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相場混乱時こそプロは逆張り思考 EU崩壊説には疑問 マーケットエコノミストの極意(7)

2018/6/7

イタリアの政局混迷の影響で下落した欧州株(5月30日、東京都中央区)

 市場では、いつどこで波乱が起こるかわからない。5月はイタリアの政局混迷や国債利回りの急上昇をきっかけに、株価や外国為替相場が動揺した。予期せぬ事態に冷静でいられる投資家は少ないが、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「そんなときこそ多勢に逆らう『逆張り』の思考をもち、スペシャリストの冷静な分析に耳を傾けてほしい」と訴える(以下談)。

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■ブレグジット問題の教訓

唐鎌氏は「マーケットエコノミストの真価は、予想が外れているときに問われる」と話す

 苦い記憶がある。英国で2016年6月24日、国民投票によって欧州連合(EU)離脱が決まったときのこと。残留は間違いないと予想していたのだが、ふたをあけてみると逆の結果だった。外為市場では英ポンドが急落し、円相場はあっという間に6円近く上昇。騒然としたディーリングルームは「世界の終わり」のような混乱ぶりだった。

 仕事の合間に見ていたニュースでは、早いうちからリーブ(離脱)の割合がリメイン(残留)を上回っていた。だが顧客やメディア取材には「離脱支持地域の開票が早いため」と繰り返していた。結果の判明後に「この結果で終わりですか」と問われ、情けないことに「終わりです」としか答えられなかった。

 慌ててリポートを書き換えながら痛感したのは、市場では何でも起こりうるということだ。シナリオに絶対はない。マーケットエコノミストはディーラーと同じ現場にいるとはいえ、ポジション(持ち高)を抱えていない分、分析と信念に基づいた判断ができる。比較的長期の投資を考えるなら、変わり身の早いディーラーの予想に振り回されてはいけない。

■真価は予想が外れているとき

 マーケットエコノミストの真価は、予想が外れているときに問われる。例えば、米長期金利が4月に3%台まで上昇したとたん、4%台まで上昇するとの予想を目にした。ひとつ節目を超えたのだから、次の節目まで上昇するという見立てなのだろう。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が自然利子率と呼ぶ米国の中立金利は、(財政など他の要因ではなく)潜在成長率によって決まると信じている。潜在成長率が突然跳ね上がるはずがない点を踏まえれば、経済の実力に即した分析をするべきだろう。

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