トップが出てきた。

財界の重鎮が集まり「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」も発足した。参画する三菱重工業会長の大宮英明(68)は「持続的な成長には女性の活躍が欠かせない」と話す。

しかし、「女性の幹部候補が足りない」「業績の立て直しが先」など企業が抱える事情はそれぞれだ。一筋縄ではいかないだけに、企業の頂点をほぼ独占する男性が覚悟して動かないと前進しない。=敬称略