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身の振り方を考えるとき 『銀行員大失業時代』著者 金融・旬の一冊

2017/10/25

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 金融とIT(情報技術)が融合する「フィンテック」の広がりにより、人に頼りがちでアナログな既存の金融機関の業務基盤は変革を迫られる――。こんな見方から金融機関の先行きを問う書籍が関心を集めるなか、特に地方金融機関の従業員を中心に読まれているのが『銀行員大失業時代』(2017年8月、小学館)だ。著者の森本紀行・HCアセットマネジメント社長に金融機関に関わる人の進むべき道を聞いた。

 ――著作で銀行の将来に警鐘を鳴らしています。

 「そもそも今までの銀行は(お札や小銭など)物理的なお金の存在を前提にしていた。(電子マネーやクレジットカード、ネットバンキングの普及によって)お金がデータにすぎなくなりつつある現代では、フィンテックの普及をはじめとする技術や社会の変化が進んでいる。銀行はビジネスモデルを見直すことを求められている。特に厳しいのが(大手銀行に比べて業務範囲が限られている)証券会社や地方銀行だ」

銀行員に意識の変革を迫る『銀行員大失業時代』の著者、森本紀行氏

 「銀行はこれまで(社会全体の)預金と決済機能を独占していた。だが金融庁が打ち出したフィデューシャリーデューティー(顧客本位の業務運営)に基づいて考えると、預金が貯蓄として使われることが本当に顧客のためになるのかは疑問だ。決済は決済サービスだけ独立させてもよい。預金から決済機能が分離されれば、銀行員ですら預金しなくなるだろう」

 「お金の流れを記録するデータ処理機関としての『銀行』は必要かもしれないが、その業務にはお金をデータとして保管するシステムと設備だけが求められる。今まで多くの銀行員が手がけていた仕事はこの組織からは切り離されそうだ」

■今の行員の多くは「タイピスト」

 ――銀行員はどうすればいいのでしょうか。

 「今の多くの銀行や銀行員は、かつてのタイプライターやタイピストのようなものだ。とはいえ、ただの『タイピスト』でい続けることは絶対にできない。身の振り方を考える必要がある」

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