ビットコインの取引多様化 先物、シカゴ勢も参入へ仮想通貨の実相(6)

インターネット上の仮想通貨ビットコインの取引手法が多様化している。存在感を高めているのが先物取引だ。先物取引で投資家は積極的に運用リスクをとれる一方、将来の価格下落による損失を回避(ヘッジ)できるなど、法定通貨の市場に近い利便性を得られるようになっている。

先物は中国系企業が取り扱い

 ビットコイン先物は中国系の企業が主に取り扱う。証拠金をビットコインで預け入れる仕組みで、ビットコイン取引にある程度慣れた投資家向けの商品だ。中国本土では当局の規制が強まり、仮想通貨の取引所は軒並み閉鎖を余儀なくされているが、大手のOKコインなどは拠点を香港子会社に移して営業を続ける。

 国内ではビットバンク(東京・品川)がOKコインの香港子会社であるOKEX.comのネットワークを通じてドル建ての先物をほぼ24時間365日提供している。設定期日は取引週の金曜日と翌週金曜日、四半期最終週の金曜日のいずれも17時時点で、清算値はOKコインなど複数の大手取引所の価格から平均値を算出し適用する。

 仮想通貨には法定通貨とは異なり「金利差」の概念はない。だが現物や信用取引で適用される金利相当の手数料などを多少織り込む。ヘッジ需要が先行するため、先物価格は現物比で低めに決まりやすいようだ。それに通常の相場観が加わる。例えば現物が軟調時の先物にはヘッジ売りが加速し、かなり下げる。ビットコインが中国取引所の閉鎖報道などで1ビットコイン2900ドル台まで急落した9月15日に、ビットバンクの9月22日期日の先物清算値は2674.06ドル、29日期日は2676.64ドルと現物よりも大幅に安くなった。

課題は取引の厚み

 課題は現物と同程度の「流動性」(売り買いともに注文が厚く取引自由度の高い状態)をもてるかだ。法定通貨ではシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場が流動性の高さを誇り、商品投資顧問(CTA)などの投機マネーが行き交う。CMEの建玉データは直物取引をするうえで重要な資料にもなっている。CTAの一部はビットコイン市場に参加し始めているが、現時点では先物をメインにできるほどの環境は整っていない。

 そんな中、シカゴ・オプション取引所(CBOE)を運営するCBOEホールディングスは年内にもビットコイン先物の上場を目指す。週5日、24時間稼働の予定だ。CBOEの戦略が軌道に乗ればオプションなどの他の派生商品(デリバティブ)の品ぞろえも充実し、仮想通貨デリバティブ市場が一層拡大するかもしれない。

〔日経QUICKニュース(NQN)今晶、鈴木孝太朗〕

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 「仮想通貨の実相」はビットコインやイーサリアムの取引現場での最新トピックや関係者の発言を紹介します。掲載は不定期です。

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