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円高恐怖症は通貨分散で克服 日々の変動に惑わない マーケットエコノミストの極意(12)

2018/12/4

写真はイメージ=123RF

「通貨分散の視点で円高恐怖症は克服できる」。SMBC信託銀行プレスティアの山口真弘投資調査部長はこう力説する。前職のシティバンク銀行時代から個人投資家と向き合ってきた山口氏は、株安・円高などによる外貨運用の為替差損を心配しがちな人に対し「日本の経済と財政収支に先行き不透明感がある中、円建てだけで保有するリスクを認識すべきだ」と話す(以下談)。

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■外貨で資産形成する意識を

2008年のリーマン・ショックを含めていくつもの「ショック」と円高局面を経験した。パニック的に円高が加速すると為替リスクを回避(ヘッジ)しようとしてもうまくいかない。米景気懸念などから今後も円に上昇圧力がかかる場面は来るだろう。個人投資家には「(円換算せずに)外貨で資産を増やす」との意識を持ってもらえるよう心がけている。

山口氏は「米ドルを中心にユーロやオーストラリアドルなどに投資対象を分散させ、円相場の日々の変動に惑わされないことが長期運用では大切」と説く

日本の金融機関は今も昔も、円ベースで資産形成するとの前提でいろいろとアドバイスする傾向がある。だが、米ドルを中心にユーロやオーストラリア(豪)ドルなどに投資対象を分散させ、円相場の日々の変動に惑わされないことが長期運用では大切だ。そう訴え続けた結果、顧客には外貨中心の思考が少しずつだが根付いてきた。

中には既にドルやユーロを中心に考え、後から円の資産配分を決めていく人もいる。例えば直物でドル売り・円買いをし、先物でドルを買い戻すときに得られる金利相当の「スワップポイント」を生かす。外国為替証拠金(FX)取引でドルを買い持ちにするのと同じ仕組みだが、元本をドルから円に戻す発想がないので為替変動リスクを気にせずともよい。もちろん、ドル建ての短期商品でそのまま運用したほうが有利ならそうする。

最近はリスクを承知のうえで新興国通貨などの比率を高めるケースも出てきた。ただ、商品を売る側の金融機関がニーズに対応できていないのが現状だ。8月にトルコリラが急落した後、割安なリラを買いたいとの要望が高まったにもかかわらず、品ぞろえは十分でなかったところが多い。

■19年後半はドル安・円高方向へ

マーケット・アナリストを名乗りながらこう言うのも何だが、為替相場の予想は本当に難しい。ふだんは基軸通貨の米ドルを中心に日欧やオセアニア、中国などをウオッチし、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の変化に基づいて見通しをたてるものの、為替は政治情勢など他の要素が複雑に絡んでくる。

最近は16年の米大統領選挙で予想を外した。リスクシナリオとして挙げた、もしトランプ氏が大統領になったら株やドルの相場が崩れるとの予測も当たらなかった。政治は経済に比べると規則性が薄い。それでも中長期の相場はファンダメンタルズで動くとの信念で、それにかかわる材料だけを選ぶ努力をしている。

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