1社の大量供給で… マンション契約27年ぶり低水準不動産の現場から

住友不動産は供給面積でも全国首位

50%割れした12月に何が起きていたのか。同月の発売戸数は7462戸と前の月の2.2倍に膨らみ、14年12月(9389戸)以来の水準に達した。マンション専業会社や大手仲介会社を取材すると、ある大手不動産会社の名前があがってきた。

不動産会社の役員は「首都圏で12月に発売されたマンションのうち、住友不動産1社だけで3割近い1900戸弱を占めた」と明かす。別の不動産会社の営業担当者によると「住友不動産(8830)が380戸程度発売したマンションで成約したのは5戸程度。1カ月間ではそうそう売れない」という。

他の不動産会社では売れ行きに変化はあったのか。タカラレーベン(8897)が12月に発売した「レーベン上尾GRAN MAJESTA」(埼玉県上尾市、総戸数183戸)については、「東京駅方面のアクセスの良さが評価され、予想以上に好調な販売だった」(広報IR室)。都心や郊外で発売した大手不動産、仲介会社など関係者の話を総合すると、住友不動産は認めていないが、同社のマンション集中発売が契約率50%割れにつながった可能性が高い。

住友不動産のマンション市場での存在感は大きい。不動産経済研究所が3月13日に発表した、18年の売主・事業主別の全国分譲マンションランキングによると、住友不動産の供給面積は約49万8900平方メートルで首位だった。2位に入った野村不動産ホールディングス(3231)傘下の野村不動産の約39万3000平方メートルを10万平方メートル強上回る断然トップ。事業者別の全国発売戸数で18年まで5年連続首位を維持した住友不動産の動向は市況を大きく左右する。

同社は以前から初月契約率にこだわらず時間をかけて販売していくことで知られている。他社では良しとされる即日完売や早期完売も住友不動産では「値付けが間違っていた」とマイナスの評価を受けるほどだ。

こうした「すみふ流」を踏まえると、「大量発売で品ぞろえを拡充し、消費増税に伴う駆け込み需要が少しでもあれば取り込む狙いがあった」(外国証券の不動産アナリスト)との見方もある。

大手不動産による寡占化が進むなか、1社の大量供給で契約率は大きく振れる。マンション専業会社も時間をかけて売る手法に変化しているだけに、市況を測る目安として大手の供給戸数やモデルルームの来場動向の重要性が増している。

〔日経QUICKニュース(NQN) 齋藤敏之〕

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