田園調布に売り看板が立つ 進む高齢化、成約価格急落不動産の現場から

田園調布の土地は50坪以下には細分化できない。自治会が定めた「田園調布憲章」によって敷地の最低面積は165平方メートル(50坪)以上と決められているからだ。分譲会社が広い土地を買って細かく分割したうえで一戸建てを建築して売る。都内で良くみられる土地の細分化が、ここでは成り立たない。

「地価を考えると今が売り時」

しかも、土地が最低でも数億円となると、建物を建てて総額5億円超の資金が必要になる。「買い手が限られているところに、売りものが増えれば、売値や成約価格は下がっていく」(都内の不動産業者)

高級住宅地と呼ばれるエリアのなかでも田園調布3丁目が抱える事情が異変の背景にある。高齢化が進んでいるのだ。15年の国勢調査によると、同地域の世帯に占める65歳以上の家族がいる世帯比率は約49%。渋谷区の松濤全域で同比率は約25%、世田谷区成城のなかでも評価が高い2、4、5丁目の平均で約39%にとどまっている。

田園調布に古くから土地を所有していた場合、土地の簿価は低い。「土地のオーナーは高齢のうえ、地価の先行きを考えると、売るなら今だと感じている」(外国証券の不動産アナリスト)との指摘もある。キャッシュアウト、現金化を急ぐ売り手が増えれば、成約価格はさらに下がる可能性が高い。

〔日経QUICKニュース(NQN) 齋藤敏之〕

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