白一点の輝き 職業、性別なんて関係ないWの未来 俺に任せろ

「女性ばかりだけど、本当に大丈夫か」。田中隆介(26)は今春、大学院に入るための面接で聞かれた。「教えを請いたい先生がいるのがたまたま女子大だったというだけ。ぜひ入学したい」と強く応じた。

管理栄養士の国家資格を持ち都内の病院に勤める田中は今、東京家政大学に通う。女子大ながら大学院は男性を受け入れている。とはいえ研究室でも講義に出ても周りは女性ばかりだ。女性が多い栄養士の世界以上に男性は圧倒的な少数派だ。内臓疾患を持つ患者向けの食事メニューを研究しもうすぐ半年がたつ。「明確な研究の目的があれば、男が1人だけでも支障はない」と感じている。

男女雇用機会均等法が1986年に施行してから30年近くがたち、男性と同様にキャリアを積む女性が増えた。一方で、女性ならではと思われてきた世界に自ら飛び込む男性がいる。紅一点ならぬ「白一点」の輝きを放つ男性たちだ。

チャペルで打ち合わせをする永楽さん(東京都港区)

第一印象は苦戦

花嫁が主役のウエディング業界で活躍する男性もいる。東京・表参道の結婚式場「アニヴェルセル」で働く永楽和久(26)は男目線を生かし式をお膳立てするプランナーだ。職場で同じ仕事をする21人のうち男性は自身も含め3人だけだ。

「結婚式って男性は気恥ずかしいですよね」。永楽はカップルとの打ち合わせで新郎にも気を配る。女性に比べ関心が薄い男性の心もつかみ、2人とも満足できる式を心がける。「披露宴で新婦にサプライズで手紙を渡すと一生感謝されますよ」。こっそり提案し喜ばれたこともある。

大学でイベントを企画する楽しさを知りこの業界に入った。最初は信頼してくれない新婦も多い。女性が気づきにくい提案などで信頼を勝ち取ってきた。「第一印象がよくない分、最後は逆に好印象を得やすい」と永楽に迷いはない。

都立の橘高校(東京・墨田)で教べんをとる奥平大樹(37)も異色だ。ミシンの使い方やグラタンの作り方など家庭科を教える。全国の高校の男性教諭のうち家庭科を教えるのはわずか0.2%だ。

奥平が高校生だった94年に家庭科が男女とも必修になった。授業を受けて「男が家事をするのも楽しいじゃないか」と魅力に目覚めた。家庭科の先生になれる専攻がある大学に迷わず進んだ。男の自分が裁縫する姿をみせれば、生徒にも同じ思いが伝わる。そんな気持ちで教壇に立つ。

男性看護師2.4倍

保母を保育士にするなど職種の呼称が性別を問わなくなると男性の意識も変わる。専門資格の法律を改正し看護婦は2002年に看護師となった。それから10年たち男性の看護師は12年末で2.4倍の約6万3000人に増えた。男性比率も3%台から6%台に上がった。日本看護協会の専務理事、井伊久美子(57)は「救急看護など専門性を生かせる現場で、多くの男性が活躍している」と話す。

性別にこだわらず男女がともに働ける社会でこそ女性が輝く。オトコ社会に風穴を開け女性の活躍を促すだけでなく、「女性ならでは」という固定観念に挑む男性が増えれば女性たちの追い風になる。=敬称略